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無くなるとの観測を打ち破り続けるゲーム専用機

大いに盛り上がった2020年のゲーム専用機市場

提供元:エース経済研究所(エース証券)

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4年目に爆発的ヒットとなったNintendo Switch

COVID-19によるパンデミックの影響で、ゲーム機とゲームソフトの需要が大幅に伸長している。特にNintendo Switch:以下Switchは各種メディアでも取り上げられたように、販売が非常に好調である。きっかけは、2020年3月発売の「あつまれ どうぶつの森」だと思われているが、実は、Nintendo Switchの販売はその前から伸長していた。実際に販売が伸びた要因は「Switch Lite」の発売である。

一般的に、ゲーム機は特定のキラータイトルによって販売が伸びると強く信じられているが、実際には、消費者がゲーム機本体を気に入ったかどうかのほうが大事なのである。

【図1】ゲーム機発売から250週の推移

(出所)ファミ通

この図1を見ても、過去20年間のゲーム機の販売において、トレンドが変わったことは国内でマイナーチェンジが行われた3度しかない。そして、図1から、「どうぶつの森」発売前から「Switch」の販売が大きく伸びていたことが判る。Switchの2020年の飛躍は決してCOVID-19だけによって引き起こされたわけではなく「Switch」ハードの魅力によって既に始まっていたと考えている。

エース経済研究所では、ゲーム機本体の魅力こそがゲーム機ビジネスを決定しているという点を理解すると、予測が難しいゲームビジネスの先行きが見えてくると考えている。

ゲーム機は無くなる!?

2000年代末から約10年近く、ゲーム専用機は無くなるとの指摘を受け続けている。最初は、携帯電話のブラウザゲームがデジタルガチャで隆盛になると、携帯ゲーム機は無くなるとの指摘が多かった。さらに、スマートフォンが世界的ヒットになり、日本でもパズドラやモンスト、FGOといった大ヒットゲームが誕生し、任天堂が3DSやWiiUの販売不振で営業損失に転落すると、ゲーム専用機自体が無くなるとの論評が多くを占めるようになった。

しかし、これらはSwitchが大ヒットした結果、間違いであることが判ったと言えるだろう。任天堂の業績不振は、外部要因では無く、任天堂自身のハード戦略のミスによるものである。

任天堂が64、ゲームキューブ、WiiUと、特に据え置き機でハード戦略のミスを定期的に繰り返しているのはおそらく、故山内氏の「ゲーム機はソフトのために嫌々買っているもの」との発言が影響していると考えている。最初の項で述べたように、ゲームビジネスは実はハードの魅力で決まっているにもかかわらず、ソフトの魅力を優先してしまったのである。

任天堂は、この部分を再定義しつつあると考えているので、今後、失敗するリスクは小さくなるだろう。

話を戻そう。Switchが大ヒットした現在でも、ゲーム専用機は無くなるとの論評が続いている。今度は、クラウドゲームである。クラウドゲームとは、ハードウェアに当たるサーバーを巨大IT企業が持ち、ユーザーはゲームを初期コスト無しで楽しめるものである。しかし、現時点ではうまくいっているとは言い難い。グーグルも、アマゾンもサービスを開始したが、遊ばれているとのデータや報道をほとんど見ないのである。

また、実はソニーもクラウドゲームを展開しているのである。しかし、ユーザーにはやはり遊ばれていない。この状況を見るに、とてもゲーム機が嫌々買われているようには見えないのである。

だが、それでも当面は、ゲーム機は無くなると言われることとの戦いが続こう。たいていは、テクノロジーがイノベーションを起こし、一夜にして世界を変えると信じているためだ。ところが、実際に普及するのは量産できるものである。そのことを理解していない人が多数である限り、この状況は続きそうだ。

2021年のゲーム機市場

2021年のゲーム機市場が、どうなるかを予想することは難しい。世間一般にはプレイステーション5:以下PS5が普及すると思われているが、国内市場は、残念ながらソニーが供給できなかったことで、厳しいものとなろう。

店頭に在庫が無ければ売れていて、在庫があれば売れていないと思われがちだが、グラフにすると一目瞭然である。

【図2】Switch(赤)とPS5(青)の初年度(2017年と2020年)の販売推移

(出所)ファミ通

このグラフは、2017年の年末商戦期のSwitchと、2020年のPS5の年末商戦期の推移である。PS5は年末商戦期に全く店頭で見ることができなかったが、Switchの初年度の年末商戦期と比較しても、その差は歴然。本来は販売が伸びるはずの8週目(1月第1週)にかけてPS5は販売数を落としている。このデータからはPS5が国内で売れているようにはとても見えない。

また、ソニーが、国内市場で任天堂が圧倒的なシェアで高収益を上げている状況をなんとかしようという意思も感じられない。このような結果になったのは、世界市場の過半を占めるアメリカを優先した結果と推測しているが、ソニー全体への影響は小さいだろう。ただ、PSに注力している国内のサードパーティの業績に大きな影響が出そうである。

プラットフォーマーとして、責務を果たそうとしないソニーには深い失望を禁じ得ない。多くの人のイメージと実態には大きな乖離があるのである。

最後にSwitchについてだが、Switchは5年目に入るため、一般的には前年に比べて販売が減少すると想定されても不思議はない。しかし、エース経済研究所では、Switchのマイナーチェンジを投入することでピーク水準を維持することが可能だと考えている。そのためには、Switchをさらに差別化できるデザインとスタイルが肝要であろう。任天堂は日本で他社を圧倒している。驕ることなく、ユーザーのニーズをくみ上げ続けてもらいたいものだ。

提供元:エース経済研究所(エース証券)

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