リタイア後のマネー事情

老後の生活を想像できる「ライフ・プランニングノート」つき

50代60代必読!『東京フィフティ・アップBOOK』で人生の後半を充実させよう

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東京都が、これから高齢期を迎える50代60代のプレシニア世代に向けた冊子『東京フィフティ・アップBOOK』を制作。

この『東京フィフティ・アップBOOK』には、老後の生活を充実させるヒントや「認知症」「健康寿命」などの気になるデータ、高齢者向けサポートの内容など、あらかじめ知っておきたい情報が掲載されており、208ページにも及ぶ。東京都民だけでなく、全国のプレシニア世代の参考になる冊子だ。

ファイナンシャルプランナーの大沼恵美子さんと一緒に冊子の内容を追いながら、老後に向けて必要な備えについて聞いた。

『東京フィフティ・アップBOOK』は、公式サイトから無料でダウンロードできる。気になる人は、さっそくチェックしよう。

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/tokyo50upbook/

老後の生活のポイントは「健康」「人間関係」

「老後のライフプランを立てるとなると、『仕事、収入の確保』が一番気になりがちですが、まず考えるべきは『健康』です。健康でなければ働けませんし、趣味を満喫することもできません。“人生100年時代”といわれるこれから、いかに健康寿命を延ばすかが重要になってきています」(大沼さん・以下同)

『東京フィフティ・アップBOOK』には、「健康寿命のために」というパートで、老後の体のことや50代60代からできる生活習慣病予防、認知症予防の方法などが掲載されている。


「98ページからの『未来が見えるキーワード5』というコーナーでは、『少子高齢化』『一人暮らし』『認知症』『健康寿命』『仕事年齢』の5つの観点において、現在の50代60代の方が後期高齢者になる時、社会がどう変化しているかという予測をグラフで視覚的に見ることができます。ライフプランを考える際の参考にするといいでしょう」



「健康に続いて、重要なものは『人間関係』。1人暮らしの高齢者は増えると予想されていますし、社会的孤立は心身に悪影響を及ぼすと考えられています。老後に楽しめる趣味、生活の糧になるボランティア活動などを通して、人とのつながりを築くことも、老後の生活において重要です。そのヒントも、『東京フィフティ・アップBOOK』には載っています」


『東京フィフティ・アップBOOK』には、50代のうちから始められる社会参加の具体例も掲載されている

老後の仕事は「趣味」からも見つけられる

「老後の健康や人間関係、趣味を考えつつ、仕事や収入についても考えてみましょう。『東京フィフティ・アップBOOK』には、仕事の見つけ方が載っています。さらに、『将来のために学ぶ』という選択肢も紹介されているんです。これは将来を考えるうえで大きな気づきになると思います」



定年まで続けてきた仕事を継続するだけが、老後の働き方ではない。現役時代にできなかったことに挑戦し、資格を取得して、いままでとは違う仕事を始めるという方法もある。冊子のなかでは、学び方も紹介されているため、自分に合う方法を見つける参考になるだろう。

「コロナ禍のなかで、テレワークをはじめとした新しい働き方が可能になったことは、多くの人が実感していると思います。また、副業もしやすくなっている今、趣味で磨いたスキルを収入源にするという発想も生まれてきています。例えば、裁縫が趣味の方が、手作りマスクを売って収入を得たというケースがありました」



『東京フィフティ・アップBOOK』には、さまざまな体験談も掲載されている。趣味や日常生活の一例ではあるが、「趣味が高じて、フラダンスの講師になれるかも」「市民農園で栽培した野菜を売れるかも」と、老後の仕事を見つけるヒントにできそうだ。

「どんなスキルでも、仕事にできる時代になってきています。仕事と直結しないと感じるような趣味や学びであっても、興味があるなら着手してみましょう。意外なところに才能は眠っているかもしれませんよ」

『ライフ・プランニングノート』は数年に一度書いてみよう

『東京フィフティ・アップBOOK』は、巻末に『ライフ・プランニングノート』がついている。老後の生活を、より具体的に考えていくためのノートだ。その中身も覗いてみよう。

したかったこと、なりたかったものは?

「1ページ目は、趣味や学びを見つけるためのページ。やり残したことを振り返ることで、趣味の範囲が広がり、場合によっては収入につなげることもできます。この方の例だと、英語を学び直し、外国人観光客向けのガイドになるという新たな夢ができるかもしれません。また、やり残したことを実践することで、人生の欠如感が解消されていきます」

将来過ごす1週間は…?/将来過ごす1日は…?


「老後の生活を具体的に考えることで、今後検討するべきものが見えてくるでしょう。特に男性の場合、1日のほとんどを仕事に費やしてきたため、いざリタイアすると、したいことがないという方がいます。現在のタイムスケジュールと比較しながら、老後も働くのか、趣味に没頭するのか、人との交際を重視するのか、考えてみましょう。老後にかかる生活費も見えてくると思います」

自分を客観的に見てみる

「働くにも趣味を楽しむにも『健康』がベースになるので、50代・60代のうちから、自分の体調は把握しておきましょう。もし、健康診断などで問題があれば書き加えて、普段見る場所に置いておけば、その部分を意識して生活できるでしょう」

いろいろな人との精神的距離は?/マルチコミュニティの距離感は?


「この2つのマップはかなり重要です。高齢者になると人的サポートが重要になるので、時間的距離が近い人がキーパーソンになります。そのため、時間的距離が近い人と、精神的距離を縮めることも大切。たとえ息子や娘と仲が良くても、新幹線や飛行機に乗るほどの距離に住んでいたら、頼りにくいもの。その場合、近所に信頼できる友達を作っておくと、安心ですよね」

将来の暮らしの質を高めるために…

「最後のページは、エンディングノートに近いイメージです。じっくり考えて、必要に応じて家族と相談しながら、書き込んでいきましょう。いざという時のため、『臓器提供はしたい?』『延命治療はしてもらいたい?』の欄だけでも、書いておくことをオススメします。自分の意思を示すことで、配偶者や子どもの負担を軽減することができます」

大沼さんは、「この『ライフ・プランニングノート』は、定期的に書いてみるといい」と、教えてくれた。自身の健康状態、スーパーや銀行などのライフインフラの場所、延命治療の考え方などが、変わるかもしれないからだ。書き換えていくことで、現在と将来の自分の状況が見えてくるだろう。

誰でも無料でダウンロードできる『東京フィフティ・アップBOOK』。人生の後半を充実させるため、改めて自分を見つめなおして将来について考えるのにいいツールだ。ぜひ積極的に活用しよう。
(有竹亮介/verb)

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