加入していることに気づいていない会社員は多い!?

社労士が教える! 2種類の「企業年金」をきちんと活用する方法

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公的年金は、「国民年金」と「厚生年金」の2種類がある。個人事業主は国民年金のみの1階建てとなるが、会社員や公務員などの給与所得者はその2つに加入しており、2階建てになるというメリットがある。

さらに、企業によっては独自の年金制度を導入しており、3階建てになる場合も。3種目の「企業年金」について、ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子さんに教えてもらった。

「現在の企業年金は、『確定給付企業年金』または『確定拠出年金』という2種類が一般的です。企業によっては、2種類を組み合わせているところもあります。どちらも掛金を運用するという点は同じですが、責任の所在が異なります」(川部さん・以下同)

確定給付企業年金
従業員が退職後に受け取る支給額が、あらかじめ約束されている企業年金制度。拠出・運用・管理・給付まで、すべての責任を企業が負う。

確定拠出年金
企業が拠出し、従業員自身が運用・管理の責任を負う企業年金制度。通常、会社が拠出する掛金は給与と見なされないため、税金や社会保険料の対象ではなくなる。「企業型DC」とも呼ばれる。

まるっと企業任せの「確定給付企業年金」

「企業が『確定給付企業年金』を導入している場合、従業員は強制的に加入していることがほとんどです。ただ、拠出から運用まで、すべて企業が行ってくれるので、従業員は特にすることがありません。加入していること自体、意識することもないでしょう」

企業によって支給額は異なるが、あらかじめ金額が決まっているため、退職金の要素が強い「確定給付企業年金」。公的年金とあわせて給付されれば、老後の生活に余裕が生まれるだろう。

「以前は『確定給付企業年金』が主流でしたが、近年は『確定拠出年金』がトレンドになってきています。『確定給付企業年金』50%、『確定拠出年金』50%など、2つの制度を組み合わせている企業も増えてきていますよ」

従業員自身が運用していく「確定拠出年金」

「確定拠出年金」は、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の企業版といえる制度で、企業が導入していなければ従業員が利用することはできない。

「『確定拠出年金』の導入数は年々増えていて、現在は会社員の5人に1人が加入しているといわれています。気づいたら加入していたというケースも多く、従業員が運用・管理責任を負うにもかかわらず、よくわかっていない人も多く見られます」

企業が掛金を拠出してくれる制度だが、運用する金融商品の選択や変更は従業員自身が行わなければならない。投資信託も選べるが、預金や保険で放置されているケースが多いとのこと。

「かつての退職給付制度から制度を変更して導入された『確定拠出年金』は、企業側が想定利回りを決めている場合が多々あります。想定利回りとは、その利回りで運用することで、かつて企業が導入していた退職給付制度と同等の給付額が得られる指標のこと。想定利回り2%の場合は、利回り2%で運用することで、過去の制度と同水準になるというわけです」

想定利回りが高ければ高いほど、意識して運用しなければ、退職後に受け取る金額が制度改定前よりも少なくなるということだ。

「確定拠出年金」の放置はNG! 掛金の額や運用商品をチェック

勤めている企業が「確定拠出年金」を導入している場合は、いくつかチェックするべきことがあるという。

「まず確認するべきは、強制か選択制か。選択できる場合は、ライフプランや現在の貯蓄額と照らし合わせて判断しましょう。制度を活用するなら、拠出できる掛金の額もチェック。掛金の額は企業で異なり、上限が月数千円という企業もあります。拠出額を増やしたければ、自分のお金を上乗せする『マッチング拠出』が許されているか、確認しましょう」

マッチング拠出分は全額所得控除となり、税金額が下がるため、拠出するだけでメリットがあるといえるだろう。

そして、運用する商品を選ぶ段階に入っていく。想定利回り2%の場合、元本確保型の預金や保険では、利回り2%にはとても到達しない。想定利回りが期待できる投資信託などを選択することが重要になる。

「長く企業に勤め、各種制度で会社が積み立ててきたお金がある場合、制度移換金として一括または分割で『確定拠出年金』に移されることがあります。制度移換金は毎月の掛金とは別に、単独で金融商品を選ぶことができます。制度移換金が数千万円など高額になっていて、値動きを避けたければ、元本確保型商品などを選ぶ方法もあります」

企業年金というと、公的年金と同様に自動的に天引きされるものと思いがちだが、「確定拠出年金」の場合は自ら運用しなければならない。うまく運用すれば、将来の年金額アップも期待できる。加入している制度を把握していない人は、さっそくチェックしてみよう。
(有竹亮介/verb)

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