【日経記事でマネートレーニング3】決算ニュースを読む~会計用語の理解~

提供元:日本経済新聞社

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このコーナーでは日経電子版の記事を読むことで資産形成力のアップを目指します。実際のニュースやコラムを引用し、初心者には難しく思えるような用語をかみくだき、疑問点を解消していきます。金融・経済ニュースをどれだけ読みこなせるかは投資のリテラシーそのものです。日々の情報にリアルタイムで動ける実践力を養いましょう。

3回目は決算ニュースを取り上げます。いままさに上場企業の決算発表たけなわ。不幸にして東京証券取引所の記者会見場に例年のような賑やかさはありませんが、コロナ禍の影響を見極める大切なリスク情報(=材料)を見逃すわけにはいきません。

業績を理解するには決算内容を読み解くことが第一歩ですが、とにもかくにも専門用語のオンパレード。会計用語をみたとたんアレルギーを起こして読み飛ばす方もおられるようです。もちろん決算資料などを読まなくても株式売買が可能ですが「中長期投資」という視点からは財務・会計リテラシーを少しでも高めていくことがおすすめです。

万人向けではなく、一定のリテラシーが前提

日経ニュースは個人投資家だけではなくではビジネスマン、識者そして就活生など、大変幅広い方が読んでおられます。記者やデスクがいつも意識しているのは主に誰に読んでもらうか、という点です。

決算や財務の話題は、政治や経済政策など万人向けのテーマではなく、当該企業の関係者や銀行・証券マン、個別株を探す不特定多数の投資家などに関心が向くジャンルになります。なので、読者はある程度のリテラシーを持っていることを前提に書かれている面があります。

また、経済紙としての性格上、記載しないといけないお決まりワードがあります。たとえば、国際会計基準か米国会計基準か、はたまた日本基準か、などのような注記です。投資家的にはもうかったのか、収益が伸びているのか、さえわかればいいのですが、日経ではその決算がどのようなものさしで作られているかを明示しています。

こうした要因もあって記事がことさら難しく思えてしまうのでしょう。ではサンプル記事をみてみましょう。一部を加工、割愛しています。

コロナ禍で赤字決算になった空運会社を題材に選ぼうとも思いましたが、赤字は特殊な決算といえるので、今回は無難な業績の会社を選びました。

大切なことを先に申し添えますと、記事に「発表」ということばが入っているかどうか、を注意して読んでください。一般に信用ある報道機関であれば、当事者の「発表」なのか、メディアの取材による「伝聞」なのか、を明確に区別します。

別の回に取り上げますが、業績ニュースはとりわけ「〇〇となりそうだ」という観測記事が増えます。メディアが取材をして、仮にA社が赤字だという確信をもてたら記事はそのまま「A社は赤字になりそうだ」で完結します。「A社が『赤字になりそうだ』」と言っている場合は「A社が赤字になりそうだと発表した」という記事に変わります。その場合は投資家が独自にプレスリリースで詳細を確かめることができます。ちょっとマニアックですけど。

難解な会計用語は無視、バックグラウンドを理解

ではひとつひとつみていきましょう。できるだけシンプルな説明にとどめました。

2020年4~9月期=4~9月は6カ月なので中間決算や上期決算ということもある

連結決算=その会社が支配している子会社などグループ全体の収益

純利益=人件費や金利、税などを払って最後に会社に残るもうけ。配当の原資になったり、株価指標の基礎になったりするから株式投資の最重要ワード

国際会計基準=決算書を作るルールの1つ。IFRSが略称

売上高=収入の総額。会社によって経常収益など呼び方が異なる。成長力をみるうえで重要な指標

受注や納入の時期がずれ込んだ=期ずれ。その決算期に契約まで至らなかったので売り上げとして計上できなかった、という現象。需要減とは区別する必要あり

営業利益=本業でのもうけ。その会社の「稼ぐ力」をみるうえで重要

2021年3月期の業績予想=会社が提示した年間の収益計画。

前期比=1年前の決算期に比べて、という意味。たとえば4~5月に発表する2020年3月期決算は、終わった期の決算なので「前期決算」という。2021年3月期の見通しは、すでにその決算期に入っているので「今期の見通しは・・・」という言い方になる。会社側が「当期は・・・」という場合は前期か今期のどっちなのかの確認が必要になる

では、初心者向けにかみくだいて直した記事をみましょう。くどくて読みにくいところもありますが、どうでしょうか。

ポイントは難解な専門用語にあまりこだわらないで、さっと読み流すことです。その際、業績変動の要因をしっかり理解することが大切です。サンプル記事では「期ずれ」に言及していますが、需要が減ったのか、先送りされたのか、で将来の業績見通しも変わってきますね。

また、毎年発生する要因なのか、その年だけたまたま発生した要因なのか、も先行きの収益を読むうえで大切なリスク情報です。

繰り返しになりますが、難しいことばに引っかからずすっ飛ばし、業績変動のバックグラウンドの理解に努めましょう。

 

(日本経済新聞社 コンテンツプロデューサー 田中彰一)

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