投資信託のトレンドが分かる!
2020年11月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2020年11月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「5ヵ月ぶりに資金流出超へ転じた」
11月の資金流出入動向は5ヵ月ぶりに流出超へ転じた。国内株式と複合資産の流出額が増加したことや、国内債券と不動産投信が流出超に転じたことで、約3,800億円の流出超となった。世界的に株式市場が上昇したことで、利益確定売りの動きが強まった。
資金流入では、これまで流入額をけん引し続けている外国株式のみが流入超となった。しかしながら、前月対比では流入額は減少した。
資金流出では、国内株式や複合資産が前月に引き続き流出超となり、流出額は増加した。また外国債券カテゴリー(外国債券、エマージング債券、ハイイールド債券)が継続して流出超となった。一方で前月まで流入超となっていた国内債券や不動産投信が当月は流出超に転じた。
個別ファンドでは、「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(ヘッジなし)」(AM-One)(約610億円)が資金流入1位となり、2020年7月の設定以来5ヵ月連続で首位となった。2位は「デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド」(日興)(約490億円)、次いで3位には「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 D」(アライアンス)(約340億円)がランクインした。
(図表1)主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
2.投信市場のパフォーマンス動向
「全カテゴリーのリターンがプラス」
11月の金融市場は、ファイザー、モデルナなどの製薬各社が開発中の新型コロナワクチンの臨床試験結果が良好であったと相次いで発表し、世界的なリスクオンとなった。
株式市場は、全世界的に上昇した。米国では大統領選の開票が進むにつれバイデン次期大統領の誕生が確実視され、月初から堅調な展開となった。その後、製薬各社によって新型コロナワクチンの有望な治験結果が発表されると株式市場は急騰し、月間を通して株高傾向が継続した。
債券市場は、世界的に横ばい圏となった。新型コロナワクチンへの期待感から、一時は価格が下落(金利は上昇)する局面もあったが、足許で新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからないことから、当面の間は緩和的な金融政策が維持されるとみられ、月間では横ばい圏にとどまった。
為替市場は、米ドル・円は円高、ユーロ・円は円安となった。米ドル・円は、米国の足許での急速な感染拡大を嫌気し円高ドル安となった。ユーロ・円は、ユーロ圏での感染拡大がユーロ安要因となったが、新型コロナワクチンへの期待感がこれを上回り、円安ユーロ高となった。
これらを背景に、11月の投信市場では、すべてのカテゴリーがプラスとなった。新型コロナワクチンの良好な治験結果を受けて、株式市場が世界的に上昇したことから、株式カテゴリー(外国株式、国内株式、エマージング株式)がリターン上位となった。他方で、新型コロナワクチン開発への期待の高まりや、リスク選好姿勢の強まりからハイイールド債券やエマージング債券も良好なリターンを獲得した。ブラジルレアルなどの新興国通貨に対する円安の進行が主にプラスに寄与した。
個別ファンドの1ヵ月リターンでは、ブル型ファンドが上位を独占した。また、資源やエネルギー関連企業に投資する外国株式ファンドも上位に散見される。
(図表2)パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「新規設定本数、設定額ともに減少」
当月の新規設定は16本と前月(34本)から半減し、設定額も約490億円と前月(約620億円)から減少した。当月は2ファンドが設定額100億円超となるのみで、前月と同様200億円を超える資金を集めたファンドはなく、新規設定は低調であった。
設定額首位は「One円建て債券ファンド2020-11」(AM-One)(約180億円)。次いで「京都企業株式ファンド(資産成長型)」(三井住友DS)(約120億円)となった。前者は国内企業が発行する劣後債等に投資する限定追加型ファンド、後者は京都府や滋賀県に関連する企業の株式に集中投資する国内株式ファンドである。
(図表3)新規設定金額、設定本数の推移
最後に、11月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
(図表4)資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)