投資信託のトレンドが分かる!
2021年1月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2021年1月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「外国株式への大規模な流入が継続」
1月の資金流出入動向は流入超が継続した。流入額は約4,530億円と前月を上回った。
資金流入では、外国株式が2ヵ月連続で5,000億円を超える流入超となっており、勢いが継続した。また、金額は小さいものの、国内債券が2カ月連続の流入超となったほか、これまで流出超が続いていたエマージング株式やREIT(不動産投信)が流入超に転じた。
資金流出では、前月に5ヵ月ぶりの流入超となった外国債券が、再び流出超に転じた。また、国内株式やエマージング債券、ハイイールド債券および複合資産では流出超が継続したが、いずれも流出額は前月対比で減少した。
個別ファンドでは、「デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド」(日興)(約503億円)が資金流入1位となった。2位は「グローバル・プロスペクティブ・ファンド」(日興)(約497億円)、次いで3位には「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(ヘッジなし)」(AM-One)(約451億円)がランクインした。「グローバル・プロスペクティブ・ファンド」は、純資産額で「ピクテ・グローバル・インカム株式F(毎月分配型)」を逆転し、首位となった。
(図表1)主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
2.投信市場のパフォーマンス動向
「エマージング株式の好調が目立つ」
1月の金融市場は、昨年末から引続き月中旬まではリスクオンの展開が継続したが、月末にかけて米国主導でややリスクオフの展開となった。
株式市場は、国内・新興国株式は上昇、先進国株式は下落した。米国ではバイデン新政権がスタートし、打ち出された政策への期待感から、NYダウは史上最高値を更新した。しかし、月末にかけては一部銘柄の急騰・急落を皮切りに株式市場全体の過熱感が意識され、全世界的に上昇幅を縮めた。
債券市場は、米国は下落(金利は上昇)、国内や欧州では横ばいとなった。米国では、バイデン新政権が打ち出した新型コロナウイルス対策やインフラ投資計画による財政拡大が意識されて金利が上昇した。一方で、国内金利やドイツ金利はほぼ横ばいとなった。
為替市場は、米ドル・円は円安、ユーロ・円は円高となった。米ドル・円は、米国金利の上昇により、やや円安米ドル高となった。ユーロ・円は、新型コロナ変異種の感染拡大によるロックダウンの延長や、域内加盟国の政局不安への懸念が広がったことから、やや円高ユーロ安となった。
これらを背景に、1月の投信市場では、エマージング債券と国内債券がマイナスとなったが、そのほかのカテゴリーはすべてプラスとなった。中でも外国株式カテゴリーは、株式市場全体としては小幅な下落でありながら、自動運転やVRなど特定テーマに投資するファンドが好調で、2.6%のプラスとなった。カテゴリー別では、2ヵ月連続でエマージング株式がリターン首位となった。昨年のGDP成長率が主要国で唯一プラスになるなど、経済の持ち直しが目立っている中国に投資する株式ファンドが主にプラスに寄与した。
個別ファンドの1ヵ月リターンでは、EV関連のテーマ株ファンドのほか、景気回復の続く中国のハイテク関連株に投資するファンドが上位にランクインした。
(図表2)パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「新規設定も外国株式型が人気」
当月の新規設定は22本と前月(15本)から増加したが、設定額は約450億円と前月(約1,130億円)から半減した。当月は「外国株式型」が設定額の8割弱を占めた
設定額首位は、「東洋・中国A株ファンド「創新」2021(限定追加型)」(SOMPO)(約80億円)、2位に「GRAN NEXTテクノロジー」(三菱UFJ国際)(約70億円)となった。テーマ型ファンドであるGRAN NEXTシリーズは、2位のテクノロジーを含めて5本(5つのテーマ)が設定され、各ファンド間でスイッチングが可能。シリーズの当初設定額は合計で約200億円となった。
(図表3)新規設定金額、設定本数の推移
最後に、1月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
(図表4)資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)