「株主優待」の裏側に迫る!

商品ラインアップには、使うのがもったいないほどの高級ティシューも♪

ティシューペーパー・トイレットロールなど、生活必需品がギュッと詰まった日本製紙グループの株主優待

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今や個人投資家から大人気の「株主優待」。株主優待を目的に株式投資をしている人も多いのではないでしょうか。各企業の優待内容は、企業のホームページで確認できると思いますが、優待誕生の背景や開発秘話はなかなか知ることができません。

そこで、人気企業の株主優待担当者にインタビューを敢行!株主優待導入の背景や現在の優待に決まった経緯、裏話までセキララに語っていただきました。

今回は、日本の製紙業界のリーディングカンパニーである「日本製紙株式会社」の株主優待です。

聞き手・執筆:優待好きFP 高山 一恵

――では、本日はよろしくお願いします。早速ですが、なぜ、株主優待を導入しようと思ったのですか?

当社は2007年から株主優待を導入しています。もともと個人株主様からコミュニケーション機会の拡充に関するご要望をいただくことがあり、他社様での導入事例も参考にしながら検討を重ねた結果、「株主の皆様からの日ごろのご支援・ご愛顧に感謝申し上げるとともに、当社グループの事業に対する理解をいっそう深めていただくこと」、「当社株式への投資の魅力を高め、中長期的に当社株式を保有していただける株主様の増加を図ること」の2点を目的として、導入を決定いたしました。

――御社の優待を拝見しましたが、普段よく使うティシューペーパーやトイレットロール、キッチンペーパーなど、日常生活に欠かせない商品ばかりで、御社の優待が人気なのが頷けます。導入当初から優待内容は、家庭用品の詰め合わせセットだったのでしょうか?

はい。導入当初から一貫して、当社グループで家庭紙・ヘルスケア事業を担う日本製紙クレシア株式会社が製造・販売しているクリネックスやスコッティなどの家庭用品詰め合わせセットを贈呈しております。ティシューペーパー、トイレットロールなどをはじめとした生活必需品は一般消費者としての株主様のご関心が高く、多くのご家庭で必ず使われるものなので、導入当初から大変好評をいただいています。

株主様から御礼のお言葉をいただくことも多々あります。SNS上で、株主優待品を並べて撮影した喜びの投稿などをお見掛けすることもあり、運営担当としてのやりがいを感じています。

―今年は、コロナの影響で一時期トイレットロールが品薄状態でしたよね。御社の優待を待ちわびていた株主様も多かったのではないでしょうか。

トイレットロールの品薄状態は、コロナ禍がもたらした混乱の1つであり、実際には国内メーカー全体として、通常どおりの在庫量がありました。当社が株主優待品をお届けする7月までには、品薄状態は解消していたかと思いますが、トイレットロールがいかに生活上の必需品であるか、ということを実感する出来事ではあったと思います。

――優待の商品選定についてですが、どのように選んでいるのですか?

毎年商品のラインアップは見直しているのですが、売れ筋の商品、もしくは普段使い用にはなかなかお手に取られないようなプレミアム品をお送りすることを心掛けております。株主優待を通じて、気軽にプレミアム品にも触れていただければと思っています。

また、ひとくちに家庭紙といっても、様々なジャンルがあります。フェイシャルティシュー、トイレットロール、キッチン用品、衛生用品など、各ジャンルのバランスも考慮しながら、日本製紙クレシアと当社とで相談して毎年のラインアップを検討しています。できるだけ多様な商品に触れていただきたいと考えております。

――私は花粉症なので、「カシミヤ」ティシューをよく使わせていただいています。個人的に「カシミヤ」がもらえたらすごく嬉しいです(笑)。

ありがとうございます(笑)。「カシミヤ」は1985年に発売した、プレミアムティシューのロングセラー商品です。ティシューペーパーには、やわらかさを重視した“ふんわりタイプ”と、ローションなどの保湿成分を持たせた“しっとりタイプ”がございますが、「カシミヤ」は、原木の品種・産地選びから、パルプのブレンド、紙すき等にこだわり、ローション塗工を施すことなくティシュー本来のふんわり感とやわらかさを持たせた“ふんわりタイプ”の代表商品です。花粉症シーズンだけでなく、年間を通じて多くの方々から大変高い評価をいただいています。

――なるほど。優待商品の選定以外でもご苦労されているところはありますか?

先ほど、売れ筋の商品やプレミアム品を選ぶようにしているとお話しいたしましたが、その分、どうしても製造・詰め合わせ作業のスケジュールがギリギリになることもあります。

今年の例でいうと、「肌うるる ソフトパック」という商品です。この商品は“しっとりタイプ”の鼻にやさしい使い心地で、花粉症シーズンには大変好評をいただいています。また、外箱ではなくフィルムで包装したソフトパックは大きさも程よく持ち運びやすいため、近年メディアで取り上げていただくことが増えてきており、個人的には今年のラインアップの目玉だと思っています。

ただ、こういった人気商品を株主優待に入れようとすると、製造スケジュールの調整が重要な課題になります。とはいえ、一押しの商品を株主様にお届けして喜んでいただきたいという気持ちがあるので、その狭間でとても悩みますね。

――株主の方を大切にしているからこその悩みですね。御社の場合、これだけのボリュームの優待を箱に詰めるのも大変そうですが、その辺りのご苦労はいかがですか?

はい。株主の皆様にたくさんの商品を品質を保ったままお届けするために、毎年のラインアップに合わせて箱の大きさや詰め合わせ方を変えています。実のところ箱詰めの作業はすごく大変です。

株主優待でお届けする家庭用品詰め合わせセットは、このとき限りの特別仕様ですので、機械で自動的に詰め合わせていくということができません。箱詰めは、当社グループの物流会社が担当しているのですが、結構な人数を動員して、2~3カ月の期間をかけて箱詰めをしています。

特に今年はコロナの影響で、ソーシャルディスタンスを保つために作業スペースを広くとるなど、詰め合わせ作業における“三密”を避けながら作業をすることになったため、どうしても作業効率が悪くなってしまい、例年よりも2週間程度、株主様へのお届けが遅れてしまいました。その旨のアナウンスは事前にさせていただきましたが、株主様にはご迷惑をおかけしたと思います。

――ただでさえ、箱詰めが大変なのに今年はコロナでさらに追い打ちをかけられたわけですね。

そうですね。

また、当社の株主優待制度の対象となる株主様は、2020年3月末日時点で約8万5,000人もいらっしゃいます。紙製品は非常にかさばりますので、それだけの人数分をご用意すると、結構なボリュームになってしまうんです。このサイズの箱を8万5,000箱も発送するというのはなかなか大変です(笑)。

株主様にお届けするものですから、中身が傷ついてしまったり、壊れてしまったりしては大変です。外部の運送会社様の全面的なご協力を得て、品質を保ちながら発送することを心がけております。当社グループだけでは完結しない、一大業務となっております。

――確かに、優待が届いて箱が凹んでいたり、中身が傷ついていたりすると株主の方も残念な気持ちになってしまうでしょうから、気を使いますね。ご苦労もある中でご担当者様の優待に対する想いもひとしおかと思います。ご担当者様一押しの優待活用術を教えてください。

商品ラインアップを検討する際に、同じジャンルでも必ず違う種類のものを入れるようにしていますので、いろんな商品を比較して、ご自身のお気に入りの商品を見つけてもらいたいなと思います。

たとえば、箱入りのティシューを2箱入れる場合でも、“ふんわりタイプ”と“しっとりタイプ”の2タイプを詰め合わせるとか、同じ“しっとりタイプ”のものでも違うブランドのものを入れるなど、できるだけ同じ商品は入れないように工夫しています。同時に使い比べていただくと、結構違いがあることに気づいていただけるかと思います。

お気に入りの商品が見つかりましたら、ぜひお近くの小売店でお手に取っていただければと思います。お近くの小売店にご希望の商品が置いていなければ、日本製紙クレシアが運営する「クレシアオンラインショップ」というウェブ通販サイトもご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせいただければと思います。贈答品としてもぜひご利用いただきたいです。

日本製紙クレシア オンラインショップ https://shop.crecia.jp/

――クレシアオンラインショップを拝見しましたが、1箱1,000円以上する高級なティシューもあるのですね。これは、贈答用などに利用すると良さそうですね。では、最後に株主の皆様にメッセージをお願いします。

当社は、「世界の人々の豊かな暮らしと文化の発展に貢献します」という企業グループ理念を掲げています。当社グループは木質資源の活用を起点として、印刷用紙、板紙・パッケージ、化成品、木材・建材など多彩な事業を展開しておりますが、企業グループ理念で掲げている「豊かな暮らし」に対応する事業の一つが、日本製紙クレシアが手がける家庭紙・ヘルスケア事業です。当社グループはこの事業を成長分野として位置づけておりますが、株主優待制度が、当社の成長分野における取り組みを株主の皆様にご紹介するための貴重な機会になっていると感じます。

また、当社グループは「木とともに未来を拓く」というスローガンのもと、木を余すことなく活用する技術、ノウハウの開発に注力しております。

近年では、海洋プラスチックごみ問題がクローズアップされる中で、リサイクル性や生分解性に優れた素材として紙製品の価値が見直されてきています。当社では、従来プラスチック材でパッケージしていたものを紙でパッケージするご提案を行うなど、「紙でできることは紙で。」を合言葉に「紙化ソリューション」を推進してきております。

株主優待が、こういった当社グループの各種取り組みにご注目いただくきっかけになりましたら幸いです。

――本日は貴重なお話しをいただきましてありがとうございました。


【株主優待のプロフィール(データは2020年9月30日時点)】
●優待商品名:100株以上保有の株主様に家庭用品詰め合わせセット
優待内容は、2020年度。

●商品例

●年間予想配当金:40円/株(予定)
●最低投資金額:130,300円(100株単位)
●優待に必要な投資金額:130,300円(100株より)
※データは2020年9月30日時点

<合わせて読みたい!>
【絵でわかる】株主優待のもらい方

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