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三度目の正直 !?

今度こそ定着するか?政府肝煎りの「あのカード」

提供元:ちばぎん証券

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安倍内閣の継承を掲げる菅首相ですが、行政のデジタル化、携帯通話料金の引き下げ、不妊治療の保険適用など、自身が注力する政策課題を前面に押し出すスタンスが目立ち始めています。来年度予算の編成時期を迎えていることもあり、政策に関連するニュースフローは今後も関心を集めそうです。

こうしたなか、株式市場が最も注目するテーマは「行政のデジタル化」、そしてそれを推し進める重要な手段として、「マイナンバーカードの活用」ではないでしょうか。産業界にDX(デジタルトランスフォーメーション)の大きな波が押し寄せるなか、「行政のデジタル化」はまさに喫緊の課題だからです。

ただこのテーマ、目新しいものではありません。

マイナンバーカードの前身は2003年に始まった住民基本台帳カード(住基カード)ですが、これはほとんど普及せず。代わって2016年にマイナンバーカードの交付が始まりますが、これも現在の普及率は2割程度。お世辞にも順調とは言えない状況です。

そもそもマイナンバーカードは、そんなに魅力に乏しいものなのでしょうか。

マイナンバーとは、住民登録している人に、一人一つ付番される12桁の個人番号。現在は税金、社会保障、災害対策の3分野に限って使用されています。

一方、マイナンバーカードは、マイナンバーを記載したカードに違いはないのですが、カード自体が対面での身分証明書になるほか、インターネットで様々なサービスを利用する際、カード上のICチップに格納されている電子証明書(公的個人認証サービス)が本人確認の手段として活用できます。そう、用途面で両者は「別物」なのです。

インターネットを通じた様々なサービスは、便利さの反面、他人による「なりすまし」、データの「改ざん」など大きなリスクがつきまといます。つい最近も金融業界で、本人確認の「甘さ」を突いた不正ログインにより大きな被害が発生したことはご存知の通りです。

これらの被害を防ぐには電子空間で「自分が誰なのか」をきちんと証明する「本人確認」のプロセスが欠かせません。その意味で、マイナンバーカードは、国が安全な電子空間を作るために用意したインフラと捉えることができるでしょう。マイナンバーカードに搭載されている電子証明書のセキュリティ水準は世界最高レベルと言われています。

電子証明書の利用にマイナンバーは使用しないため、民間事業者も含めて様々な用途に利用が可能です。

LINEは9月24日、行政のデジタル化を推進するため、「LINE Pay」を活用した公的個人認証サービス対応の開発を開始、2021年春を目標にサービスをスタートさせると発表しました。同社はこれまでも全国の自治体と連携し、「LINE」のアカウント上で情報発信や相談受付など様々な行政サービスを展開してきましたが、今後は、たとえば住民票の写しや納税証明書等が必要なとき、各自治体の「LINE公式アカウント」で簡単に申請するようなことが可能になります。

手数料の支払いは「LINE Pay」で完了。行政手続きにおいて必要な情報の検索から申請、支払いまでをスマホ上で、時間や場所を問わずできるようになるのです。LINEは、対象となる手続きを子育て、死亡相続、引越し関連などに拡充する予定で、本人確認機能を提供するプラットフォーマーとしての存在感は一段と高まると考えられます。

また、マイナンバーカードのICチップには電子証明書のほかに空き領域が設けられており、カードアプリケーションを搭載することで、様々なサービスに利用することができます。

日立、NEC、富士通、NTTデータ、NTTコミュニケーションズの5社はシステムの設計・開発段階からマイナンバー事業の中心的な役割を果たしてきましたが、現在も企業や中央省庁、地方公共団体向けに、マイナンバーカードを活用したサービスやビジネスを支援するソリューション事業を展開しています。すでに社員証として入退室管理や出退勤管理、パソコンのログイン認証などで用いられているほか、公共施設の予約管理などで活用事例が見られます。

また、新しいビジネスモデルの構築に向け様々な実証実験も進められています。たとえばデジタルチケットへの応用。デジタルチケットは、購入時にチケットとマイナンバーカードの電子証明書がひも付けられるため、不正転売を防止できるほか、当日の本人確認を簡単に済ませることができます。また、急用等で行けなくなった場合など、直前まで電子空間を介して譲り渡す相手を探すというようなことも可能になるでしょう。

2021年3月には健康保険証の機能が付与され、秋からは服用している薬や健診の情報も確認できるようになります。診察時の手続きが簡単になるほか、オンライン診療や服薬指導などの場面でも効果が期待されます。

マイナンバーカードは決して魅力に乏しいものではありません。むしろコロナ禍で非接触が求められるなか、大きな可能性を秘めているということができるでしょう。菅首相にはここでこそ縦割り行政を打破し、普及と利用拡大に取り組んでもらいたいものです。

7⽉に発表された国連の電⼦政府ランキング。⽇本は14位と2014年の6位を直近のピークに大きく後退しました(前回2018年は10位)。

東証が発表している投資部門別売買状況によると、海外投資家は2015年以降、2017年を除き日本株を大きく売り越しています。デジタル化の遅れはアベノミクス停滞の象徴に他ならず、海外投資家に失望されている、と見るのは的外れでしょうか。いずれにしても、コロナ禍で判明したお粗末な国・地方のデジタル基盤の見直しは、東京市場が再評価される鍵のように思えてなりません。

(提供元:ちばぎん証券)

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