何らかの理由で払っていないなら要チェック

未納の年金保険料をまとめて支払うと税金が約4万円安くなる!?

提供元:Mocha(モカ)

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会社員と違って自営業者は国民年金保険料を自分で払わなければならないので、つい払わずに放置してしまうこともあります。未納の年金を払うと、将来の年金を増やせるだけでなく、税金を安くすることもできます。年金をまとめて払うメリットや節税効果を知っておきましょう。

未納の年金保険料のうち2年分はさかのぼって払える

1か月あたりの国民年金保険料は、16,540円(令和2年度)。国民年金保険料を払わなければならない個人事業主やフリーランスは、収入が安定しておらず、支払いが厳しくなることもあるでしょう。納付期限までに払えずに、そのままにしてしまっている人もいるのではないでしょうか?

国民年金保険料は、納付期限を過ぎても、期限から2年以内であれば払うことができます。2年以内に払う場合には、金額が上乗せされることもありません。期限後でも払った方が、はるかにメリットがあります。

未納の年金保険料をさかのぼって払うメリット

未納の年金をさかのぼって払うメリットは、次のとおりです。

(1) 将来受け取れる年金が増える

老後に受け取れる年金は、支払った保険料の総額によって決まります。国民年金保険料を払えるのは、原則として20歳から60歳までの40年間。国民年金からもらえる老齢基礎年金は、40年間(480か月)の保険料を全額払った人がもらえる年金額(満額)を基準に、次の計算式で算出されます。

老齢基礎年金の年額= 満額(令和2年度は78万1,700円)×納付月数/480か月

つまり、納付月数が1か月増えると、受け取れる年金は年額で約1,630円増えます。納付月数が2年増えれば、年額で約3万9,000円の増加です。増えた年金額が一生もらえることになりますから、未納分はできるだけ減らすに越したことはありません。

(2) 税金が安くなる

国民年金保険料を払った場合、社会保険料控除として、払った保険料の全額を所得から差し引きできます。所得税や住民税は収入から各種の控除を差し引きした「課税所得」に対して課税されるので、控除の金額が大きいほど、税金は安くなります。

所得が多い年にまとめて払うと節税になることも

社会保険料控除の対象になるのは、その年に払った国民年金保険料です。納付期限が前年度や前々年度であっても関係ありません。未納の年金を払えば、その年の税金を安くすることができます。

何らかの理由で国民年金保険料の未納を続けてしまった場合、昨年と一昨年の分の保険料を払って節税することができます。1年分の保険料は約20万円ですから、所得税率10%、住民税率10%とすると、1年分を払えば約4万円、2年分なら約8万円の節税効果があります。

所得税率は所得が上がると段階的に上がります。ですから、昨年・一昨年よりも所得が多くなったという場合にまとめて払うことで、節税効果を大きくすることができます。

たとえば、所得税率が20%(住民税率は一律10%)になった年に払えば、1年分なら約6万円、2年分なら約12万円税金が安くなります。つまり、この例の場合は、所得税率が10%のときに支払うよりも、約4万円分多く税金が減らせる、というわけです。

年金保険料の前納で節税することもできる

国民年金保険料は2年前の分をさかのぼって払えるだけでなく、将来の分も含めた2年分をあらかじめ払うこともできます。前納する場合には、保険料の割引制度があります。令和2年現在、割引額は1年度分の前納で3,520円ですが、2年度分を前納すると1万4,590円とかなりお得です。

なお、前納の場合には、社会保険料控除について、次の(1)、(2)のいずれかを選べます。

(1)全額を納付した年に控除
(2)各年分の保険料に相当する額を各年に控除

年金保険料を前納すると、保険料自体を安くできるだけでなく、控除の時期を選ぶことによる節税効果も期待できます。たとえば、今年度の所得が大幅に増える見込みなら、2年分を前納して全額控除を受けるのがおすすめです。

まとめ

国民年金保険料の納付は国民の義務なので、未納のままにせず、きちんと払いましょう。年金保険料の払い方によって節税ができることもあります。どうせ年金を払うなら、少しでもお得になる方法を考えましょう。

[執筆:ファイナンシャルプランナー 森本由紀]

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