引っ越した後に住民票を変更していないと過料5万円!?
知ってるようで意外と知らない「住民票」のキホン
パスポートの取得や就職、賃貸契約をする際に必要な「住民票」。引っ越した際に役所に届け出て、変更しなければいけないものという認識はあるものの、具体的にどのような情報が記載されているか、知らない人も多いだろう。
そこで、ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子さんに、「住民票」の基礎知識を教えてもらった。
現在の居住関係を公的に証明する「住民票」
「『住民票』とは、その人がどこに住んでいるかという現住所に関する情報を、公的に証明する書類です。『戸籍』と勘違いされやすいのですが、『戸籍』は出生や婚姻歴などの身分事項を証明するもの。『住民票』は、あくまで居住関係に限ったものです」(川部さん・以下同)
「住民票」は自治体ごとに管理されているもので、書式も自治体によって異なり、役所やコンビニエンスストアなどで申請すると、「住民票の写し」が取得できる。「住民票」の原本は役所で管理されるため、「住民票の写し」が発行されるのだ。
「住民票の写し」には、以下の項目が記載される。
・氏名
・生年月日
・性別
・住所
・当該市区町村の住民となった日(または現住所を定めた日)
・前住所(1つ前の住所)
・世帯主名、続柄
・本籍地、在留資格等
・住民票コード
・マイナンバー
「世帯主名や本籍地、マイナンバーなどは、申請時に『住民票の写し』に記載するか選択できます。職場に提出する時など、マイナンバーは知られたくないなと感じたら、記載しないで発行しましょう」
引っ越しから“14日以内”に必ず役所で手続きを
「住民票」は、現在の住まいの状況を証明するものであり、移転時に変更することは、住民基本台帳法で義務づけられている。
「引っ越しをする場合、決まった期間内に『住民票』を変更していないと、最大5万円の過料が発生するという法のルールがあります。きちんと役所で手続きしましょう」
引っ越しをする際に役所に提出する書類は「転居届」「転出届」「転入届」の3種類がある。
●転居届
同じ市区町村内で引っ越しをする際に、役所に提出する書類。届出期間は引っ越した日から14日以内。
●転出届
現在住んでいる市区町村から別の市区町村に引っ越す際に、現在住んでいる市区町村に提出する書類。届出期間は、引っ越し予定日の14日前から引っ越した日の14日後まで。
●転入届
これまで住んでいた市区町村とは別の市区町村に引っ越す際に、新たに住み始める市区町村に提出する書類。届出期間は引っ越した日から14日以内。
「役所で手続きを行う際には、身分証明書と印鑑が必要です。また、印鑑登録証やマイナンバーカードを持っている人は、あわせて持っていきましょう」
印鑑登録証やマイナンバーカードも、居住地や住む自治体が変わった場合に、変更の手続きが必要になる。「住民票」とあわせて手続きを行ってしまえば、何度も役所に行かずに済むのだ。
「国民健康保険に加入している人も、住む自治体が変われば、資格喪失手続き・加入手続きが必要になります。『住民票』と同じく、引っ越した日から14日以内が届出期間になるので、あわせて手続きしましょう」
必要に合わせて「謄本」と「抄本」を選択
「『住民票』の発行時には、同じ世帯の家族全員分がまとめられた『謄本』と自分の分だけの『抄本』から選べます。交通費の申請のために職場に提出する時などは、『抄本』で十分でしょう」
家族を自分の扶養に入れる場合などは、同じ世帯であることを証明するため「謄本」が必要になる。「住民票」を提出する場面に合わせて選ぼう。
日々の生活の中で、意外と発行する機会の多い「住民票」。引っ越す際には、役所への届け出を忘れずに。
(有竹亮介/verb)
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川部紀子
FP・社労士事務所川部商店代表、ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士。日本生命保険相互会社に8年間勤務し、営業の現場で約1000人の相談・プランニングに携わる。2004年、30歳の時に起業。個人レクチャー・講演の受講者は3万人を超えた。著書に『まだ間に合う 老後資金4000万円をつくる! お金の貯め方・増やし方』など。