「シンプルでわかりやすい」「少額投資できる」「手数料が安い」

拡大中の「スマホ証券」が投資初心者にマッチする理由

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いまやインターネット上で金融商品の取引を行うことは、当たり前になってきているが、近年はスマホ1台で口座開設から金融商品の売買まで行うことができる「スマホ証券」が増加傾向にある。

どうやら「スマホ証券」は、従来のネット証券と比べるとシンプルでわかりやすく、手数料が安く設定されているものが多いため、特に投資初心者に向いているサービスなのだとか。マネーコンサルタントの頼藤太希さんに、「スマホ証券」の特徴と選び方を教えてもらった。

「スマホ証券」5つの特徴

スマホ証券は取引がスマホで完結するだけで、ネット証券と変わらないのでは?…と思ってしまうが、頼藤さん曰く、「ネット証券とは異なる特徴がある」とのこと。

特徴1:スマホフレンドリーなアプリ
「ネット証券や店舗型の証券会社もスマホアプリを提供していますが、チャート分析など多様な情報が取れる分、複雑なつくりになっています。その点、スマホ証券はスマホでの操作を前提としているため、アプリのデザインや構造がシンプル。取引画面がわかりやすいものも多く、例えば、PayPay証券は3タップで株式を売買できます。LINE証券は、LINEアプリのウォレットのページからアクセスできて便利です」(頼藤さん・以下同)

特徴2:少額から投資できる
「一般的に個別株の売買単位(単元株)は100株なので、例えば1株1万円の株式を買おうとすると、100万円が必要。しかし、スマホ証券では1株単位または1000円といった少額から購入できるようになっている場合が多いです。投資が初めてでも、1万円くらいなら始めてみようかなと思えますよね」

特徴3:手数料が低く抑えられている
「ほとんどのスマホ証券で、取引の際の手数料が一般の証券会社と比べて安価である場合が多いです。例えば、SBIネオモバイル証券は月額220円で、約定代金50万円まで株の売買手数料がかかりません。さらに、最初の1年間は毎月200円分のTポイントが付与されるので、実質ほぼ無料といえます。大和証券が提供するスマホ証券のCONNECTでは、月10回まで取引手数料が無料になるクーポンが毎月付与されます」

特徴4:ポイントで投資できる
「あらかじめ証券口座は必要になりますが、買い物などで貯めたポイントを、投資に充てられるサービスもあります。SBIネオモバイル証券はTポイント、LINE証券はLINEポイント、CONNECTはPontaポイントが対象になります」

特徴5:商品が絞られている
「取り扱う金融商品は各社で異なりますが、あらかじめ商品を絞っているところがほとんど。PayPay証券は、日本株と米国株合わせて約300銘柄に絞られています。LINE証券は国内上場株式のほとんどをカバーしていますが、1株から買える銘柄は1000銘柄程度で、投資信託は30銘柄程度。CONNECTは、1株から買える銘柄が300銘柄くらい。最初から選択肢が絞られていると選びやすくなるので、初心者にとってはメリットといえます」

スマホ証券の特徴から考えると、主に投資初心者をターゲットにしたサービスといえそうだ。また、投資に慣れていない人でも、継続的に興味を持てるように工夫されているそう。

「CONNECTのアプリは、ログインスタンプを集めることでガチャが引けるようになっていて、もっともいい賞を出すと200~1000円程度の銘柄1株分のポイントが付与されます。PayPay証券のアプリでは、投資の基礎知識や優良企業の成り立ちなどを解説した漫画が読めるので、すき間時間に情報をインプットできるでしょう」

「取り扱い銘柄」「手数料」「最低購入金額」で比較

スマホ証券の特徴はつかめたものの、サービスによって取り扱う金融商品や取引手数料、ポイント投資の可否などは異なる。自分に合うサービスは、どのような視点で選ぶといいだろうか。

「投資したい会社や自分の投資スタイル、拠出できる金額などを整理して、それにマッチするサービスを選びましょう。具体的には、次の4つのポイントを意識するといいと思います」

スマホ証券選びのポイント
(1)投資したい会社・商品に投資できるか
(2)取引手数料に納得できるか
(3)金融商品の最低購入金額はいくらか
(4)買い物で貯めたポイントを利用できるか

「もし、投資信託を利用したいのであれば、投資信託を扱うLINE証券を選ぶことになるでしょうし、ひと月の取引回数が10回以下ならば、月10回まで取引手数料無料のCONNECTがいいかもしれません。最低1000円以上の積立投資で考えている場合は、1000円から投資できるPayPay証券もあり。普段Tポイントを貯めている方は、SBIネオモバイル証券がいいでしょう。それぞれのサービスの特徴を捉えることも大切です」

これまで紹介した特徴とは異なる、投資中上級者向けのスマホ証券もあるようだ。

「ネット証券のスマートプラスが手がけるSTREAMは、中上級者にマッチするサービス。取引手数料は原則無料で、東証上場の個別銘柄やETFのすべてに投資できますが、ほかのスマホ証券と違い、単元株での取引しかできません。ある程度投資の経験があり、大きな資本を用意できる人に向いているサービスといえます」

“投資家のコミュニティ”にもなり得る「スマホ証券」

LINE証券は、2019年8月の開業から1年半で50万口座を突破。SBIネオモバイル証券も、1年9カ月で50万口座を突破している。2020年12月時点で15.2万口座を突破したPayPay証券が続く形で、着実にユーザー数を増やしているスマホ証券。

「さらにスマホ証券の認知がひろがり、20代、30代の投資家が増えていけば、日本における個人投資家の影響力が増すことでしょう。個人投資家の力が強まると、世の中の“消費者=株主”という意識が強まり、企業の成長につながりやすくなるといえます。また、企業が成長すれば給料が上がり、消費が拡大し、さらなる投資も増えるという正のスパイラルにつながることが期待できるのです」

「個人投資家を育て、影響力を増していくには、投資家のコミュニティの醸成が必要」と、頼藤さんは話す。

「投資家同士や投資家と企業のコミュニケーションの場が醸成されることで、情報が共有され、投資が活発化していくと考えられます。すでにSTREAMでは、ユーザー同士が交流するコミュニティが設けられています。投資を身近にするスマホ証券がコミュニケーションの場となれば、日本のマーケットはさらに活性化していくでしょう」

STREAM以外にも、マネックス証券が提供するferci(フェルシー)は、銘柄ごとのクチコミの投稿やお気に入りのユーザーのフォローが可能で、いわば“投資のSNS”といえるようなサービスになっている。

投資初心者にとって、投資のきっかけになるスマホ証券。さらなるサービスの充実を期待しつつ、さっそくアプリをダウンロードしてみよう。
(有竹亮介/verb)

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