『東証公式ガイド 精選例題でわかる株式取引ルール』発刊記念 特別企画(後編)
東証公式ガイド「株式取引ルール」の活用法とは?
東証は、2021年4月に『東証公式ガイド 精選例題でわかる株式取引ルール』を発刊し、証券・金融業界で早くも話題となっている。なぜいま東証が取引ルールの解説書を出すことになったのか、またこの書籍をどのように読み進めていったらよいのか、東証マネ部!編集部が執筆担当者にインタビューを実施した。
後編では、この本の読み方や活用法などについて聞いてみた。
――この本は、どのような読者を対象にしているのでしょうか?
当初は、証券会社にお勤めの方や、証券会社のシステム開発に携わっている方に向けて、取引所の取引ルールに対してより理解を深めてもらえればいいなと思って出版を決めました。既に読んでいただいた方は感じておられるかもしれないですが、この本の内容には専門的な内容も多く含まれていますし、普段、「板」を見ることに慣れていない方は、少しとっつきにくいところもあるかもしれません。数学の問題集のようなスタイルなので(笑)。
ただ、専門用語はできる限り使わないように工夫しましたので、そういった意味では、東証で売買をする個人投資家の方も含めて全員が対象と言えると思います。
――なるほど。とはいえ、この本は160ページ近くあってそれなりに読むのが大変そうです。どう読み進めていったらいいのでしょうか?
読者の方の属性によって読み方が変わってくると思います。
それぞれの例題に、1から5までの難易度を設定しているのですが、一般の投資家の方は、難易度が1と2の例題から読んでいただき、3以上の例題はとりあえず飛ばしてしまうのがいいと思います。ある程度全体像が掴めたなと思ったら、難易度3も読んでみてください。難易度4や5に関しては、実際の取引でもお目にかかることがあるかないかのレアケースですので、気になったときに参照していただくことで問題ないと思います。
個人投資家の中でも、自らアルゴリズムを作成し、デイトレードをされている方であれば、難易度3以上の例題内容も参考になることがあるのではないかと思いますので、ぜひ3以上も読んでみてください。
証券会社や証券会社のシステム開発に携わっている方には、一通り読んでいただきたいなと思っています。これまでも、東証の規則・ルールをご覧いただいているとは思うのですが、具体的にイメージできていなかったものも多かったのではないでしょうか。この本には「板」のイメージ図を多く盛り込んだので、今までより理解しやすくなっているのではないかと期待しています。
――読み飛ばしてしまったものは、読まなくてもいいのですか?
もちろん、お時間の許す限りすべて読んでいただけると、筆者としてはありがたいです。ただ、かなり特殊な条件でしか起こらないようなことも書いているので、辞書的に使っていただく方が使いやすいのではと思います。例えば、この価格で約定しなかったけどなぜだろうとか、いきなり連続約定気配が出たけどなぜだろうとか、そういう疑問が浮かんだときに、該当しそうなところを読んでいただくような感じです。
また、末尾には「更新値幅」「制限値幅」「呼値」の一覧表や「基本用語集」を付けているので、株式取引の“お供”として気になることが出てきたら、すぐに情報を見られるようにしています。
――たしかに、難易度5の例題は、正直あまり理解できませんでした(笑)。やっぱり株式投資って難しいのかなと思ってしまう人も多いと思うのですが、これを読んで理解しないと投資はできないのでしょうか。
決して、そんなことはないと思います。先ほどもお話ししたとおり、この本にはレアケースも多く含まれているので、すべてを理解していないと注文ができないということはありません。実際のマーケットで起こっていることは、難易度1や2の例題の内容で説明できることが大半です。
逆に言えば、東証市場に発注していただいた注文は、必ずこの本に記載されているとおりに処理されるわけでして、不透明さは一切ありません。ぜひ安心して、発注していただければと思います。
――本日は、ありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。このインタビュー記事を読んでくださった皆さまには、機会があればこの本をお手に取っていただき、ぜひ感想やコメントをいただけると嬉しく思います。
(東証マネ部!編集部)