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コロナ基金は異例の長期プロジェクトに

「支援してよかった」と思える仕組み。READYFORに資金が集まる理由

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新型コロナウイルスの影響が長期化する中、経済的なダメージを受けた機関も数多い。それらへの支援や寄付が求められる中で、存在感を発揮しているサービスがある。クラウドファンディングの「READYFOR」だ。

クラウドファンディングは大きく2種類に分けられる。企業や店舗の新商品・新サービスにあらかじめお金を出す「購入型」と、純粋な支援・応援としてお金を出す「寄付型」だ。READYFORは寄付型の色合いが強く、2011年のローンチ以来、支援・応援のお金が集まる場として定着してきた。

その特性がコロナ禍で活きている。経済的に苦境に陥った大学生のサポート支援や、院内クラスターが発生した永寿総合病院の支援プロジェクトなど、窮地を救う取り組みが多数生まれているのだ。

今後も経済的ダメージが続くと予想される中で、READYFORはどんな役割を担うのか。そもそも、なぜこの場所には多くの支援が集まるのか。READYFOR創業者であり代表取締役CEOの米良はるか氏に聞いた。
 

コロナ基金は、国内クラウドファンディング歴代1位の寄付総額に


コロナ禍以降、READYFORではさまざまな支援が行われた。4月3日に設立された「新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金」はその代表。通常のクラウドファンディングは、目的や組織・プロジェクトごとに資金を集めるが、こちらはまず「感染拡大防止のための基金」という大枠でREADYFORと(公財)東京コミュニティー財団が資金を募り、集まったお金を支援の必要な団体に助成した。

「感染が急拡大した春は、何らかの寄付をしたいと思いながら『どこにお金を出せばいいか分からない』と悩む方がたくさんいました。そこで私たちが資金を集める役を担い、そのお金をスピーディに流す仕組みを作りました」

4月にスタートしたこの基金は、現在までに8.7億円の寄付が集まった(12月8日現在)。これは国内購入型・寄付型クラウドファンディングの史上最高額となる。当初は7月で終える予定だったが、支援を必要する方が依然多いことから延長したという。4月に第1期の助成が行われ、10月から第5期をスタート。異例の長期支援となっている。

とはいえ、寄付をする人にとっては、自分のお金がどこに届いたのか、どう使われたのか気になるところ。それは世の中の“寄付そのものに共通する不安”でもある。READYFORはこの不安に応えているからこそ、多くの金額と長いスパンの基金が実現している。

「集めた基金をどこに届けるかという『助成先の公開』はもちろん、受け取った方に動画などで感謝やメッセージの声をアップしていただいています。READYFORを運営する中で、寄付した方が『お金を出してよかった』と感じられるコミュニケーションや仕組みを作ってきました。実はそれこそが寄付を広めるには大切で、この基金にもノウハウが生かされています」

多数の企業が参加したのも大きな特徴だろう。ソニーや楽天グループ、ファミリーマート、マネックス証券など、名だたる企業が趣旨に賛同して寄付などに参加している。

一方で、大学生の支援にも力を入れた。各大学では、経済的に苦しむ大学生を支援する「大学学生応援基金」などのプロジェクトが独自に立ち上げられていた。READYFORは、自社のプラットフォームを使って資金調達をサポート。筑波大学や東京大学などの基金プロジェクトに加わり、寄付金を集める窓口となった。

もうひとつ紹介したいのは、永寿総合病院の支援プロジェクトだ。永寿総合病院は、春に院内クラスターが発生した医療機関。当時、懸命に戦った医療従事者や職員を支援しようと、ユーザーによってプロジェクトが立ち上げられた。4639人が寄付し、総額5000万円近くに。クラウドファンディングだからこそできる、新しい支援が生まれた。

「何十年後に成果が出る取り組みにも、お金が流れるように」

これほどまでにREADYFORが寄付や支援の色合いを強くした背景には、米良氏の思いがある。

「日本の事業投資は、短期で利益が出やすい領域に多くの資金が投入される傾向にあります。しかし世の中をよくするには、長期でメリットの生まれる領域にも資金が流れなければいけません。たとえば地球の環境課題に対する研究は、結果が出るまでに何十年とかかります。すぐには利益が出ませんが、未来のために必要不可欠。そういった領域に資金が届くよう、新しいお金の流れを作りたいんです」

アメリカのクラウドファンディングを見ると、商品やサービスにお金を出す「購入型」より、READYFORのような「寄付型」のほうが市場が大きいという。また、日本はアメリカやイギリスと比べ「寄付文化が薄い」ともいわれる。

こんなデータがある。日本ファンドレイジング協会の「寄付白書2017」では、日本とイギリス、アメリカの個人寄付総額を比較している。結果は、日本が7756億円、イギリスは1兆5035億円、アメリカは30兆6664億円。人口の違いを考えても、1人あたりの寄付金額には大きな差がある。日本の「寄付文化が薄い」といわれる理由でもある。

しかしその中で、READYFORは新しい潮流を生んでいる。それを実現したのが、先述した「コミュニケーションの仕組み」。寄付した人が「お金を出してよかった」と思えるコンテンツを用意し、寄付が続くサイクルを生んだ。

そうして築いた“新しいお金の流れ”は、コロナ禍はもちろん、以降も間違いなく必要となる。

「かつては、ひとつの大きなブランド・サービスに大量の人が集まる時代でした。しかし今後は、ひとつひとつの規模は小さくても、熱量の高いファンが集まるコミュニティがたくさんできるでしょう。そして、ファンがコミュニティを支援し続ける世界になるはず。そのとき、個人からコミュニティへ、支援のお金が流れる仕組みとしてありたいと思っています」

新しいお金の流れを作りたい――。その思いから生まれたクラウドファンディングは、この1年、未曾有の事態に苦しむ多くの人を救った。しかし、まだまだ役目は終わらない。今だけでなく、未来の人々や地球を支援するために、READYFORはこれからも新しいお金の流れを作っていく。

(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

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