投資家の本棚

【投資家の本棚】

【厚切りジェイソンさん】聖書に次いで米国人に影響を与えた本!『肩をすくめるアトラス』

TAGS.


お笑い芸人の厚切りジェイソンさんは、IT企業役員の一面も持つビジネスパーソンです。型にはまらない働き方を実践する彼ですが、どの仕事においても「真の価値を提供すること」にこだわっているといいます。そのポリシーを醸成した背景にあるのが、一冊の小説『肩をすくめるアトラス』。

日本人にはあまり聞き馴染みのないタイトルですが、米国アメリカ議会図書館が「人生で最も影響を受けた本」を調査したところ、同書は聖書に次ぐ2位だったとのこと。本の内容や影響を受けたポイントについて、厚切りさんに教えてもらいました。

【書籍の概要】
『肩をすくめるアトラス』(アイン・ランド著)


~あらすじ~
タッガート大陸横断鉄道の副社長を務める主人公、ダグニー・タッガート。政治的駆け引きに明け暮れる兄で社長のジムと対立しながら鉄道を経営している。ダグニーはあるとき、優秀な人材が見つからないことに気づく。鉄道運営の重要ポストを任せられる有能な人材も続々と退職。かたや、国は社会主義政策を進め、企業活動を阻む産業統制が強化されるが、同時に深刻な不況に見舞われ、ダグニーは国家の崩壊を危惧する。

そうした中、有能な経営者や技術者が「ジョン・ゴールトって誰?」と謎の文句を呟き、次々と消えていく。ダグニーは「ジョン・ゴールト」という人物がアメリカ合衆国の破壊を目論んでいるのではと推測するのだが――。

ジョン・ゴールトとは何者なのか、金儲けと道徳の問題をどう克服するべきなのか、ミステリー小説と思想小説の両方を併せ持つ大著。

~厚切りさんコメント~
有能な人材がいなくなり、仕事をしない人が残った社会はどうなるのかを描いた作品です。実力がある人が何も貢献していない人ばかりの社会に嫌気がさして、自分たちで新たなユートピアを作るというテーマがとても斬新! 著者のアイン・ランドは“保守の女神”とも呼ばれていますが、アメリカの政治家に大きな影響を与えた作家のひとり。共和党の思想を理解するうえで役立つ一冊だと思います。物語を通して、資本主義やキャピタリズムの根本的な考え方が分かるかもしれません。

【影響を受けたポイント】
この本を読んだのは大学生の頃です。有名な本なので手にとってみました。この本から一番学んだのは、「自分が価値のあるものを作れば、それが社会のためになる」ということ。極端にいえば、自分が価値を生産していなければ、社会に価値を与えられていないという考え方です。肝心なのは“自分が作る”ことで、すでにあるものを奪って生活するのではなく、自分が常に何かを生み出さなくてはいけないとアイン・ランドは訴えたかったのだと思います。

この物語はリアルな世界ともリンクしていると思います。アメリカも日本も資本主義社会ですが、現実を見ると価値を与えていない人たちが働いて、お金を稼いでいますよね? 小説でも描かれていますが、実はそうした人たちがいなくなっても、社会は何も変わらない。その人たちは吸血鬼みたいなもので、社会の生命を奪っているだけ。価値を与えていない人たちだけの社会になったら、どれほど大変なことなのかを痛感する物語ですね。

では、価値とは何でしょうか? 僕は「根本的な問題を解決しているかどうか」だと思います。たとえば、分かりやすいのは薬ですよね。病気を解決するために作られた薬は、そのものに価値があり、人々はその価値に見合うお金を支払います。つまり、その薬を作った人たちは社会に価値を与えている人だと言えるでしょう。

では、薬の広告はどうでしょうか。いい薬を知らない人に情報を届ける、つまり「知名度」という価値を作ることで、「誰も知らない」問題を解決している点において価値がある。このように価値の考え方はとても幅広いものです。


一方で、ニーズばかりを作って、価値を作れていない仕事がありますよね。言い換えると、根本的な問題を解決できていない仕事。価値を作っていないのに給料を払い続けたら、社会はどうなるでしょうか? たくさんのニーズを作った人が高い給料をもらうことが当たり前になると、みんなニーズばかり作って、価値あるものを作らなくなりますよね。その社会に明るい未来はあるでしょうか?

僕は『肩をすくめるアトラス』を読んで、価値ある仕事をする人間にならなければいけないと思いました。「目指すべきは常に価値のあるものを作り続ける人であり、社会の生命を奪う人になっていけない」。これは、社会人になってからずっと心掛けていることです。その意味でも、この本はビジネスパーソンとしての自分を支える“思想の土台”になっています。

(末吉陽子/やじろべえ)

設問1※必須
現在、株式等(投信、ETF、REIT等も含む)に投資経験はありますか?
設問2※必須
この記事は参考になりましたか?
記事のご感想などをお寄せください。
(200文字以内)

注目キーワード