プロが語る!資産形成のすゝめ

好調な中国と厳しい状況が続くインドネシア

コロナ問題後に格差の広がってきたアジア各国

提供元:アイザワ証券

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新型コロナウイルスの世界的な拡散は続く一方で、原稿執筆時点(8月17日)でも、まだ全く収束の兆しをみせていない。8月11日にはロシアにおいて世界で初めてワクチンが承認されたが、安全性を疑問視する声もあり、まだ不確定要素が多い。今回の件を含めてワクチン開発については、現在各国の主力製薬企業がしのぎを削っているが、まだ特効薬の開発には至っていないという状況だ。

ワクチン開発の進展は一進一退が続いているが、そのなかで、直近はアジア各国でも好調な国と不調な国の格差が鮮明になってきた。好調な国、不調な国を代表例として1つずつ挙げ、その経済、株式市場の現状と見通しを考えてみたい。

好調さが目立つ代表国が中国だ。もともとの世界混乱の元凶は中国だったが、今や経済はほぼ正常化、株式市場でも新値を更新している企業が多く出てきている。まず経済のほうだが、いくつかの景気指標をみるかぎり景気はかなり良好だ。例えば、直近発表された7月の鉱工業生産指数は前年同月比4.8%増であった。コロナ前ほどではないものの着実に改善している。個別企業レベルでも、中国の鉄鋼最大手である宝山鋼鉄は、直近8月12日に9月積みの鋼板価格を引き上げた。価格の引き上げは4か月連続で、中国の鉄鋼業界における主力企業の動きは、中国経済の好調さを象徴しているといえよう。

一方、株式市場のほうを見ると、香港ハンセン指数自体は上値の重いレンジ相場が続いており指数だけを見ればさえない値動きだが、個別でみると、好調な銘柄も目立つ。好調企業の代表格がハイテク、IT企業だ。

中国国内では近年新興産業が急成長しており、ハイテク企業を対象とした新たな指数を求める声が強まっていた。そのなかで、7月27日に香港ハンセン指数公司が新たな指数として、中国の主要テクノロジー企業30社から構成される「ハンセン・テック指数」の算出と公表を開始した。この指数は、インターネット、フィンテック、クラウド、Eコマースなどの主力企業を対象としており、いずれも今の中国でもっともホットな分野だ。このハンセン・テック指数をみることによって、香港ハンセン指数だけではわからない、銘柄物色の流れが見えてきそうだ。

なお、このテック指数の構成上位の個別銘柄をみると、1位がアリババ・グループ、2位がテンセントと、以前から中国で注目されてきた企業だ。2社とも日本円換算での時価総額は50兆円以上と巨大企業で、中国を代表する存在となっている。そして、3位には、これまで比較的知名度が低かった大手フードデリバリーの「美団点評」がランクインした。中国ではもともとフードデリバリーやEコマースに対する需要が旺盛だが、同社はコロナ問題発生後にさらにフードデリバリー需要を取り込み直近の急成長につなげた。「ピンチをチャンスに変えた」好例といえよう。

この企業を含めて、中国では、新興企業が次々に出現し経済や株式市場をけん引する、という新たなかたちができ始めている。当面はこの動きが続く見込みで、今後も新たに勃興してくる産業、個別企業から目が離せない。

中国の好調さが目立つ一方で苦しんでいるのがインドネシアだ。直近発表されたインドネシアの2020年4-6月期GDP成長率は前年同期比▲5.32%と、過去最低レベルにまで落ち込んでいる。もともとここ数年低成長が続いていたことから考えれば、相当悪い数字といえる。これまでは、ジョコ大統領の国民に寄り添うという政治運営が前向きに評価されていたが、景気低迷が長期化する中で、国民からの支持離れにつながっている。

景気落ち込みの主因として、中国需要の剥落、新型コロナウイルス問題などがあるが、それだけではない。ちょうど新型コロナウイルスが世界的に流行し始めていた2020年年初あたりから、インドネシア国内では洪水被害が大規模化、多くの企業の生産活動や国民生活に影響を与えた。もともとインドネシアは治水面に不安を抱えていたが、50年来の大雨で問題が露呈したかたちだ。そのほか資源価格の急落なども資源国であるインドネシアにとってはマイナス材料で、直近のインドネシア経済は四面楚歌の状況で、早期浮上は当面厳しいとみてよいだろう。

ただ、そのなかで唯一前向きな話として期待されていた政策が、首都機能移転計画だ。この計画は第2次ジョコ政権の目玉政策として2019年8月に正式に発表されたもので、発表当時は2021年から正式に移転作業を開始する、というスケジュールが決められていた。今の社会的混乱のなかでは、この長期計画は一旦棚上げとなっているが、実際この作業を行うとなれば、道路や鉄道の整備、都市機能をもつ新たな街の出現などによって、新たなインフラ需要を生む可能性が大きい。国内経済の活性化につながる可能性があり、是非実現にこぎつけてほしい政策だ。

株式市場については、近年の景気低迷が長期化する中で停滞が続いている。ただ、今後上記の移転事業が本格的に開始されることになれば、インフラ需要増からセメントや建設関連企業に対する恩恵が大きいと予想される。直近の株式市場の閉塞状況を打破する可能性を持つ歴史的事業として、この移転計画の今後の推移を見守っていきたい。

(提供元:アイザワ証券)

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