証券会社の手口に注目!
コロナ禍における海外投資家の売買動向
提供元:光世証券
11月は世界各国で記録的な株価の上昇となりました。米国大統領選挙後の政治情勢が今のところ平穏であり、コロナウイルスのワクチン開発の期待から、アメリカのNYダウ平均株価は初めて30,000ドルの大台をつけ、1か月間の値上がり率は+11.8%と1987年1月以来、33年ぶりの記録的な上昇となりました。日経平均も歴代3番目の+3,667円の記録的な大幅上昇となっています。ただし、コロナウイルスの感染者は拡大傾向で、経済環境は依然不安定であると言えます。
そのような環境の中で、今後の日経平均がどう動くのかを経済的観点ではなくJPXで公表されている取引参加者の先物手口や建玉を用いて、需給面から今後の日経平均の動きを占ってみたいと思います。
まずは、ネット証券を除いた、各証券会社を米系証券、欧州系証券、国内証券に分けました。
次に、2018年の7月1日を0として、手口が買い越しならプラス、売り越しならマイナスで2020年11月末まで累積してグラフにしました。
このグラフから、コロナショック以前の海外証券は、日経平均が上がると買い越し、下がると売り越す「順張り」の動きをしていました。それに対して、国内証券は日経平均が上がると売り越し、日経平均が下がると買い越す「逆張り」の傾向がありました。コロナショックまでは海外証券が主導して動いていたと言えるでしょう。
しかし、コロナショック以降を見ますと、国内証券はコロナショックで日経平均が20,000円を割り込んだあたりから16,358.19の安値を付けるまで買い続け、さらに普段であれば日経平均が上がりだすと売り方になるはずが、20,000円に再び戻ってくるまで買い続けていたことが分かります。それに対して、コロナショックで売り方になった海外証券は、日経平均が安値を付けた後20,000円を超えるまでは売り続け、20,000円を超えるあたりから買いに転じています。そのことから、今回のコロナショックにおいては、安値から日経の上げを主導してきたのは国内勢と言えると思います。
そして、最近の国内証券の動きは米国の大統領選挙前の2020年9月からも買い越しになり、選挙後に日経平均が高値を抜けてくると以前のように売り越しになり、「逆張り」の動きとなっていることが分かります。一方で最近の海外証券は、大統領選挙前は売り越しでしたが、選挙後には日経の上昇とともに買い越しの「順張り」の動きになっています。11月からの日経平均の大幅上昇を主導してきたのは海外証券と言えます。
次は同じように米系証券と欧州系証券に分けてみてみます。
米系証券、欧州系証券共にコロナショックの初動の下げで売ってきています。米系証券が買いに傾くのは欧州系よりも遅く、日経平均が20,000円を超えてからでした。11月からの日経平均の上げについては、米系証券の買いと指数の上昇がほぼ同時となっています。今回の大幅な上げは海外証券の中でも米系証券が主導していたことが分かります。その一方で欧州証券は選挙の1ヶ月前頃から売り越しになっています。
最後に、各証券会社の週末の建玉が公表されていますので、大統領選挙後の週末の11月6日と11月最終週の建玉を比べてみます。買い建玉をプラス、売り建玉をマイナスにして、建玉の変化を調べました。
大統領選挙後、米系証券はゴールドマンサックス証券やモルガンスタンレー証券の買い建玉が増え、日経の上昇を支えていたことが分かります。欧州系証券はクレディスイス証券が20,000枚超の大幅な買い越しだったものの、ソシエテG証券がほぼ同数枚売り越していたことが分かります。欧州系証券の買いが増えなかったのはソシエテG証券の売りが原因だったようです。
過去の累積からすると、米系証券、欧州系証券ともにまだコロナショック直前の水準には至っていません。買い余力はあるように思われます。そして現在のところ日経の上昇にもかかわらず、欧州系の買いは減少中です。今後の日経平均のさらなる上昇には、米系の買い以上に欧州系の買いが重要になってくるように思います。今後の海外証券の動きに要注目です。
JPXサイトに掲載の先物手口情報はこちらから見ることができます。
https://www.jpx.co.jp/markets/derivatives/participant-volume/
JPXサイトに掲載の先物建玉情報はこちらから見ることができます。
https://www.jpx.co.jp/markets/derivatives/open-interest/
(提供元:光世証券)