【日経記事でマネートレーニング5】相場ニュースを読む~市場関係者って誰?~

提供元:日本経済新聞社

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このコーナーでは日経電子版の記事を読むことで資産形成力のアップを目指します。実際のニュースやコラムを引用し、初心者には難しく思えるような用語をかみくだき、疑問点を解消していきます。金融・経済ニュースをどれだけ読みこなせるかは投資のリテラシーそのものです。日々の情報にリアルタイムで動ける実践力を養いましょう。

5回目は相場ニュースを取り上げます。テーマは「マーケット用語」。記事に頻出しますが、わかっているつもりでわかっていないジャンルです。たとえば、人気映画を鑑賞したとして「面白かった」と評価を伝えるといかがでしょうか?

はい、何も伝わりませんね。人気映画なので面白いのは当然です。なにがどう面白いのかがポイントです。「おもしろい」は幼児でも使えるやさしい言葉ですが中身は伝わらないのです。

株式や金利・為替も同じです。マネーの流れを読み、そこに参加しているプレーヤーの気持ちを汲み取るには汎用性のある言葉では伝わりません。日経記事には自然に専門用語がちりばめられていますが、わかったふりをするのではなく理解をすることがマーケット分析につながります。

市場関係者とは投資マネーをみているプレーヤー

その一例として「市場関係者」はどうでしょうか。ごく一般的に全国紙で使われていますが、市場関係者を説明してくださいといわれてどう答えますか?

正解のひとつとしては「投資マネーを常時モニタリングしているひと、もしくは投資マネーにかかわるリスク要因のウオッチャー」となるでしょう。具体的には法人系の投資家、証券の仲介業者、投資戦略策定家、経済環境全般の分析家――などです。法人系の投資家は実際にお金を投じている立場にあるのでもっとも重要な存在になります。コメントにも重みがあります。

投資戦略を考える方は分析や評価が合理的なので記事にも多く使われます。ただし、マネーを自分で操っているわけではないので後付け解釈が多くなります。

この理屈からいうと、東京証券取引所の社員の方は市場関係者とみなしません。資産形成に関与しているファイナンシャルプランナーやIFA、あるいは証券会社の営業部門の方も同じです。

サンプル記事をみてみましょう。一部を加工、割愛しています。

なんとなく読めそうでしょうか?

はい、なんとなく読めるかと思います。

では、利食い売りと積極的な売りとはなにがどう違うのでしょうか?あるいは「押し目買い」とありますが、上値を追う買いとはどう異なるのでしょうね。

こう突っ込まれると困りますね。日常的に株をやっていないひとは意味が分からないと思います。

しかし、この語彙を理解できるようになると投資家の姿勢がわかり、続いて投資心理がいまどうなっているのかがみえてきます。

そこまで目配りして本当に記事が書かれているかどうかは別にして、今回取り上げた用語を学んでおくだけでマーケットがかなりわかるようになると思います。

良い売りと悪い売り、上がる買いと上がらない買い

ではひとつひとつみていきましょう。相場用語は数が非常に多いので関連用語は説明しないように簡潔にとどめました。

市場関係者=法人の投資家、マーケットを常時チェックし、分析できる識者全般

下値=下がった場合に下げ止まると考えられるおおよその相場水準

利食い=利益を確定する売り。利食うともいう

売りを仕掛ける=相場が下がると読んで先に売り注文から出すこと

押し目買い=下がる局面で買う投資行動。指値注文が多くなる

心理的な節目=史上最高値、3万円など誰もが共有しやすい目標水準

買い遅れている=買う機会を逃がした結果、計画している株数を買い切れていない状況

⑧底堅い=下げると買いがすかさず入る結果、下がりにくい状況

⑨上値を追う=まだまだ上がるという読みから価格が高くても買う投資行動。成り行き注文が多くなる

では、いつものようにあえてかみくだいて直した記事をみましょう。

 

もう少し突っ込むと売りにもいろいろな売りがあるわけです。利益確定売り、戻り売り、損切り、狼狽売り――。利食った投資家はそのキャッシュを次の投資に回そうとします。従って利食いは「次の買いの原資」になるわけです。いわば、投資家の手元に余裕資金ができるわけで、上昇へのマグマが蓄積する点で「良い売り」だといえます。

一方、買いが入れば必ず上がるわけではありません。押し目買いは下がれば買う姿勢なので、注文もできるだけ安い水準で買う「指値」になりがちです。下がりにくい環境を作りますが、相場を上げに導く買い方ではないわけです。

景気や業績の動きはもっとも大切ですが、直接株価を左右するのはマネーの流れですから、ちょっとオタクっぽい関連用語を頭の中に入れておいて損はないはずです。

 

(日本経済新聞社 コンテンツプロデューサー 田中彰一)

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