半数が転居を希望、ただし実現できているのは…
完全テレワークが実現したら引っ越す派○割超
働き方改革の推進と新型コロナウイルスの影響により、会社員にとってテレワークは日常的な働き方の1つとなりつつある。もしも完全テレワークが実現すれば職場の近くに住み続ける必要はなくなるが、その場合、会社員は引っ越したいと考えるものなのだろうか。新型コロナウイルスの感染拡大防止のための1回目の緊急事態宣言が明けて少し落ち着いたタイミングで、全国の20〜40代の会社員378人を対象に調査した。
Q. あなたの仕事が完全にテレワーク化され、通勤の必要がなくなったら引っ越しを考えますか?
すぐにでも引っ越したい 10.1%
良い転居先があれば引っ越したい 36.5%
引っ越したいとは思わない 48.4%
既に完全にテレワーク化されている 5.0%
「すぐにでも引っ越したい」と「良い転居先があれば引っ越したい」を合わせると46.6%となり、「引っ越したいとは思わない」の48.4%と拮抗する結果となった。
男女別では、引っ越したい会社員は男性46.1%、女性47.0%でほぼ変わらなかった。世代別では20代61.6%、30代51.2%、40代38.0%となり、40代になると引っ越したいと考える人は大幅に減っている。また子どもがない会社員の48.7%が引っ越しを希望した一方で、子どもがいる会社員では43.5%にとどまった。結婚して子どももできてしまうと、自分の都合だけで動けないという事情があるのだろうと察する。
既に完全テレワーク化が実現していると回答した会社員は5.0%にとどまった。男女別では、完全テレワークが実現している会社員は男性がわずか2.2%であったのに対し女性は7.6%と3倍以上の開きがあった。
世代別では、20代1.5%、30代11.8%、40代1.6%と30代が突出して多かった。なかでも30代女性の16.7%が実現済みとなり、テレワークの普及で先行していることがわかる。
引っ越したいと考えている会社員の比率には男女差がほぼなかったので、男性会社員は完全テレワークが実現すれば引っ越したいと考えていても、なかなか実現できそうにないという状況にあるようだ。
Q. どのような場所へ転居したいですか?一番優先したいものを選んでください。
居住費や物価の安いところ 22.2%
現在よりも広い住居 23.9%
生活に便利なところ 29.0%
環境の良いところ 13.6%
趣味などに便利なところ 4.5%
親族や知人から近いところや故郷 4.0%
住んでみたかった海外 1.1%
あてはまるものはない 1.7%
「すぐにでも引っ越したい」もしくは「良い転居先があれば引っ越したい」と回答した会社員に転居先の選択基準を訊ねたところ、最多は「生活に便利なところ」の29.0%であった。2位の「現在よりも広い住居」23.9%と3位の「居住費や物価の安いところ」22.2%までを合わせると75.1%を占めた。会社員の転居先の選択としては日常の生活のしやすさが最優先されるようだ。
子どもがいる会社員に限定すると、「居住費や物価の安いところ」が16.4%に減る一方で、「環境の良いところ」が17.9%と多くなった。子どもがいると、子どものための環境の方がより大切になってくるのだろう。
「親族や知人から近いところや故郷」はわずか4.0%であり、人間関係は会社員の転居の理由にはあまりならないようだ。2020年は帰省したり友人と会ったりできなかった人も多いと思うが、それを機にオンラインで簡単に連絡を取り合えることがわかったのも大きいのかもしれない。ただし、男女別では「親族や知人から近いところや故郷」を選んだのは男性1.2%に対し女性は6.5%にのぼった。
まとめると、会社員のほぼ半数は完全テレワークが実現した場合に転居を希望していたが、完全テレワークが実現している人はかなり少数であり、実際に引っ越しできるのはまだしばらく先になりそうな結果であった。今後テレワークの浸透が進むものと思われ、望めばテレワークが実現していくことが期待される。その時に理想の住まいを実現できるよう備えておくのが良さそうだ。
〈あわせて読みたい!〉
会社員は都会と地方のどちらで暮らしたい?
withコロナ時代に広がりつつある「ジョブ型雇用」の利点
(三田祐介)
「あなたご自身に関するアンケート」
調査方法:インターネットによる調査
調査時期:2020年7月
調査対象:全国20〜40代の会社員
有効回答数:378件