企業と個人がアフターコロナを生き残る術とは?

厚切りジェイソンさん「いま求められている価値を追求しろ!」

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お笑い芸人、コメンテーター、IT企業役員など、マルチに活躍する厚切りジェイソンさん。鋭い視点で日本人の文化や習慣を見つめる彼に、新型コロナウイルスの影響で激変する社会において、個人そして企業が生き残るために必要なことは何なのかを聞きました。

ゾンビ会社に居続けていいの?失敗を恐れないで行動する勇気を

――アフターコロナの時代に、個人と企業はどのように変化すると思われますか?

「リモートワークの定着」「脱・大都市」ですね。まず、リモートワークですが、密を避けるため、これまでのビジネススタイルを変えなくてはいけなかった。その結果、別に出社しなくても仕事ができることに気づいた人は、きっと多いですよね。とはいえ、企業によってリモートワークができるかどうか、判断が分かれると思います。でも、本社ビルからある程度の人数を減らせるはず。そうすると大都市に住む必要がなくなるし、どこにいても働ける人が増えると思います。

――実際、リモートワーク推奨の企業も増えていますが、働き方の変化にともなってマネジメントや評価の方法に難しさを感じているケースも少なくないと思います。

はっきり言って成果物で評価した方がいいですよね。それができる企業は進化すると思いますし、できない企業は生き残れないと思う。というか、コロナ禍であろうとなかろうと、売上や利益につながる成果をちゃんと出せる人に、きちんとした評価を出すというのが本来正しいんじゃないですか?

――ただ、普段の業務をひたむきに頑張っている人、長く働いている人の方が評価されがちな気がします。

それって燃費の悪い自動車に高いローンを払い続けているみたいなものだね。燃費が良い自動車がいいに決まっているのに。壊れそうな自動車が最後まで走りきったところで、みんな喜ぶんですかね? 僕はそうは思わないし、燃費の悪い自動車は買い替えればいいと思っているんですよ。でも、これから成果物で評価する流れは加速すると思う。さっきも言ったけどそうじゃないと生き残れないからね。

――個人も、自分自身が燃費の悪い自動車になっていないか、客観的に考えることが必要ですね。

いま日本の企業は、うまくいってもいかなくても誰もクビにならないし、破産しないからゾンビ会社がすごく多いよね。本当は、伸びそうな会社にデキる人がどんどん転職した方がいいけど、多くの人は同じ会社に勤め続けるし、ひとつの仕事をはじめたら死ぬまでやる。何があっても、うまくいかなくても、価値がなくてもやる。それはもったいないですよね。

――確かに、自分の仕事に疑問を感じても、すぐに転職しようという人は少数かもしれません。

それは、機会の損失だよ。もっといろいろな仕事ができたかもしれないのに、失敗を極端に恐れている日本人が多い気がする。でもそれって、失敗できない雰囲気を作っている社会が原因だと思うんですよ。失敗した方がいい。もし勤めている会社でうまくいかないって気づいたら、早く次のステージに移った方がいいよ。

――厚切りさんは、一流企業に勤務された経歴をお持ちですが、どのような観点で勤め先を選ばれてきたのでしょうか?

成長のスピードが速そうな企業かどうかが最優先だったね。その方が、なりたい自分に早くなれるでしょ? ちなみに、僕が最初に就職した企業は、正社員で働きながら修士号取得のための学費を負担してくれる条件を提示してくれました。なので、3年間で修士号を取るつもりでその企業に入社して、計画通り3年間で取得できたので、その直後に転職しました。

――おぉ、会社をうまく使われていらっしゃる! 

僕は自分に自信があったから、とりあえず早くたくさんの経験を積んで成長したかっただけだよ。

――ただ、そこまで明確な目標がない人は、会社の知名度や収入で選びがちかもしれません。

それはそれで別に構わないと思いますよ。「死ぬまでずっと同じ企業で働くこと」を前提条件にしていればいいんじゃないかな。でも、やりたいこともなく、周りに載せられた荷物を背負って、ただまっすぐ歩くだけで楽しいのかな? それってとても薄っぺらな人生だよね。だけど、きっとそのことにすら気づいてないから、辛くもないのか。それで本人が幸せなら何も言うことはないよ。

マーケットは以前とはもう違う。だからこそ新しい価値で勝負するべき

――コロナ禍に直面したことで、ライフスタイルを見つめ直した人も多いと思います。ただ、理想とするライフスタイルの実現に向けて、なかなか行動に移せない人もいますよね。

なんで移せないんだろう? 本当に実現させたいと思ったら行動するよね。「こんなことしたいな」と思いながら行動しないのは、本当はそこまでやりたくないという証拠じゃないかな。「本当はやりたくない」って気づいた方がストレスを感じなくなると思うけどね。

――なぜ本当はやりたくないのに、なんでごまかしてしまうのでしょうか。

たぶん自分に嘘をついて、楽をしたいんだと思う。とりあえず「やりたい」って言ってる方が、何もしないよりは人生が充実する気がしちゃうからかもね。でも、いざやって失敗したら自分の責任になるから、結局は行動に移さないんじゃない?

――責任ですか?

だって何もしなかったら、自分に言い訳できますよね? やってみてダメだったら自分の責任だけど、何もしなかったら、その責任が発生しないでしょ。だから何もしない人生を選ぶ人が多いんじゃないかな。それでその人が満足する人生を送れるならそれでいいと思うけど。

――ただ、個人・企業ともに、これまでの働き方をすぐには変えられないという声も多いと思います。

その考え方を変えるべきだね。「これまで通りのやり方をどう変えていくか」ではなく、「いま最も価値がある方法は何か」に頭を使った方がいいですね。「いままでこうやってきたけど、コロナ禍ではどうできるのか?」ではダメだと思う。個人も企業も、そのときどきに生じるニーズに応える方法を、いちから考えた方がいい。

――それはたとえば、飲食店が宅配サービスをはじめてみる、といったことでしょうか?

それは、これまでのやり方を少し変えただけだよね。たとえば、アメリカで実際にあった例ですが、ただ単にレストランが料理を配達するのではなく、自分で料理できるようにレシピ付きのキットを開発したそうです。あと、食材を届けて、料理人の生配信で一緒に作りましょう、というサービスもあるとか。オンラインでいろいろな人とつながって、一緒に料理を作れて楽しいと評判になっていたようです。

――確かにそれは新しい価値を感じます。

これまでのビジネスを維持することにこだわるのではなく、蓄積した知識をベースにどんなビジネスができるのかを考え直すと可能性が広がると思います。でも、多くの人はこれまで通りのビジネスしか考えていない。もちろん、それでもうまくいくかもしれないけど、ビジネスチャンスに限りがあるよね。

――なるほど。

新しい可能性に目を向けてチャレンジすれば、これまでのビジネスを超える規模になる可能性もあるはず。そういった可能性を見つけるためにも、いま何が求められているのか、日々考える癖をつけることが大事だと思います。コロナで世界の状況が大きく変わっているので、これまでと同じマーケットだと思わないことですね。それができない経営者はイマイチ!

――個人レベルで求められる変化についてはどうでしょうか。コロナ禍で著しく変わるビジネス環境に不安を抱えている人も多いと思うのですが。

個人も企業と同じで、いま何を必要とされているか考えて、必要とされているスキルを身につければいいと思う。必要とされないスキルを持ち続けてもしょうがないでしょ? それは、コロナ禍だからということではなくて、ずっとそういうものでしょ。ひとつ言えるのは、「こういう資格を持っておくといいって聞いたから資格を取った」ではダメですね。自分の頭で考えなきゃ。

――もし考えるためのヒントがあれば、教えてもらいたいです!

本を読むとか情報を仕入れるというよりも、自分で考えることに力を入れればいいと思います。毎日、ちょっとしたスキマ時間に考えてみる習慣を作ればいいんじゃないかな。

(末吉陽子/やじろべえ)

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