2022年以降「5年間」の制度延長が決定!

コロナ禍にこそ知っておきたい「セルフメディケーション税制」

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2020年から続くコロナ禍では、風邪をひいたり花粉症の症状が出たりしても、病院に行くことを避け、市販薬で乗り切ったという人は多いだろう。年間の市販薬の購入額が多ければ、所得控除を受けられる制度があることを知っているだろうか。2017年にスタートしたセルフメディケーション税制だ。

もともと2021年までの期限が設けられた制度だったが、5年間の延長が検討されており、内容も見直される予定。そこで、今こそ知っておきたいセルフメディケーション税制について、ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんに教えてもらった。

市販薬の購入費が1万2000円を超えたら申告

「セルフメディケーション税制とは、本人やともに生活する家族の1年間に購入した市販薬の合計額が1万2000円を超える場合に、超えた分の金額がその年の総所得金額等から控除される制度です。ただし、すべての市販薬が対象になるわけではなく、スイッチOTC医薬品と呼ばれるものが対象になります」(氏家さん・以下同)

スイッチOTC医薬品とは、もともと医療用医薬品に用いられていた成分が転換された医薬品で、薬局などで処方箋なしでも購入できるもののこと。かぜ薬や胃腸薬、鼻炎用内服薬、肩こり・腰痛・関節痛の貼付薬など、種類は幅広く、対象品目は厚生労働省のウェブサイトで確認できる。

セルフメディケーション税制共通識別マーク

また、多くのスイッチOTC医薬品は、パッケージにセルフメディケーション税制の共通識別マークが記されている。
「薬局でスイッチOTC医薬品を購入すると、レシートの商品名の部分に『★』などのマークがつき、『★印はセルフメディケーション税制対象商品です』と記載されます。セルフメディケーション税制は確定申告をすることで控除を受けられる制度で、確定申告にはそのレシートが必要になるので、保管しておきましょう」

セルフメディケーション税制を利用する際には、注意点がある。医療費控除との併用ができないという点だ。

「本人やともに生活する家族が支払った年間の医療費が一定額を超えた際に所得控除を受けられる医療費控除を申告する場合、セルフメディケーション税制は申告できません。スイッチOTC医薬品の購入費は医療費控除の対象にもなるので、病院で支払った金額が大きい場合は医療費控除を優先した方がいいでしょう」

年間の医療費が少なく、スイッチOTC医薬品の購入費がかさんだ年は、セルフメディケーション税制の利用を考えよう。

制度対象となる医薬品が見直される予定

2021年2月から3月にかけて有識者会議が行われ、セルフメディケーション税制の期間延長が検討されている。

「延長が決定すれば、2026年まで制度が使えるようになります。また、延長とあわせて、対象となるスイッチOTC医薬品の見直しも行われるようです。スイッチOTC医薬品を一律で対象にするのではなく、より効果的な医薬品を抜粋して対象とすることになるようです」

厚生労働省では、下記の観点で医薬品の見直しを行うと発表されている。

●スイッチOTC医薬品から、効果の薄いものを対象外とする
●とりわけ効果があると考えられる薬効(3薬効程度)について、スイッチOTC成分以外の成分にも対象を拡大

「今回の見直しが決定したら、2022年以降に反映されることになります。2021年は、これまで通りの制度のまま。いますぐ対象医薬品をチェックし直す必要はありませんが、変わる可能性があることは知っておいた方がいいでしょう」

制度改定によって確定申告がより簡単になる可能性も

申告方法についても見直しが検討されており、従来よりも手軽になる可能性が高いという。

「セルフメディケーション税制を利用する条件には、スイッチOTC医薬品を購入するだけでなく、健康診断や予防接種など『健康の維持増進及び疾病の予防への取組』を行っていることを証明する必要があります。そのため、書類で確定申告を行う際には、年内に行った健康診断や予防接種に関する書類の添付が必要でした。しかし、見直し案では『取り組みに関する書類の確定申告書への添付は不要とする』と書かれています」

つまり、見直し案がそのまま採用されれば、取り組みに関する事項を記載する必要はあるものの、健康診断や予防接種の書類の添付が必要なくなる。対象となる医薬品の購入を示すレシートさえ添付すれば、申告できるようになるのだ。

「念のため、健康診断や予防接種に関する書類は手元に保管しておく必要がありますが、添付不要となるとハードルが下がりますよね。それなりの頻度で市販薬を購入していたら、減税につながる可能性があるので、まずはレシートをチェックしてセルフメディケーション税制対象の薬か確認してみましょう」

セルフメディケーション税制対象の薬を買っていたらレシートを保管し、2021年が終わる頃に、合計額が1万2000円を超えているか計算してみよう。
(有竹亮介/verb)

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