子育てにまつわるお金の話

「所得税」はゼロになるけど「住民税」は支払わなきゃダメ!?

夫婦できちんと把握しておきたい「産休&育休中のお金のこと」

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産前・産後休業や育児休業中は、基本的に勤めている会社からの給与は出ない。ただし、妊娠・出産・育児に対する経済的支援として、「出産育児一時金」「出産手当金」「育児休業給付金」などが支給される。収入がなければ所得税は発生しないが、これらの給付金は課税対象となるのだろうか?

そもそも収入がない場合は配偶者の扶養に入れるものの、産休・育休中も該当するのか? 意外と知らない産休・育休中のお金のことを、ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんに聞いた。

産休・育休中も支払いが発生する「住民税」

「『出産育児一時金』『出産手当金』『育児休業給付金』は非課税なので、所得税は発生しません。例えば、『出産育児一時金』は1児につき42万円支給されますが、ここから税金が引かれることはなく、額面通りに受け取れます」(高山さん・以下同)

非課税であるため、給付金を受け取った後に、確定申告を行う必要もないようだ。ただし、これはあくまで所得税の話。住民税には注意すべきだという。

「住民税は、前年の所得をもとに算出され、翌年に支払う税金。産休・育休を取得する前年に働いて収入を得ていた場合は、産休・育休中も住民税の支払いが発生します。勤務中は会社が給与天引きで住民税を支払ってくれていましたが、産休・育休中は自治体から届く納付書で、自身で支払いをしなければいけません」

会社によっては、産休・育休前の最後の給与から、休業中に支払う予定の住民税を一括で天引きしてくれる場合もある。その場合、数カ月分まとめて引かれるため、手取り分がかなり少なくなると考えておこう。

「毎月給与から天引きされる社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)は、会社に申請することで、支払いが全額免除されます。この制度のいいところは、免除にはなっても、未納扱いにはならないところ。厚生年金保険料を支払わなくても、産休・育休中は支払った期間とみなされるので、将来受け取る年金が減額されないのです。育休・産休前に、必ず免除の申請を行いましょう」

ちなみに、フリーランスや自営業などの国民年金第1号被保険者も、自治体に産前産後期間の保険料の免除を申請することで、未納扱いにならずに国民年金保険料の支払いが免除になる。

配偶者の扶養に入るため「年収」をチェック

「育児休業給付金」などの給付金は非課税のため、収入にはカウントされない。つまり、ほとんどの人は産休・育休中は収入がゼロになる。そうなれば、配偶者の扶養に入れるのだ。

「産休・育休中で、年収103万円以下であれば、配偶者の扶養に入ることができ、配偶者控除によって配偶者の収入にかかる税金が安くなります。年収103万円を超えたとしても、年収201万5999円以下であれば、配偶者特別控除が適用されます。配偶者の税金が、年間5万~7万円は安くなると思いますよ」

扶養に入るためには、年収額が重要になる。年末近くに産休・育休に入る場合は、年収が103万円を超えている可能性がある。そうなると、その年は扶養に入ることができない。しかし、仕事復帰時期によっては、翌年は扶養に入ることができるかもしれない。休業期間と年収を確認して判断しよう。

「産休・育休中に税制面で押さえておきたいものは、もう1つあります。医療費控除です。原則として出産費用は医療費に当たりませんが、帝王切開の手術や切迫早産の危険性があった場合の緊急入院など、保険適用される医療行為が行われたら、医療費控除の対象になります。領収書はきちんと保管しておきましょう」

妊婦検診のために病院に行く際のタクシー代なども、医療費控除の対象になるそう。改めて、医療費控除の対象項目を確認しておくと良さそうだ。

節税目的での「ふるさと納税」は要注意

「現役で働いている間に『ふるさと納税』を活用していた方は、産休・育休中も節税目当てで利用するかもしれませんが、要注意です。産休・育休中は収入がなく、税金がかかりませんから、『ふるさと納税』の節税メリットはほとんど享受できないといえます」

「ふるさと納税」は、任意の自治体に寄付することで、翌年度分の住民税から控除される制度。そもそも収入がなければ、翌年度の住民税が発生しないため、控除しようがないというわけだ。

「配偶者控除と同じで、年末に産休・育休に入ったため、年収が多い場合は、『ふるさと納税』の税制上のメリットを享受できます。ただし、年収が少ないのであれば、節税目的での利用は考えた方がいいでしょう。節税は関係なく、自治体に寄付したい、返礼品が欲しいという思いで行う分には、まったく問題ありません」

制度を把握し、活用すれば、節税や社会保険料免除となり、その分を生活費に回すことができそうだ。産休や育休に入る前に、夫婦できちんと確認しておこう。
(有竹亮介/verb)

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