2021年:投資の三大テーマ

提供元:日興アセットマネジメント

TAGS.

<ここがポイント!>

■ コロナ・ショックからの回復をさらに上積み
■ コロナ・ショックで影響を受けたセクターに注目
■ 次に成長が期待されるセクターに注目

コロナ・ショックからの回復をさらに上積み

2020年のコロナ・ショックは誰にも予想できなかったものの、回復の道筋は多くの市場参加者が昨年4-6月に想定していた通り進んだ。経済は新型ウイルスの新規感染者数の増加に左右されず、主要先進国は医療崩壊を避けつつ、行動制限をコントロールしながら生産活動を再開させ、国内消費の支援を続けた。その結果、非接触型関連を中心にモノの消費が回復し、一部の国ではサービス消費の回復もみられるようになった。

米国を例に挙げると、コロナ・ショックで失われた2,000万人超の雇用者数は、約半年で半分程度回復しており、2021年末に向けて緩やかながら元の水準に戻ると想定している。小売売上高の水準はすでにコロナ・ショック前を上回っており、今後、貯蓄に滞留しているとみられる個人向け給付金が消費に回り、さらに押し上げることになろう。

一方、旅行や飲食などのサービス消費の回復については、足踏みが続いている主要先進国もある。これらの国については、今夏に予定されている東京五輪・パラリンピックの開催までに多くの人々がワクチンを接種することになれば、サービス消費の正常化が期待される。この時、支出先が単にモノからサービスに移るのではなく、貯蓄に滞留しているお金が消費に回り、消費が上積みされることになろう。

当社は、コロナ・ショックからの経済の回復をさらに上積みするシナリオをとっている。消費大国である米国では、民主党バイデン次期政権が財政支出を拡大し、需要をさらに拡大させるとみている。バイデン氏は増税政策を掲げているが、現時点では上院で共和党が多数派を握るとみられることから、市場に優しくない政策は延期または棚上げすると想定している。少なくとも、財政拡大のだいぶあとに経済が正常化してから、増税を実施する可能性が高いだろう。

リスクは、(1)人々の消費行動がサービス消費に向かわず、貯蓄率が高止まりする、(2)米国で増税政策が思いのほか早期に実施される、(3)新型ウイルスの突然変異などに伴う医療崩壊と都市封鎖の再開などが挙げられる。

コロナ・ショックで影響を受けたセクターに注目

コロナ・ショックからの回復が続き、消費の上積みがあるならば、コロナ・ショックの影響を大きく受けたセクターほど回復が大きいことになる。例を挙げれば、REITや空運であろう。

日本では昨年、3月決算直前にREITが大幅に下落した際、主要投資家である地銀が集中的に売却した。その後もコロナ禍の影響でテレワークなどが増え、REITの主要投資対象であるオフィスビルでのテナントの家賃引き下げや需要低迷などが懸念され、軟調に推移してきた。

しかし、徐々に見方が変わり始めている。中小ビルでは家賃引き下げ交渉が起きているが、REITが保有する優良物件は比較的安定していること、政府も家賃補助の支援を始めたこと、テレワークなどで需要低迷が懸念されたものの、サテライト・オフィスの需要が高まったことなどの変化がみられ、さほど大きな価格破壊には繋がりそうにないと想定している。

加えて、REITの分配金利回り(分配原資は主に賃料収入)は、足元4%を上回っており、低金利下においては、魅力的な水準にある。

このほか、ワクチン接種が進んで接種証明や陰性証明書により渡航が可能になるとの想定で、空運の正常化にも期待している。

リスクは、(1)不動産市場が停滞し、優良物件のオフィスビルも需要が減退する、(2)投資家のリスク許容度が戻らずに市場への回帰が遅れる、(3)東京五輪・パラリンピックの開催が再延期・中止になるほど感染が再拡大するなどが挙げられる。

次に成長が期待されるセクターに注目

今回のコロナ・ショックからの回復の過程で、新たな成長機会として非接触型ビジネスに注目している。例えば、ロボティクスについて、工場や店舗などでの非接触を進めるために投資が拡大するとみる。また、菅政権が進める政府のデジタル化は経済にインパクトを与え、インターネットを介したサービスは引き続き利益成長が期待される。

リスクは、独占禁止法などの規制強化がインターネット関連企業の負担となる可能性などが挙げられる。

もう一つは、ESG(環境・社会・ガバナンス)関連ビジネスに注目する。米国の民主党バイデン次期政権や日本の菅政権などは、これまでの政権と異なり、環境を重視してCO2(二酸化炭素)排出量削減目標とその施策を相次いで表明している。これは、太陽光発電、EV(電気自動車)、水素自動車、自動運転などさまざまな分野で新技術を必要とすることから、関連産業の利益成長が期待される。

リスクは、政策の行き詰まりやコロナ対策で多額の財政出動を行った政府がどこまで支援できるかなどが挙げられる。

2021年は、2020年のコロナ・ショックからの経済の回復にどのくらい上積みができるかに注目する。サービス業を中心とした出遅れの回復は、コロナ感染の抑制に依存するものの、製造業やITなど非接触関連は引き続き好調を維持するだろう。一方で、日米を中心に政治リスクから目が離せない年になるともいえそうだ。

(日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト 神山直樹)

注目キーワード