東証ETFのキーパーソンに聞く

UBS・稲氏「日本でも、ヨーロッパのように『ESG投資』の大きな波が来る」

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日本で事業をスタートさせてから50年を超える外資系金融機関・UBS。2015年3月に「UBS ETF」を東京証券取引所に上場させ、日本の市場でもその存在感を示している。

前編では、UBS証券 運用ソリューション本部ETF & インデックスファンド営業部長の稲 寛彰さんに「UBS ETF」の特徴と日本での展開のきっかけを伺った。後編では、ヨーロッパでのETF活用について、教えてもらう。

ヨーロッパの市場を牽引する「ESG ETF」


――ヨーロッパのETF市場は、どのような状況でしょうか?

「市場規模でいうと、2021年1月末時点で140兆円程度なので、日本の2倍以上でしょうか。ETFの活用は非常に進んでいるといえます。投資家の大半は機関投資家ではありますが、昨年ヨーロッパでも米国のロビンフッド現象に似たものが起こり、特にドイツ、イタリア、イギリスでは個人投資家の積極的なETFの活用が進んだように感じます。

UBS ETFは、ヨーロッパの5つの証券取引所(スイス、ドイツ、イタリア、イギリス、アムステルダム)に上場しているのですが、ETF事業の顧客層は顕著に拡大してきています」

――拡大傾向にあるんですね。ヨーロッパにおいて、特に注目されている銘柄はありますか?

「市場の拡大を牽引しているのは、ESGの観点で組成されたETFですね。特に2020年のコロナショック以降、「S&P500」や「ユーロ・ストックス50」といったコアとなる指数に連動するETFのエクスポージャーを落とし、ESG ETFにシフトするという流れが出てきています。2021年2月末においても、この流れは続いています」

――UBSでも、ESGのETFは展開されているのですか?

「はい。2011年に、ヨーロッパでUBS ETFとして最初のESG ETFを上場しました。もともとUBSグループでは、早い段階からESGに関する取り組みを開始していましたし、ヨーロッパという土壌をメインにビジネスを展開する立場として、投資家のニーズに沿う商品を提供しなければという思いもあったのだと感じています」

“ESG”との親和性が高いETF


――ヨーロッパでは、ESG ETFを上場する時点で、既にESGに対する関心が高かったということですか?

「そうですね。2000年頃からヨーロッパ各国で年金法の改正が進み、年金受託者が投資銘柄を選ぶ際にESGを考慮したかを公開しなければならなくなったり、上場企業にESG情報の開示が求められたりと、制度的な部分でESGが拡大していった背景があります。

その流れを受けて、機関投資家及び個人投資家の間でもESGのニーズは高まるだろうと考え、ESG ETFを提供しました。2015年には債券のESG ETFも上場し、今日まで推進している状況です」

――素朴な疑問なのですが、なぜESG投資を推進するソリューションが、ETFという形で提供されたのでしょう?

「UBSでは、ESGとETFは非常に親和性が高いと考えています。そもそもESG投資という観点は、2006年に提唱された『国連責任投資原則(UNPRI)』によるものですが、いまだ明確なガイダンスはないといえます。近年、ようやくヨーロッパで『EU気候移行ベンチマーク(EU CTB)』『EUパリ協定整合ベンチマーク(EU PAB)』という指標が設定され、規則が強化され始めた段階です。

その点、ETFという商品は指数に連動するという特徴があるので、ESGの基準さえ設定すれば、それに沿ったパッシブ運用が望めます。また、ベンチマークに沿って運用するものなため、コアな指数のETFとESG指数のETFでパフォーマンスを比較しやすいという特徴もあるのです。構成銘柄も明確ですから、クリアな形でESGを理解しながら投資していただける商品だといえます」

ESG×ETFが日本のマーケットに与える影響


――UBSのESG ETFは、東証にはまだ上場されていませんよね。

「そうですね。ESG ETFはUBS ETFの強みの1つなので、日本のマーケットでも提供できるように、タイミングを注視しているところです」

――日本では、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が2017年にESG投資に動き出したことで、徐々に認知が広がってきているところだと思いますが、現状をどのように捉えていますか?

「今は、機関投資家がESG投資に動き出した段階だと捉えています。株式投資においてはESG投資をすることで経済的リターンが取れるというデータが積み上がってきたこともあり、これから日本のマーケットでもESG投資に対する関心は加速度的に高まると考えられます。

こうした流れを受けて、個人投資家の間でも近年、ESG投資やESG ETFへの注目度が高まりつつあります。日本のマーケットでは、伸びしろが大きいので、我々も国内での体制を整え、いずれESG ETFをソリューションの1つとして提供することも検討したいと思います」

――ESG投資に限らず、日本のETF市場は今後どうなっていくと想像していますか?

「日本のETF市場はホームカントリーバイアスが強い印象があり、これまでは日本株やREITのETFがほとんどでした。近年の日本株のパフォーマンスは比較的良好なので、国内に絞ったETFでも資産形成の役に立つとは思うのですが、コロナショックのようにいつ、どのような危機が起こり、資産運用に悪影響が及ぶかわからないので、これからは国際分散投資の重要性がますます高まると考えています。

昨年以降、外国の株や債券のETFの新規上場が増加していて、国際分散投資がしやすい環境が整いつつあります。我々の商品も、そうした選択肢の一つとして投資家に選ばれるよう努めながら、今後も世の中のニーズに応えられるような適切なソリューションを提供していきたいと考えています」

資産運用の可能性を広げるべく、ヨーロッパの指数やESGなど、さまざまな選択肢を提供しているUBS。国際分散投資を実現するツールの1つとして、UBS ETFが見逃せないアイテムであることは間違いない。
(有竹亮介/verb)

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