投資信託のトレンドが分かる!
2020年7月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2020年7月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「再び資金流入超へ転じる」
7月の資金流出入動向は再び流入超へ転じた。外国株式の流入額が大幅に拡大したことや外国債券が流入超に転じたことに加え、国内株式の流出額が縮小したことで、当月は約4,800億円の資金が流入した。
資金流入では、前月まで縮小傾向にあった外国株式の流入額が、当月は大幅に増加し、投信市場全体の流入額をけん引した。また前月まで流出超が続いていた外国債券は当月は流入超に転じた。一方、不動産投信には引き続き資金が流入するも、流入額は縮小した。
資金流出では、国内株式、エマージング債券の流出超が継続した。また、ハイイールド債券は、足許の数ヵ月は流入超となっていたが、当月は再び流出超となった。
個別ファンドで当月の資金流入額が大きかったのは、当月新規設定の「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(ヘッジなし)」(AM-One)が1位となった。次いで、2位、3位にも当月の新規設定ファンドが並んだ。2位は「デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド」(日興)、3位には「HSBCグローバル・ターゲット利回り債券F2020-07」(HSBC)であった。
(図表1)主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
2.投信市場のパフォーマンス動向
「2ヵ月連続でエマージング株式がリターン首位」
7月の金融市場は、月前半は前月からのリスク選好姿勢が継続した。しかし、月後半は、米国や新興国ではリスク資産が堅調に推移した一方で、日本や欧州ではリスクオフとなり、明暗の分かれる展開となった。
株式市場は、経済活動正常化の動きを背景に、月前半は世界的に上昇した。その後、米国株式はハイテク株など一部の好業績銘柄が相場をけん引し、前月末比で上昇したが、国内株式や欧州株式は、軟調な企業決算や、円、ユーロともに対ドルで急速に通貨高が進行したことを嫌気して下落した。
債券市場は、前月末比で上昇した。新型コロナウイルスの感染拡大や米中関係の悪化が続く中、FRBの金融緩和政策が長期化する見通しが強まり、米国を中心に金利は世界的に低下した。
為替市場は、米ドル・円は円高、ユーロ・円は円安となった。米ドル・円は、もみ合う展開が続いていたが、月後半に米中間の対立が激化したことや、FRBの緩和的な姿勢を背景に急速に円高が進行した。ユーロ・円は巨額の欧州復興基金設立が合意に至ったことから、前月末比で円安となった。
これらを背景に、7月の投信市場では、国内株式を除く全てのカテゴリーでプラスとなった。リターン首位は、前月に続いてエマージング株式となった。良好な経済指標を背景に、中国株式が大きく上昇したことが寄与した。国内株式は月後半まで堅調に推移していたが、市場予想を下回る企業決算が相次いだことや、国内で新型コロナウイルスの感染が拡大したことが嫌気され、最終週に大きく下落した。
直近1ヵ月、直近3ヵ月のリターンは、エマージング株式が首位となった。中国株式が経済回復への期待から月初に急騰し、月後半には米中関係の悪化からやや反落したものの、前月末対比で大きく上昇した。
個別ファンドの1ヵ月リターンでは、新型コロナウイルスの感染拡大や米中対立激化に伴う実体経済への先行き不安から、金の魅力が相対的に強まったことが影響したことで「ブラックロック・ゴールドメタルA」が首位となった。
(図表2)パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「新規設定額、設定本数ともに大幅増加」
当月の新規設定は33本と前月の12本から大幅に増加し、設定額も約6,020億円と前月の約430億円から大幅に増加した。設定額は上位2本で全体の約8割を占めており、いずれも「外国株式型」のファンドであった。
設定額首位は「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(ヘッジなし)」(AM-One)(約3,930億円)。2000年2月に設定された「ノムラ日本株戦略ファンド(Big Project-N)」(野村)(約7,920億円)に次ぐ2番目に大きい当初設定額となった。
(図表3)新規設定金額、設定本数の推移
最後に、7月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
(図表4)資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)