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投資信託の選び方

投資信託選びにはシャープレシオと標準偏差を使いこなそう

提供元:auカブコム証券

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本日は、投資信託(ファンド)選びにおいて参考となるシャープレシオと標準偏差(=リスク)についてお話します。

シャープレシオとは

まず、シャープレシオとは、ファンドの平均リターンから無リスク資産のリターンを差し引き、ファンドのリスクを示す標準偏差で割って、求められる数値です。

シャープレシオの算出方法は以下となります。

無リスク資産は短期金利を指しますので、いまはゼロ金利のためこのリターンはほぼゼロです。そのため簡易式として、リターン÷リスク(標準偏差)で、シャープレシオを求めるケースもあります。

標準偏差とは、データのばらつき度合いを示した統計値で、価格の振れ幅(リスク)を数値化したものです。具体的にはリターン5%、標準偏差10%であれば、リターンが68%の確率で、▲5%から+15%の範囲に入ることを示します。

下図は、リターン20%、標準偏差5%のAファンド、同じリターン20%で標準偏差20%のBファンドを示しています。

Aファンドの方が価格の振れ幅が小さく、運用効率に優れたファンドといえます。運用効率を高めるには、標準偏差を抑えることが重要です。

簡易式では、Aファンドのシャープレシオは4、Bファンドのシャープレシオは1となります。なお、これはわかりやすく解説するための極端な例であり、シャープレシオ4というファンドは長期では存在しません。

シャープレシオと標準偏差を比較

今日は株式や債券などの複数の資産に投資しているバランスファンドを例に、シャープレシオと標準偏差を比較します。

「投資のソムリエ」と「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」(以下、eMAXIS)を比較しました。ともに人気のあるバランスファンドですが、3年リターンで見ると、投資のソムリエが年率+3.41%、eMAXISは年率+3.71%となっており、リターンではeMAXISが優秀です。

しかし、3年標準偏差では投資のソムリエが2.61%に対し、eMAXISは11.94%となっており、価格の振れ幅は4倍以上違います。そのため、3年シャープレシオでは1.30と0.37となり、リターンは低いものの運用効率では投資のソムリエが圧倒しています。

投資のソムリエは年率4%の価格変動リスクを目指すというファンドで、守りに強いバランスファンドといえます。一方、eMAXIS は、株式とリートの組入比率合計が6割超となっており、新興国資産の比率も高く、相対的にリスクの高いバランスファンドといえます。

バランス運用で値上がりを期待したいならeMAXISを、守りのバランス運用を目指したいなら投資のソムリエを選ぶと良いといえます。

投資のソムリエ

ファンド情報:https://fundinfo.kabu.co.jp/fund-details-snapshot?fundCode=4731312A

eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)

ファンド情報:https://fundinfo.kabu.co.jp/fund-details-snapshot?fundCode=03312175

(出所)auカブコム証券(データは2021年1月末基準)

シャープレシオの注意点

シャープレシオを活用する上での注意点として、1点目は、異なるカテゴリーのファンドで数値を比較してもあまり意味がないので、同じカテゴリーのファンドで比較すると良いといえます。

2点目は、できるだけ3年以上の長期で見るべきといえます。

3点目は、シャープレシオの計算ではQUICKやモーニングスターなどの評価会社によって計算方法が異なる場合があります。モーニングスターのシャープレシオの計算においては、運用レポートなどで表示されているリターンである累積リターンを採用する一方で、QUICKでは平均リターンを採用しています。平均リターンとは、例えば週次リターンや月次リターンの平均値を示したものです。つまり、シャープレシオの計算のもととなるリターンの数値が異なっています。

auカブコム証券の投資信託ページにあるファンド一覧から、個別のファンドをクリックすると、ファンドの詳細ページで1年・3年・5年・10年のシャープレシオと標準偏差が確認できます。auカブコム証券ではQUICKのデータを採用しているので、表示されているリターンは累積リターンで、シャープレシオの計算には平均リターンが使われています。

シャープレシオや標準偏差は、リターンと同様にあくまでも過去の実績であり、将来を予想するものではありません。しかし、ファンドの特色による値動きの傾向がつかめるので、特に変動の大きいマーケットが予想される時は、シャープレシオとその計算のもとになっている標準偏差を活用することは非常に有効といえます。

ファンドの運用が上手くいっているのかどうかを確認するために、定期的にこれらの数値をチェックするのも良いでしょう。

投資環境が目まぐるしく変化していく2021年は、リターンだけを見るのでなく、シャープレシオや標準偏差も活用して投資信託(ファンド)を選んでみてはいかがでしょうか。

 

(auカブコム証券 ファンドアナリスト 川上雅人)

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