子育てにまつわるお金の話

子どもが勉強しないのは当たり前!

厚切りジェイソンさん「教育は“作業”じゃない! 子どもに学ぶ意味と楽しさを」

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米国出身のお笑い芸人としてお馴染みの厚切りジェイソンさん。現在、Eテレの「えいごであそぼ with Orton」「why!?プログラミング」にメインキャストとして出演しており、子どもから絶大な人気を誇っています。自身も3人の子どもを持つ父親である厚切りさんに、日本の学校教育、家庭教育の問題点について語っていただきました。

“平均的な教育”は誰のためにもならない

――厚切りさんが日本の学校教育を俯瞰したときに、ここが変だと感じることはありますか?

全員が同じ教科書、同じ内容、同じレベルのものを学ぶことですね。アメリカでは理解が進んでいる子どもは進級できるし、時間がかかる子どもはゆっくり学ぶことができます。でも、日本の場合は、毎年必ず1年進級することを重んじるでしょ? 平均的な教育は、実は誰のためにもなっていない。なぜなら平均的な人は存在しないから。

――子ども一人ひとりの特性に合わせた教育が大事だと。

だって理解が早い子にとっては、平均的な学習をするよりも早く学習を進めた方がいいし、逆に理解が遅い子にとっては進みが早いからストレスだよね。じゃあ皆が足並みを揃える教育って、誰のための教育なんだろう?

――うぅっ、いい答えが見つからない……。いずれにしても、学校が決めたカリキュラムや決まりを淡々とこなして、後れを取らないように頑張ることに重きが置かれているとは思います。

決まりだからっていう理由は一番嫌い。もし、その決まりが間違っていたとしても、決まりだから間違ってないよってことになりますよね。そうしたら、自分の頭で何も考えられない人になるんですよね。やれと言われたからやる、いい子はやるんだからやるって、それ人間でも何でもないじゃん。ロボットだね!

――ロボット……。

ロボットがいっぱいいれば、上手く操縦できる経営者が儲かる仕組みを作れるよね。せっかく人間に生まれたのに、誰かを儲けさせるための道具でいいのか!? 僕は嫌だけど、それでいいならどうぞご自由に。

英語もマネーも、まずは「学ぶ理由」を教えるべき

――日本人は英語を話せない人がほとんどだと言われていますが、日本の英語教育の問題点は何だと思われますか?

一番は、英語の勉強にかける時間が足りないことでしょ。毎日3時間、週5日勉強したら、ある程度話せるようになると思うけど、そこまで時間をかけている子どもは少ないよね。

――つまり、英語授業の時間を増やせばいいと?

授業ではなく、学校外でどれくらい勉強するかだね。授業でやるべきなのは、子どもに興味を湧かせること。そして、どうすれば自分の努力で英語を身につけることができるのかを教えることだと思います。

――英語を教えること自体が授業の役割ではないということでしょうか。

というか、いまの日本の英語教育って作業ですよね。「これをこなしたら、次はこれをやれ」ってやることが多すぎるし、子どもは興味なんて持てないよ。英単語や文法の暗記は、子どもにとってはやらないといけない作業。そんなことして、子どもがやる気になるなんて難しいですよ。

――そう言われてみると、心当たりがありすぎます(笑)。

でしょ? あと、親が英語できないくせに、子どもに「英語を勉強しなさい」って言いますよね。そんなこと言われても、子どもは「パパとママが英語できないのになぜやらなきゃいけないの?」って思いますよ。学校の先生もそんなに英語を話せないのに教えているよね。どちらにせよ説得力がありません。

――確かに、テストや受験のための「英語教育」になっていますよね。

そう、コミュニケーションのためではないんですよ。点数を取るための英単語暗記であり、文法の理解。それでは、英語を話せるようにはなりません。きっとほとんどの人は英語が嫌いになるし、勉強したところで後味の悪さが残るだけですよ。

――では、厚切りさんが考える理想的な英語教育とは?

まずは、楽しませながら教えること。たとえば、僕は自分の子どもたちに教えるときに、英語で書かれたちょっとしたストーリーを読んでもらい、そのストーリーについて質問したり、続きを考えてもらったりしています。そうすると、面白がってくれるから、自分で勝手に英単語を覚えてくれる。だから、僕が勉強しなさいって言わなくても、英語を勉強してますよ。でも、そうやって楽しませることを重視して、勉強を教えようとしている親や教師は少ないよね。あとは、なぜ英語を学ばないといけないのか、理由を説明した方がいいと思う。

――英語を学んだ方がいい理由って何でしょう?

まず、英語はアメリカやイギリスだけではなく、いろんな国の人たちがしゃべれます。母国語ではなく第2外国語で英語を覚えるところが多いので、英語がしゃべれると話せる人間が増えるよね。コミュニケーションができれば、たくさんの人の考え方を知ることができます。日本語しか話せないと、日本人の考え方以外を理解することが難しいから、世界が狭くなるよね。通訳もいるし、翻訳もあるから十分って思うかもしれないけど、どうしても通訳者・翻訳者の偏見が入る。本当の意味で、相手や原作に触れ、理解したことにはなりません。

あとは、研究成果や論文は英語で作成されますよね。日本のウィキペディアのページ数は英語のページにくらべてすごく少ない。つまり英語と日本語では、情報のスピードや量に差があります。つまり、英語を話せる、理解できることで、世界が広がるしいろいろなことが有利になるということです。

――それを聞くと、やっぱり英語を勉強しなきゃなって思います。

そう思えばすればいいんじゃない? 勉強しなきゃって思う人と思わない人が両方いるだろうけど、全員がやる必要があるとは僕は思いません。でも、なんで勉強するのかを分からせようとしないまま、なぜか学ばせているのはどうかと思う。そして、教えようとしている人たちも英語ができないのに、「とりあえずThis is a pen覚えろやー!」ってどうなの?

――では、マネー教育についてはどうでしょうか? 日本では投資はおろか、お金について学校や親が教育する文化がありません。

これも英語と一緒で、学ぶ意味を教えないと意味がないと思います。僕が考えるお金を学ぶ意味は、「お金があると、より自由に生きられる」です。他にも、理由を挙げようと思えば、いくらでもありますが、突き詰めれば、苦労せずに楽に生きるために必要だから学ぶということだと思います。

――それを分かっているけど、いざ勉強するとなると及び腰になってしまう人がいる気もします。

社会が守ってくれるって勘違いしているからじゃない? 社会が守ってくれることを期待するよりも、自分の力で息をすることを考えた方がいいと思う。

家庭教育は子どもに考える力を与えられる

――自分の頭で考えられるようになるためには、学校だけではなく、家庭教育も大事だと思うのですが。

それはそうだね。家庭でスキルを補足する必要があると思います。それをしない親は、責任を持ちたくないだけでしょう。学校や塾に任せておけば、誰かのせいにできるし、言い訳できるもんね。自分が教えて子どもができるようにならなければ、自分のせい。その負担を感じたくないんじゃないかな。

――責任を持つ覚悟で向き合った方がいいですよね?

僕はそう思いますけど。塾はテストでいい点数を取る、大学に合格する方法を教える場所でしょ? 自分の頭で考えられるように鍛える場所ではないよね。それはやっぱり家でやらないと。塾でいい点数を取れるようにはなっても、生きる土台になる思考力は身につかないよ。

――厚切りさんは、どのような家庭教育を心掛けていますか?

自分の頭で物事を解決させるように促しています。たとえば、姉妹がケンカしているときは、仲裁に入りません。たとえば、「お父さん、妹がこんなことしてきた」と言ってきたとして、「それで君はどうするの? どうやったら解決すると思う?」と問いかけますね。全部解決してあげようとすると、自分が一人で解決できるようになりません。

――なるほど。簡単に最適解を与えないということですね。

そうですね。たとえば、宿題をやりたくないと言ってきたとして、「なんでやりたくない? やらなかったらどうなる?」と問いかけます。それでもやりたくないと言うなら、「じゃあ白紙を出してみたら?」と言います。本当に白紙で出したらどうなるか経験してみて、そこからさらに考えることがあるはずだから。でも、日本の親は失敗を恐れて守ろうとするよね。「いいから黙ってやって!」「ちゃんとやったらお菓子を買ってあげるから」みたいなね。

――確かに、先回りしてコントロールしようとする親が多いかもしれません。

でも、いつまで守れるんだろう? 子どもの頃から守りきっていると、親元を離れたときに困る場面が多いと思うんです。失敗したことない、考えたことない、言われた通りのことしかやったことない人が、社会に出て自分の頭で考えないといけなくなったら、どうするんだろう。社会に出たら学校の勉強とは違って、絶対に正しい答えなんてないでしょ? 子どもの将来を思うなら、とにかく家庭では考える習慣を身につけさせた方がいいと思うね。

(末吉陽子/やじろべえ)

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