投資信託のトレンドが分かる!
2020年8月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2020年8月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「流入超が継続も流入額は大幅に減少」
8月の資金流出入動向は流入超となったが流入額は減少した。前月は約4,740億円の資金が流入したが、外国株式の流入額が減少したことや外国債券が流出超に転じたことに加え、国内株式の流出額が増加したことで、当月の流入額は約850億円となった。
資金流入では、前月大幅に増加した外国株式の流入額は、流入超を維持したものの減少した。不動産投信も引き続き資金が流入したが、流入額は減少した。一方、前月まで流出超が続いていた国内債券は当月は流入超に転じた。
資金流出では、国内株式、ハイイールド債券の流出超が継続し、流出額は増加した。また、外国債券は前月に流入超に転じていたが、当月は再び流出超となった。一方で、新興国株式や新興国債券は流出超が続いているが、流出額は減少した。
個別ファンドで当月の資金流入額が大きかったのは、「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(ヘッジなし)」(AM-One)(約840億円)が1位となった。2位は「デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド」(日興)(約700億円)、次いで3位には当月新規設定の「野村ブラックロック循環経済関連株投信 B」(野村)(約520億円)であった。
(図表1)主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
2.投信市場のパフォーマンス動向
「株式カテゴリーが上位を独占」
8月の金融市場は、世界的な株高・債券安となった。各国で経済活動の正常化に向けた動きが進んでいることや、積極的な経済対策がとられていることからリスク選好ムードが継続した。
株式市場は、米国市場が主導し世界的に上昇した。米国株は、月初に堅調な米経済指標が発表され、強い展開となった。月半ばには米中関係の悪化が重石となり上値が抑えられたが、月末には業績が好調なハイテク関連企業が相場をけん引し、S&P500やナスダックは最高値を更新した。
債券市場は、前月末比で下落した。株式市場でリスク選好姿勢が継続したことや、FRBが長期的なインフレ目標の上振れを容認する姿勢を示したことを受け、米国金利を中心に上昇した。
為替市場は、米ドル・円は横ばい、ユーロ・円は円安となった。米ドル・円は、好調な株式相場や日米金利差の増加が円安米ドル高要因となったが、米中関係の悪化や安倍首相が辞任を表明したことが円高要因となり、前月末比では横ばいとなった。ユーロ・円は、7月に合意された欧州復興基金への期待やユーロ圏の経常黒字増加を受け、円安ユーロ高となった。
これらを背景に、8月の投信市場では、国内債券を除く全てのカテゴリーでプラスとなった。リターン上位は、米国市場が主導し世界的な株高となったことから株式カテゴリーが独占した。堅調な米経済指標が発表されたことや業績が好調なハイテク関連企業がプラスに寄与した。一方で、国内債券のリターンはマイナスとなった。株式市場でリスク選好姿勢が継続したことなどから、グローバルな金利上昇を背景に国内金利が上昇(債券価格は下落)した。
個別ファンドの1ヵ月リターンでは、国内株式市場が堅調だったこともあり、日本株ブル型ファンドが上位にランクインした。
(図表2)パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「新規設定額、設定本数とも大幅に減少」
当月の新規設定は17本と前月の33本から半減し、設定額も約870億円と大型ファンドの設定があった前月(約6,020億円)から大幅に減少した。当月は「外国株式型」が設定額の9割以上を占めた。
設定額首位は「野村ブラックロック循環経済関連株投信 B」(野村)(約450億円)、次いで「同ファンド A」(野村)(約330億円)となった。当ファンドは環境保護と経済成長の両立を実現する新たな経済モデル「循環経済(サーキュラー・エコノミー)」に着目し銘柄選択を行うファンドである。
(図表3)新規設定金額、設定本数の推移
最後に、8月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
(図表4)資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)