投資信託のトレンドが分かる!
2021年2月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2021年2月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「外国株式への資金流入額が更に増加」
2月の資金流出入動向は流入超が継続した。流入額は約4,200億円と前月とほぼ同水準となった。
資金流入では、外国株式への流入額が増加し、3ヵ月連続で5,000億円を超えた。また、国内債券についても、金額は僅かながら7カ月連続の流入超となった。
資金流出では、前月に3ヵ月ぶりに流入超となった不動産投信が、再び流出超に転じた。また、国内株式、複合資産および国内債券を除くすべての債券カテゴリーにおいても流出超が継続した。
個別ファンドでは、「デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド」(日興)(約508億円)が資金流入で1位となった。約700万円の僅差で「グローバル・プロスペクティブ・ファンド」(日興)が(約508億円)が2位となった。次いで3位には「MFS米国中型成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」(三井住友DS)(約476億円)がランクインした。
(図表1)主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
2.投信市場のパフォーマンス動向
「エマージング株式の好調が目立つ」
2月の金融市場は、株式市場が上昇した一方で、債券市場は下落した。月末には米国を始めとする各国の長期金利が急上昇し、株式市場はリスクオフムードが一時高まったものの、月間では上昇基調を維持した。
株式市場は全体的に上昇した。堅調な企業業績や米国の追加経済対策への期待感、新型コロナワクチン接種の進展などから月初から上昇基調となり、NYダウは一時、史上最高値を更新した。その後、月末にかけては米国を始め各国の長期金利が急騰したことで、株式市場の過熱感も意識され上昇幅を縮小した。
債券市場は全体的に下落(金利は上昇)した。米国では、新型コロナワクチン接種の進展や追加経済対策による国内需要の回復に伴い、インフレ期待が高まり金利が上昇した。国内金利やドイツ金利は、米国金利上昇の影響を受け上昇した。
為替相場は、米ドル・円、ユーロ・円ともに円安となった。米ドル・円は、米長期金利上昇の影響から円安米ドル高となった。ユーロ・円は、新型コロナワクチン接種の進展や、ユーロ域内加盟国の政局不安が後退したことから、円安ユーロ高となった。
これらを背景に、当月のリターンは、国内債券を除くすべてのカテゴリーでプラスとなった。中でも不動産投信は、コロナ後の社会への期待感からホテル関連銘柄が上昇をけん引し、2020年1月以来約1年ぶりにリターン首位となった。一方、国内債券のリターンはマイナスとなった。日銀の金融政策決定会合でイールドカーブコントロールにおける長期金利の許容変動幅が拡大されるとの思惑から、国内長期金利が上昇し債券価格は下落した。
個別ファンドの1ヵ月リターンでは、インドやベトナムなどアジア地域のエマージング株式ファンドの上昇が目立った。
(図表2)パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「新規設定本数は減少も設定額は増加」
当月の新規設定は11本と前月(22本)からは半減したが、設定額は約750億円と前月(約450億円)から増加した。前月に引き続き当月も「外国株式型」が設定額の8割弱を占めた。
当月の設定額首位は「MFS米国中型成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」(三井住友DS)、次いで「テトラ・ネクスト」(三井住友DS)となった。後者はNASDAQ100先物を主要投資対象とし、トレンド戦略によりロング・ショートを切り替えるファンドであり、同社の「テトラ・エクイティ」と同様の運用プロセスを採用している。
(図表3)新規設定金額、設定本数の推移
最後に、2月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
(図表4)資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)