所得税だけでなく「贈与税」非課税も大きなメリット!
今こそ始めるべき?「ジュニアNISA」の変更点
口座の新規開設期限が2023年までと、制度終了が押し迫っている「ジュニアNISA」。期限が明確に定まったことで、制度内容に変化があったようだ。
そこで、「ジュニアNISA」の制度内容を振り返りながら、ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんに変更点について解説してもらった。
“非課税の贈与”として子どもに渡せる制度
「『ジュニアNISA』は、日本在住の0~19歳が利用できる投資非課税制度で、口座の運用や管理は、原則として両親や祖父母など二親等以内の親族が代わりに行います。『NISA』と同様に運用は非課税で、利益や配当金に税金が課せられません。本来であれば約20%の税金がかかるので、税制メリットの大きな制度といえます」(山中さん・以下同)
「ジュニアNISA」の非課税期間は最長5年間。年間の拠出額の上限は80万円なので、最大400万円が投資できる。
「ジュニアNISA」を利用するためには、証券会社や銀行、郵便局、農協、信用金庫などでジュニアNISA口座を開設する必要がある。購入対象となる金融商品は株式や投資信託、ETFなど幅広いが、口座を開設する金融機関によって取り扱い商品が異なるうえに、一度開設したら金融機関の変更はできないため、金融機関選びは慎重に行いたい。
山中さん曰く、「『ジュニアNISA』には、子どもや孫に対する贈与として利用しやすいというメリットがある」とのこと。
「贈与税に関する制度として、親や祖父母からの1500万円までの贈与であれば非課税になる『教育費の一括贈与』があります。これは先に資金を出し、教育費として使った費用は領収書などを添付して非課税として相殺し、子どもや孫が30歳になるまでに教育費として使い切らなかった分は課税対象となるのです。一方、『ジュニアNISA』は金額は少なくなるものの、教育費という縛りがなく、拠出したお金は贈与税もかからずに口座開設者である子どもや孫のものになります」
子どもや孫のために運用して増やした資金を、税金を引かれずに渡せるのは大きなメリットといえるだろう。ただ、「ジュニアNISA」で拠出した額は、暦年贈与の基礎控除(年間110万円)に含まれる。「ジュニアNISA」を上限80万円までフル活用する場合、暦年贈与の基礎控除の残りは年間30万円となるところは注意点といえるだろう。
「2024年以降いつでも払い出し可能」に変更
もともとの「ジュニアNISA」は、子どもや孫が18歳になるまで(3月31日時点で18歳である年の前年12月31日まで)、運用した資金を払い出せないという制約があった。つまり、10歳で「ジュニアNISA」を始め、15歳で非課税期間が終わったとしても、18歳までその資金は引き出せなかったのだ。
「『ジュニアNISA』の期限が2023年までと確定したことを受けて、2024年以降は18歳までの払出制限が撤廃されることが決まりました。2024年1月1日以降は、払い出しについて過去の利益に対する課税(遡及課税)は行われません。つまり、18歳を待たずとも保有する資産を引き出せるようになったので、自由度が増したといえます。ただし、部分的に金融商品や金銭を払い出すことはできず、保有する口座内のすべての金融商品や金銭を払い出し、口座廃止することになる点は注意したいです」
ちなみに、2023年までであれば「ジュニアNISA」の口座を新設でき、非課税期間5年間も変更はない。例えば、2021年現在10歳で口座開設し、5年後の2026年15歳の時点で非課税期間が終わったら、すぐに引き出すことも可能となる。
中学受験、高校受験に向けて活用できる制度に
「もともとの『ジュニアNISA』は、大学入学時のみを想定とした設計でしたが、払い出し制限の撤廃により、中学受験や高校受験に向けての備えとしても使えるようになります。入学時よりも受験シーズンの方が、塾代や受験料などで大きなお金がかかりやすいので、そのタイミングで引き出せるようになったのもいいことです。もちろん『ジュニアNISA』は投資なので、リスクもあります。預貯金や学資保険などの安全資産も併用して、備えていくことが大事です」
子どもがいれば非課税での運用ができる魅力的な制度「ジュニアNISA」。口座開設及び新規の投資は2023年まで。子育て中のパパやママは、活用を検討してみてはいかがだろうか。
(有竹亮介/verb)
関連リンク
山中伸枝
心とお財布を幸せにする専門家、ファイナンシャルプランナー(CFP(R))。米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。「楽しい・分かりやすい・やる気になる」講演、ライフプラン相談、執筆など多数。