「体外受精」は治療だけで1回20万~70万円!!

保険適用外!?「不妊治療」の費用ってどのくらいかかるの?

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日本産科婦人科学会の発表によると、2018年に体外受精で生まれた子どもは5万6979人。2008年は年内に産まれた子どもの50.2人に1人が体外受精だったが、2018年には16.1人に1人となるほど、増加しているのだ。

そして、現在の菅政権が積極的に進めている政策の1つが「不妊治療の保険適用・助成制度の拡充」。体外受精をはじめとする不妊治療を、より受けやすくしようという内容だ。

不妊治療というと、保険適用外で、莫大な費用がかかるイメージが強いだろう。ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんに、不妊治療の費用について聞いた。

最初のステップ「タイミング法」は保険適用

「不妊治療にはいくつか方法があり、代表的なものに『タイミング法』『排卵誘発法』『人工授精』『体外受精・顕微授精』が挙げられます。このなかの『タイミング法』『排卵誘発法』に関しては、保険適用です」(氏家さん・以下同)

タイミング法
血液検査や超音波検査などの結果をもとに医師に排卵日を推測してもらい、妊娠しやすい日について指導を受ける治療法。不妊治療の最初のステップ。

排卵誘発法
内服薬や注射薬によって卵巣を刺激し、排卵を起こしやすくする治療法。タイミング法や人工授精の妊娠率を高めるために使用される。

「『タイミング法』『排卵誘発法』は保険適用なので、費用はそこまで高額にはならず、それぞれ1回2000~3000円程度。ただ、血液検査や超音波検査を多く行うほど費用はかさみ、2万円ほどになる場合もあります。また、検査を複数回行うと保険適用外になり、費用が膨れ上がることもあるので、必ず医師に確認しましょう」

「人工授精」「体外受精」は1回数万~数十万円

「タイミング法」の次のステップとなるのが、「人工授精」「体外受精・顕微授精」だが、現在はどちらも保険適用外となっている。

人工授精
排卵のタイミングに合わせて、人工的に子宮に精子を注入する治療法。身体的負担、経済的負担が比較的軽いため、回数を重ねやすい方法といわれている。

「『人工授精』は保険適用外なので、病院によって費用は変わりますが、日本生殖医学会の発表によると、1回1万~3万円程度。治療自体はものすごく高額というわけではありませんが、女性の事前検査や男性の精液検査なども行うことが多いため、実際は1万~2万円程度プラスになると考えた方がいいでしょう」

体外受精・顕微授精
卵巣から卵子を取り出し、体外で精子と受精させ、受精卵をカテーテルで子宮内に送り込む治療法。顕微授精は、卵子に1つの精子を直接注入する方法で、卵子と精子が自然に受精しない受精障害の場合に行われる。

「日本生殖医学会によると、どちらも1回の費用は20万~70万円程度。ただ、病院のホームページなどを見ると、『体外受精』より『顕微授精』の方が高額な印象です。なかなか成功しないため、何度も繰り返す方もいて、場合によっては1000万円近くかかるケースもあります」

男性の不妊検査・治療
男性が行う精液検査、ED治療薬の処方や精子を精巣から採取する手術などは保険適用外で、自費診療となる。一般的に、精液検査は6000円前後、ED治療薬は1錠1000~3000円程度。

不妊治療のための支援制度は「回数制限」あり

「体外受精・顕微授精」は1回だけで数十万円かかるとなると、金銭的な余裕がないと進めにくいと感じてしまいそうだ。

「『体外受精・顕微授精』に関しては、『特定不妊治療費助成制度』という医療費支援の制度があります。治療や検査の種類によって助成額は変わりますが、初回は上限30万円、2回目以降は上限15万円まで支給されます」

ただし、何度でも受給できるわけではない。女性の年齢によって、助成を受けられる回数は異なる。

※令和2年度のみ、特例により44歳未満に引き上げられる

「『体外受精・顕微授精』に伴い、精子を男性の精巣から採取する手術を行う場合は、さらに初回30万円まで、2回目以降15万円までの助成が受けられます。ただし、『特定不妊治療費助成制度』を受けるには、730万円(夫婦合算の所得ベース)という所得制限があるので、収入が多い世帯は申請できません」

上記は厚生労働省が定めている内容だが、自治体によっては内容を変更していることもあるそう。例えば、東京都の場合、所得制限は905万円とされていて、2回目以降の上限額も20万円なのだそう。

「現在、菅政権では不妊治療を保険適用させるまでの間、助成回数を見直す、2回目以降も上限30万円にするといった助成制度の拡充が検討されています。また、自治体によっては、独自の不妊治療支援制度を設けているところもあるので、不妊治療を考えている人は確認してみましょう」

回数を重ねれば、それだけ費用もかさんでいく不妊治療。病院によっても費用は異なるため、病院選びや助成に関する事前のリサーチは重要になりそうだ。
(有竹亮介/verb)

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