投資信託のトレンドが分かる!
2020年9月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
- TAGS.
投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2020年9月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「流入額が大幅に増加」
9月の資金流出入動向は3ヵ月連続で資金流入超となった。前月は約850億円の資金が流入したが、外国株式の流入額が増加したことや、国内株式の流出額が減少したことで、当月の流入額は約4,400億円と大幅に増加した。
資金流入では、外国株式の流入額は前月から増加し、当月の流入額をけん引した。また複合資産や不動産投信も流入額が増加した。
資金流出では、国内株式の流出超が継続したが、流出額は減少した。国内債券を除く債券カテゴリー(外国債券、エマージング債券、ハイイールド債券)は、前月に引き続き流出超となり、流出額は前月と同水準となった。
個別ファンドで当月の資金流入額が大きかったのは、「TRプライスグローバル・テクノロジー株式ファンド B」(Tロウプライス)(約620億円)、次いで「同ファンド A」(Tロウプライス)(約500億円)となった。
(図表1)主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
2.投信市場のパフォーマンス動向
「国内株式がリターン首位」
9月の金融市場は、世界的なリスクオンが一服した。
株式市場は、海外株式は下落、国内株式は横ばいとなった。主に米欧で新型コロナウイルスの感染が再拡大したことや、米国議会で追加の財政出動について合意に至らなかったこと、米大統領選をめぐる不透明感が意識されたことなどがマイナス材料となり、米欧株式や新興国株式は前月末対比で下落した。一方で、国内株式は菅新政権への期待感から底堅い動きとなった。
債券市場は、前月末比で横ばいとなった。米経済指標がおおむね良好だった一方で、先行きへの懸念は強まったことで、月内を通して方向感に欠ける展開となった。
為替市場は、米ドル・円は横ばい、ユーロ・円は円高となった。米ドル・円は、株式相場の調整色が強まったことなどから一時大きく円高に振れる場面もあったが、前月末比では横ばいとなった。ユーロ・円は、ECB(欧州中央銀行)総裁のユーロ高をけん制する発言や、英国のEU離脱問題の再燃を受け、円高ユーロ安となった。
これらを背景に、9月の投信市場では、国内株式と国内債券がプラスとなった。米欧株式が下落したことが重石となったが、菅新政権下でもこれまでの政策の基本路線が継承されるとの期待感が国内株式の上昇に寄与した。他⽅で、国内株式と国内債券を除くカテゴリーのリターンはマイナスとなった。新型コロナウイルスの新規感染者数が、世界的に再度増加傾向にあることなどにより先行き不透明感が強まったことで、前月までプラスが続いていた外国株式カテゴリーを中心にマイナスとなった。また不動産投信は株安に伴うリスク回避姿勢の強まりなどが影響し下落した。
個別ファンドの1ヵ月リターンでは、国内株式型のアクティブファンドが上位を占めた。中小型グロースファンドが多くランクインした。
(図表2)パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「新規設定額、設定本数ともに増加」
当月の新規設定は21本と前月(17本)から増加し、設定額も約1,340億円と前月(約870億円)から増加した。当月は「外国株式型」が設定額の8割以上を占めた。
設定額首位は「TRプライスグローバル・テクノロジー株式ファンド B」(Tロウプライス)(約620億円)、次いで「同ファンド A」(Tロウプライス)(約500億円)となった。同ファンドは、高い成長が期待できるテクノロジー関連企業に投資を行う。ただし、同ファンドは運用効率を保つため運用資産規模を適正な範囲に維持するとして、購入の申込受付を9月末現在停止している。
(図表3)新規設定金額、設定本数の推移
最後に、9月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
(図表4)資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)