投資家の本棚

投資人生を変えた本とは?【投資家の本棚】

【デイトレーダー・むらやんさん】感情を制する者が勝つ!投資に必要なメンタルを学べる本『ゾーン 相場心理学入門』

TAGS.


投資で資産を築き、羨望の眼差しを向けられる投資家たち。しかし、彼らとて努力せずに、いまがあるわけではない。ゼロから知識を身につけ、実践してきたからこそ、確かな結果を手に入れることができたのだ。そんな彼らの“投資脳”を育てた土台となっているのが、書籍である。そこで、投資家たちの本棚にしまわれる珠玉の一冊を紹介してもらおう、というのがこちらの連載。

第5回は、デイトレーダー・むらやんさんにインタビュー。26歳のときに知識ゼロから株式投資を始め、貯金の500万円を元手にトレードするも、あえなく250万円を失うという苦い経験を持つ。しかし、失敗をバネに猛勉強を重ね、15年で2億円近い資産を築いた。そこで、今回はむらやんさんに、ご自身の投資スタイルに影響を与えた一冊をご紹介いただく。

【むらやんさんの一冊】
『ゾーン 相場心理学入門』(マーク・ダグラス著)


投資に向き合う人間の心理をひもといた一冊です。著者のマーク・ダグラスは、銀行やファンド・マネジャーなど、金融のプロフェッショナル向けにトレード心理学に関するセミナーや研修プログラムを開発している人物。トレードのコーチとして、数多くの投資家を育成してきた実績を持つ人物で、アメリカをはじめ金融業界で一目置かれている存在です。

ダグラス自身もトレードで失敗した経験を持つことから、マーケットのあらゆる局面で心の問題がマイナスに働くことを悟り、トレード心理学を体系化。投資で継続的に成功を収めるために必要な心理テクニックを、あますところなく紹介しています。

投資においては、優れた分析力や奥深い知識があったとしても、決断を間違えれば資産を失うことが少なくありません。実際、トレードの本質について誤解と矛盾した信念を抱き、客観的な集中力を維持できずに、悪戦苦闘する例は枚挙にいとまがありません。

そこで、この本で一貫して語られているのは、投資家自身の心理の強化が必要だということ。トレードで成功を収めるには、マーケット分析や最新システムではなく、「ゾーン」という言葉に表される、勝者の心構えを持たなければならないと著者は主張。「ゾーン状態に達したトレーダーは、マーケットが次にどうなるか知る必要はないし、気にしない」と語っています。

「投資判断をしているのはすべて生身の人間であること」から、トレードで継続した結果を出せない原因の本質をつまびらかにするとともに、心理の習性がもたらす障壁を乗り越えるための実践的なプロセスを示している一冊です。

【影響を受けたポイント】
感情を排除して投資に臨む大切さを学んだ

僕が投資をはじめてすぐの頃は、「値上がりランキングに載っているから上がるんじゃないか」「有名な会社だから上がるんじゃないか」と適当に決めて、じっくり考えずに雰囲気で株を買っていました。でも、この本を投資家の友人からプレゼントされて読んでみると、投資で勝っている人はどのような取引をしているのか、そして継続して勝つためには「ゾーン」という心理が影響していることを理解しました。

これは、僕なりの理解ですが、なぜ大半のトレーダーは稼いだ利益を維持できないのかといえば、すごくシンプルに説明すると「自分の心理が欲に支配されて、本来やらなければいけないことをしないから」。結果、稼いだ資産を失ってしまうのだと思います。

投資は、決めたことをルーティン化して、流れ作業のように淡々と実行するのが重要で、感情のままに動いてしまうと負けます。「この銘柄が盛り上がっているから買っておこうかな」といったノリで取引すると、上手くいかないことがほとんどです。

要するに、雰囲気で株を買わず、マーケットにおける自分の得意な“型”が何かをきちんと理解して、決めた手法をルーティン化させる。例えば、もし決算書を読むのが上手い人であれば、決算期に集中してトレードをするといった具合です。自分のスタイルを確立したらブレずに続けるという、当たり前のことをやる。そんな心構えを、この本から学びましたね。

また、「めんどくさいことをせずに儲けたい」という願望は多くの人が持っていると思います。投資でも、なるべく楽に勝ちたいと考える人もいるでしょう。でも、情報収集をはじめ、めんどくさいことをしないと投資で勝つことは難しい。この本では、そのことにも触れられており、“楽して稼ごう”とは真逆のベクトルです。読んでいると説教されている感じがして、あまり楽しい気分にはならないと思うのでご注意を(笑)。

【この本をおすすめしたい人】
投資スタイルの芯を持たず、雰囲気で投資しているすべての人へ

この本をおすすめしたいのは、かつての僕のようにノリや雰囲気で株を買っている人。何度かトレードをしてみたものの、投資の“芯”がないために買ったり負けたりを繰り返し、長期的にあまりいい成果を手に入れられていない人ですね。“なんとなく投資判断をする”やり方のまずさに気づき、安定して勝つための心得を理解できるようになります。

よく「投資ってギャンブルなんじゃないの?」と聞かれますが、実際は運がすべてというわけではありません。僕はメンタルを鍛えれば鍛えるほど、ギャンブルから脱し、投資で勝てる確率を上げていけると考えています。これが競馬だったら、馬券を買ったらあとは神頼みですよね。

でも、投資は第1コーナーから最終コーナーまで、いつでも自分の判断で売買できる。途中で売却し、一旦休むこともできるし、保有銘柄を買い替えることもできるわけです。そうした、休んだり、買い替えたりするといった判断力は、経験を積み重ねるごとに磨かれ、次第に儲けの手応えを感じられるようになるはず。そのためにも、「ゾーン」のように感情に左右されないことが大事になってきます。

個人投資家のなかには、しばしば自分の保有銘柄をめっちゃ推す人がいて、決算内容がボロボロでも「これはいまが底なんだ!」「受注が待っているから業績は上がる!」と、いいことばっかり言う人がいるのですが、それはもう完全に感情論に傾いている証拠。心理的にも冷静に判断できていないんです。そうならないためにも、早めに『ゾーン』を読まれることをおすすめしたいですね。

【投資の良書に巡りあうための秘訣】
スゴい投資家が推す本を読んでみる

いまの時代、辣腕投資家たちがSNSやブログで情報をたくさん発信していますよね。そうした、自分の腕ひとつで稼ぐスゴい投資家が紹介している投資本は、とても参考になると思います。

ちなみに、全米最強といわれるトレーダー養成機関「プリスティーン」が、勝者のセオリーをまとめた『デイトレード』(オリバー・ベレス著)は、投資で稼ぎ続けた人たちが声を揃えて良書だといいますね。

「10冊読んだけど、自分に合いそうな本は2冊くらいしかない」とかでもいいと思うんですよね。短期トレードは向き不向きがあって、やってみないと分からないところもあるのですが、まずは、信頼できる本から情報を得ないことには、何も始まらないような気がします。

(末吉陽子/やじろべえ)

注目キーワード