「株主優待」の裏側に迫る!

食料品も10%割引に!優待を活用してデパ地下をデイリー使いに♪

デパート好きにはたまらない「高島屋」の株主優待!買い物が10%割引になる優待カード♪

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今や個人投資家から大人気の「株主優待」。株主優待を目的に株式投資をしている人も多いのではないでしょうか。各企業の優待内容は、企業のホームページで確認できると思いますが、優待誕生の背景や開発秘話はなかなか知ることができません。

そこで、人気企業の株主優待担当者にインタビューを敢行!株主優待導入の背景や現在の優待に決まった経緯、裏話までセキララに語っていただきました。

今回は、東京、大阪など、国内に15店舗を展開する老舗百貨店「高島屋」の株主優待です。

聞き手・執筆:優待好きFP 高山 一恵

――では、本日はよろしくお願いします。早速ですが、なぜ、株主優待を導入しようと思ったのですか?

当社の事業は百貨店を中心とした小売業です。ですから、お買い物を通して、当社が提供する商品やサービス、店舗の環境を体感していただくことが、株主様により当社を深く理解していただけると考え株主優待を導入しました。

また、実際に株主様にお客様目線で当社を利用していただくことで、改善提案はもちろんのこと、応援もしていただけるのではと思います。

――現在、御社の株主優待のメインは、お買い物が10%割引になる優待カードですが、導入当初から優待内容は変わっていないのでしょうか?

優待制度を導入して30年以上になりますが、当初から株主様に「お買い物の体感」を提供することを目的に「お買い物の優待割引制度」を設けました。ただ、時代の変化や株主様のご要望に応えることで、優待の内容や形は変化しています。

なるほど、時代の変化や株主の方のご要望に応じて優待内容も変化してきたわけですね。

はい。導入当初は、カードタイプではなく、綴券式チケットタイプでした。2006年にプラスチック製の磁気カードタイプに変更したのですが、その理由は、お買い物に行くと、1箇所ではなくいろんな売り場を回るので、その都度綴券を出すのは煩わしい、スマートではない、といったお声を株主様からいただいたからです。

磁気カードタイプに変更したことにより、お客様にとっては、カードを提示するだけでお買い物がスムーズにできるようになったので、使い勝手が良くなったと思います。さらに、磁気カードタイプに変更したことで、当社にもメリットがありました。実は、綴券式チケットタイプの時には、お買い物の商品名や金額、割引額などを販売員が手書きでチケットに書き込んでいたんです。それが磁気カードタイプになったことにより、カードをPOSレジに読み込ませるだけになりましたので、販売の効率化を図ることができました。

――磁気カードタイプに変更したことにより、お客様にも御社にもメリットがあったわけですね。

はい。その後、2008年にも優待内容を変更しています。その頃は、百貨店業界における再編が活性化していた時代です。再編に伴い、各社で株主優待制度の見直しが起こりました。

当社は他社との統合などはしておりませんが、これまで以上に株主様の満足度向上を図るため、優待内容の見直しを行いました。それまでお買い物の割引率は7%だったのですが、10%に引き上げました。

当社では、お買い物をする時にタカシマヤのクレジットカードを利用するとポイントがつきますが、そのポイント率よりも株主優待の割引率を高くし、お買い物の優待サービスの中で最大となるようにしました。そうすることで、株主様のプライオリティをより高くいたしました。

――優待率が最大なら株主になってよかったと思いますよね。

そうですね。株主のメリットをより感じていただけるようになったのではと思います。そして、2013年にも優待内容を変更しています。株主優待割引を利用する際、それまでは現金か一部の商品券などでのお支払いに限られていました。ただ、時代の流れで、クレジットカードでお支払いをする方が非常に増えてきたんですね。そこで、「タカシマヤのクレジットカード」でお支払をする場合にもご利用いただけるようにしました。(その場合はクレジットカードのポイントはつきません。)

また、株主優待割引を利用する際に、利用限度額を設定していたのですが、当時の単元株である1000株以上保有している株主様には、利用限度額を気にせずお買い物をしていただけるよう利用限度額を撤廃しました。これは大きなインパクトだったのではないかと思います。

現在は、単元株数が変更になり100株になっていますので、100株以上500株未満の株主様には利用限度額を半年間で30万円としていますが、500株以上の株主様には利用限度額はありません。後ほど、こちらの経緯についてはお話します。

さらに、当時オンラインショッピングが広まりつつある状況だったので、店頭、通信販売に加えて、高島屋オンラインストアでも株主優待割引が利用できるようにしました。それにより、当社の様々なチャネルのお買い物で株主優待が利用できるようになり、利便性も向上いたしました。

他にも株主様からのご要望で、ご家族の方もご優待カードが利用できるようになっています。

――その時代、ニーズに合わせてその都度、優待の内容を変えてきたんですね。株主様を大切にする御社の姿勢が伺えます。さて、御社の優待は、買い物の割引の他にもうひとつ、御社が主催する有料文化催にも無料で入場できるという内容もあるようですが、これも魅力的ですね!

全国の高島屋の店舗で開催される有料文化催に株主様を含め3名まで無料で入場いただけます。本年1月に日本橋店で開催された「クイーンエキシビジョンジャパン」は大変好評で多くの方にご来場いただき、株主様は無料でご覧いただけました。

――各店舗で開催する文化催が全て無料になるのですからこれはかなりお得ですよね。ただ、現在は、新型コロナの影響でこういった文化催の開催は難しい状況ですよね。

残念ながら、現在は開催を見合わせているのですが、お客様の安心・安全をしっかりと確保して、運営できる方法を検討しています。

当社は以前から文化・芸術の発信を大切にしており、伝統を継承し、芸術文化を紹介する展覧会や時代を捉えた話題性の高い企画展などは、当社の強みでもあります。今後開催できるようになった際には、ご家族やご友人などと高島屋ならではの文化催をぜひ楽しんでいただきたいですね。

――ここまでお話しを伺ってきて、とても魅力的な優待だと思いましたが、優待制度を運営されるにあたり、ご苦労されている点はありますか?

最近では最も苦労したのが、2018年の株主単元株数の変更に伴う優待制度の見直しです。先ほどもお話しましたが、以前は、単元株は1000株でしたが、2018年に100株に変更になりました。ですから、それまでよりも少額の投資で当社の株主になっていただける状況となったわけです。当然、個人の株主様が増加することは容易に想定できました。

そこで、新しい優待制度について、従来からの株主様にとっての魅力維持、新たに増加する株主様からの期待・満足度、システム改修投資額などの観点から、社内関連部署との協議を繰り返し行いました。

また、単元株数を変更するときに、2株を1株とする株式併合も同時に行いました。そのため、従来の1単元である1000株を保有していた場合は、500株となります。従来の株主様のメリットを維持するために500株以上の株主様には、お買い物の割引率は10%、優待利用限度額は設定しないという内容を継続。500株未満の株主様には、半年間で30万円という利用限度額は設けましたが、お買い物の割引率は500株以上の株主様と同じく10%といたしました。

――お話を聞いているだけでも大変だった様子が伝わってきます。

実はもっと大変だったのが、新しい優待制度を運用していくためのシステム改修です。システムを構築するためには、システム要件の設定が必須です。例えば、「お買い物時に残りの限度額を表示するには」、「限度額を使い切るには」など、様々な場面を想定して要件設定をする必要があります。

また、当時は、翌年に消費税の増税を控えている時期でもあったんです。さらにこのときは、軽減税率制度の導入もありました。このように、様々な条件を考慮しながらシステムを構築しなければならなかったことも本当に苦労しました。

――普段の業務とは違う分野ですもんね。大変なご苦労だったと思います。

消費税のこと、優待のことに加えてシステムのことも日々勉強しながら取り組みました。また、提携先の百貨店や、「高島屋オンラインストア」では、当社とは別にシステムが構築されているので、それぞれのシステムとの連携についても考えていく必要がありました。

――そんなご苦労があったとは・・・。優待についての想いもひとしおですね。では、優待の一押しポイントや活用術について教えていただけますか?

当社の株主優待では、食料品も10%の割引が適用になります。洋菓子や和菓子、お惣菜などに加え、お肉、お魚といった生鮮食品も割引の対象となります。食料品は毎日必要なものですので、株主優待を活用して、デパ地下をデイリーにご利用いただけると嬉しいですね。

また、当社には「タカシマヤ友の会」という会員制度があります。例えば、毎月1万円積立しますと、1年後の満期時には、1万円分のボーナスが加算され13万円分の「お買物カード」をお受け取りいただけます。株主優待10%割引適用のお買い物に、この「お買物カード」でお支払いいただくことができますので、大変お得にお買い物ができます。

――デパ地下のデイリー使いも友の会との併用もどちらも素敵な活用の仕方ですね。デパート好きの人にはたまらない優待といえるのではないでしょうか。では、最後に株主の皆様にメッセージをお願いします。

当社は小売業ですので、お客様あっての会社です。大変ありがたいことに、株主様が、同時にお客様として高島屋をご利用いただいていることも多いので、株主優待をさらに活用していただきたいと思っています。

また株主様には、投資家とお客様という両方の視点で当社を見ていただき、応援していただけたら嬉しいです。現在、コロナ禍の中、世の中は急激な変化を迎えています。当社もこの変化に対応し、お客様、株主様の満足度を高められるように邁進いたしますので、今まで以上のご愛顧をお願いいたします。

――本日は貴重なお話しをいただきましてありがとうございました。


【株主優待のプロフィール】

・優待商品名:100株以上保有の株主様に対象商品の買い物時に10%割引になる株主様ご優待カード。
※一部優待の対象とならない商品・サービスがあります。

・有料文化催の無料入場

データは2020年9月30日時点。
優待内容は、2020年度。

●商品写真

●年間予想配当金:24円(予定)
●最低投資金額:83,100円(100株単位)
●優待に必要な投資金額:83,100円(100株より)
※データは2020年9月30日時点

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