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自分なりのポートフォリオを作る

1株から買える証券アプリ「CONNECT」。そのロゴに込めた思い

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テレビや新聞でよく見る”株価”。しかしながら、通常、東証に上場している普通株式の場合、最低購入の“単元”が設けられており、100株からとなっている。つまり、株価500円の銘柄があったとして、購入は100株以上から。最低5万円が必要となる。

そんな中、1株から買える証券アプリが登場している。大和証券グループが新たにローンチしたCONNECTもそのひとつ。1株から投資できる「ひな株」の機能を持ち、300銘柄から自由に選べる。さらに、単元以上の通常取引やETFの購入も可能だ。

118年の歴史を誇る大和証券グループの取り組みでありながら、サービス名や会社名には一切その名を冠していない。そんな新しい証券アプリには、どんな工夫が詰まっているのか。運営するCONNECT代表取締役社長の大槻竜児氏に取材した。

少ない資産で、ポートフォリオや配当の価値を感じられる

7月にローンチされたCONNECTは、株式の魅力を「再定義したい」との思いから生まれた。そのキーワードとなるのが「ポートフォリオ」。ひな株(単元未満株)の取引が行えるからこそ、少ない資産で「自分なりのポートフォリオを形成してほしい」と大槻氏は考える。

さまざまな銘柄にバランスよく投資する「分散投資」が基本の中、ポートフォリオの形成はきわめて重要。自分が持つ全体資産のうち、どの資産にどれだけ投資しているのか。その割合を示すのがポートフォリオで、円グラフでよく表現される。

このポートフォリオこそ、CONNECTが大切にする部分。実際、アプリを起動すると、まずポートフォリオの円グラフが表示される。また、同社のロゴマークも円グラフを想起させるデザインとなっている。

「多くの証券サービスは、アプリのメイン画面で購入中の銘柄やそれぞれの損益を表示するでしょうが、私たちが実現したいのは、お客さまが自分なりのポートフォリオを粘土のように少しずつ組んでいくこと。ただし、100株以上の“単元”という縛りがあると、さまざまな銘柄を購入するにはかなりの資金がかかる。ひな株なら、個人の資産で無理なくポートフォリオを組めます」

そのほかにもうひとつ、ひな株で体験してほしいことがあるという。それは「配当」だ。

「株式投資の大きな魅力は配当です。国内株の配当は平均2%ですから、仮に1000万円の株式を保有すれば20万円が入ってくる。株価の上下による利益とは違う価値が出てきます。こちらも、まずは1株購入する中で配当金を得る体験をしてほしい。それが長期で資産形成するモチベーションになればと思います」

数字のフォントは、見やすさを考えて開発したオリジナル

CONNECTでは、ひな株で300銘柄の売買、そして単元以上なら通常の株式取引も行える。たとえばひな株で1株購入した銘柄について、その後コツコツ買い増し、100株以上の単元に達した場合は、特別な手続きなく、ひな株から通常の株に変更される。1株取引と100株取引の「境目をなくす」のが、このサービスで重要だと大槻氏は言う。

手数料の安さも大きな魅力だ。一律で売買代金の0.033%、上限660円となっている。加えて、手数料無料クーポンが毎月10回付与される。当月に使い切れなくても、翌月に繰越されるという手厚さだ。そのほか、月額サービス利用料なども存在しない。

こういった分かりやすい魅力だけでなく、CONNECTには細かな工夫が詰まっている。たとえば、アプリで表示される数字のフォントについて。

「実はオリジナルのフォントを開発しました。具体的には、数字の横幅を10%細く、縦は10%長くしました。たくさんの数字が並ぶので、少しでも読みやすくしたいという思いです」

また、自分の保有銘柄を一覧表示した場合、多くのサービスでは銘柄ごとに現時点での損益が出るが、CONNECTでは表示されない。スマホ画面では、損益まで表示すると「情報が詰まり過ぎて見にくくなる」と大槻氏。また、あくまでこのアプリはポートフォリオの形成をメインに置いている。「資産全体の損益を見てほしい」という思いもあり、こういった表示になっている。

そのほか、証券会社の口座開設といえば、本人確認書類の郵送といった“面倒”があるが、CONNECTでは基本的に必要な紙はゼロ。スマホからの手続きだけで開設可能だ。印鑑不要、本人確認書類もスマホで撮影して送信すればOKとなっている。

さらに、未成年者の利用も可能。親権者の同意があれば、15歳以上から利用できる。

「1株から買えるからこそ、高校生などにも使っていただきたい。新聞やテレビで見る株価そのままの金額で買えるので、分かりやすいはず。若い時にその経験をすれば、社会に出たとき、就職したとき、株価を通じて見えるものがあると思います」

未成年の利用を認めることは、運営する側にとってリスクにもなる。それでも、早いうちから投資を知ってほしい思いがあるからこそ、この年齢設定にしたという。

なお、CONNECTは他サービスとの「連携」も大切にしていく。たとえばユーザーからの問い合わせも、自前のチャット機能は作らずLINEでの問い合わせ機能を入れている。大槻氏は「自分たちで新しく作るより、お客さまが普段使っているツール、使い慣れているアプリを取り入れた方が便利」と、連携の意図を話す。

そもそも、サービス名や社名自体に連携やつながりへの思いが強く出ている。先ほど触れたロゴマークも、ポートフォリオだけでなく、つながっていく様を表現しているという。

実は、そういった連携によって、すでに別のサービスも出している。その内容は「スマホゲーム」や「ポイント運用」など、まさに他社との連携がなければできないサービスばかり。これらの詳細については、別の記事で取り上げたい。

(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2020年8月現在の情報です

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