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貴金属のETFについて少し詳しくなってみませんか?

提供元:エイチ・エス証券

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コロナウィルスによる感染拡大の影響を受けて、今年前半のマーケットは大きく変動しました。こうした中、安全資産としての金に注目が集まるとともに、各国の中央銀行による継続的な資金供給で生じた過剰流動性が金にも流入したことで、7月には史上最高値を更新するなど金価格の上昇が話題になりました。

商品ETF(上場投資信託)の中で金を対象としたETFは代表的なものですが、金のETFにもいくつか種類があり、さらに貴金属全体に視野を広げると、銀、白金(プラチナ)、パラジウムなどもETFの対象となっています。

株式や債券などの金融資産は、企業や国が発行するものです。そのため、発行体の財政状態が悪化して破綻した場合には、株式や債券は無価値になる可能性があります。一方、貴金属は実物資産として「もの」自体に価値があり埋蔵量にも限界があるため、無価値になることは基本的にはありません。今回は、こうした貴金属を対象としたETFについて、詳しく見ていきましょう。

それでは、まず金のETFについて見てみると、東京証券取引所(以下「東証」といいます。)に上場されている「商品ETF」の中で金に関連するETFには、以下の3銘柄があります。

(1)SPDRゴールドシェア[銘柄コード:1326]
(2)金価格連動型上場投資信託[銘柄コード:1328]
(3)純金上場信託 (現物国内保管型) [銘柄コード:1540]

金は、光輝く美しさとその希少性、また酸化や腐食しない特性から不変性の象徴として古代より宝飾品として珍重されてきました。また、通貨としても流通しており、18世紀にはじまった金本位制により1970年代までは世界各国の通貨が金と結びついていました。金の価値は先進国でも発展途上国でも世界共通であることから、金本位制が終了した現在でも、世界各国の中央銀行で外貨準備として一定の金が保有されています。

金の需要の約5割が宝飾品用で中国とインドが二大消費国となっています。世界各国の中央銀行などの公的機関、あるいはコインや金地金などへの投資家による保有目的の需要が約4割、工業用需要は約1割に過ぎません。また、金の供給の約7割が鉱山から産出され、中国、オーストラリア、ロシア、米国、インドネシアが上位の産出国となっています。携帯電話や自動車部品などをスクラップして産出される金が約3割あり、意外と大きな比率を占めています。

金は、国際情勢や株式市場に大きな変化がある場合などには安全資産として購入され、発行体の信用リスクのある株式や債券などの金融資産と異なる値動きをする傾向があります。「有事の金」という言葉があり、1970年代の米ソ冷戦時代に、核戦争への不安から最後に残るのは実物資産の金との考えから金の価格が高騰したことに由来します。実際に、リーマンショックや欧州債務危機、今回のコロナウィルスの感染拡大の状況において、金価格は上昇しました。

ただし、安全資産とされている金も他の金融資産に近い値動きをするケースも見られるようになっています。それは、二大消費国である中国とインドでは宝飾品用途が需要の中心であり、世界経済への両国の影響力が高まるにつれその景気動向が金価格にも影響を与えることや、投資ファンドが他の金融資産の下落時に金を換金売りすること、金融政策に伴う過剰流動性などがその要因となっています。

次に、金以外の貴金属を見ていくと、東証に上場されている「商品ETF」の中で、金以外の貴金属に関連するETF(バスケット型を除く。)には、以下の4銘柄があります。

(4)純銀上場信託 (現物保管型) [銘柄コード:1542
(5)純プラチナ上場信託 (現物保管型) [銘柄コード:1541]
(6)NEXT FUNDS 日経・JPX白金指数連動型上場投信[銘柄コード:1682]
(7)純パラジウム上場信託 (現物保管型)[銘柄コード:1543]

これらのETFについて、それぞれが参照している貴金属の特徴を見ていきます。

まず(4)の銀ですが、銀は金と同様に主に宝飾品や通貨として利用されてきました。しかし、16世紀以降に大規模銀山が開発されて銀の生産量が増加することにより、その希少性が失われ、金との価格差が拡がりました。

現在では、工業分野での需要が5割以上を占めており、かつては写真フィルム用の需要が銀需要の最大分野でしたが、デジタルカメラの普及とともにシェアは低下しており、現在では半導体などの電子材料分野や太陽光発電などの材料への需要が中心となっています。また、需要の約2割は宝飾品や銀器の用途で占めており、主な消費国では、銀食器の人気が高いインドや、中国、イタリア、タイの4ヶ国その7割弱を占めています。

銀の供給では、メキシコ、ペルー、中国などが主な産出国で約5割を占め、銅や鉛、亜鉛、ニッケルなどの副産物として産出されることが多いため、銀の生産動向や価格動向はそれら非鉄金属の生産動向や価格動向に左右されることも少なくありません。また、他の貴金属に比べ、銀の価格は物価やインフレ動向に敏感で、かつ、金よりも値動きが激しいという傾向があります。

次に(5)と(6)の白金(プラチナ)は、希少性が高く、有史以来の生産量は5,100トンで金の約30分の1しかありません。一般的にはジュエリー素材と思われがちですが、実際には宝飾品としての需要は約3割で、ディーゼル車の排ガス触媒など工業用としての需要が約6割を占めます。そのため、金の価格と比べると、世界情勢、特に自動車の販売情勢や中国での宝飾品の需要などに影響を受けます。また、白金の約7割は南アフリカで生産されているため、南アフリカの政治・経済情勢も白金の価格変動要因になります。

最後に(7)のパラジウムですが、希少性が高く、金属としては腐食や酸化に強く触媒作用があります。そのため、自動車触媒や電子工業などの工業用需要が総需要量の約9割をしめ、歯科材料やジュエリー材料などにも幅広く使用されていますが、技術の発達により実用化が可能となったのは比較的最近です。

主な産出国はロシアと南アフリカで、この2ヶ国で鉱山生産量の約8割を占めています。パラジウムの価格は、その需要の中心が工業用であるため、日米欧の景気動向が重要視され、特に自動車産業の動向に大きな影響を受けます。また、白金の代替商品としての性格があり、白金が高くなりすぎると、自動車用触媒でパラジウムの割合を増やすなどの傾向も見られます。

一般的に商品(コモディティ)は、インフレに強く、株式や債券の価格との連動性が低いとされます。特に金は、有史以来その価値が認められ、「有事の金」という言葉があるように国際情勢や世界経済への不安がある際に資金が集まる傾向があり、長期的な財産保全のための分散投資の一つの手法として有効であると考えられます。

また、金以外の銀、白金、パラジウムなどの貴金属についても、それぞれの需給動向や金との違いを通して価格変動の特徴を知ることで、資産運用の手法の幅を広げることができます。さらに、こうした貴金属の価格は世界の様々な事象の影響を受けるため、世界的視野を育むための大きな力になるとも考えられます。そうした意味においても、是非貴金属ETFへの関心を高められてみてはいかがでしょうか。

(提供元:エイチ・エス証券)

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