投資信託のトレンドが分かる!
2021年4月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
- TAGS.
投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2021年4月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「外国株式へ巨額の流入が続く」
4月の資金流出入動向は5ヵ月連続の流入超となった。流入額は約5,410億円と前月の水準は下回ったものの、高水準の流入が継続している。
資金流入では、外国株式の流入額が約7,210億円と前月並みの水準となっており、全体の流入額をけん引している。一方、国内株式や国内債券についても流入超が継続したものの、流入額は前月比で大きく落ち込んだ。
資金流出では、前月に6ヵ月ぶりの流入超となった複合資産が、再度流出に転じた。また、国内債券を除く各債券カテゴリー(外国債券、エマージング債券、ハイイールド債券)やエマージング株式、不動産投信が継続して流出超となった。なお、不動産投信の中でも国内リートについては、前月まで流入超が継続していたが、当月は1年2ヵ月ぶりに流出超に転じた。
個別ファンドでは、当月設定の「グローバル・エクスポネンシャル・イノベーション・ファンド」(日興)(約2,924億円)が資金流入で1位となった。2位は「イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンド」(三井住友DS)(約531億円)、次いで3位は「アライアンスB・米国成長株投信D」(アライアンス)(約408億円)となった。
(図表1)主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
2.投信市場のパフォーマンス動向
「不動産投信が好調」
4月の金融市場は、各国の経済正常化に向けた動きや金融・財政政策の動向、個別企業の決算発表等を睨み、方向感を探る展開となった。
株式市場は米国および欧州では上昇基調が継続した。米国では、新型コロナワクチンの接種ペースが加速していることが好感され、NYダウやS&P500は一時最高値を更新した。月後半には、富裕層に対する株式等の売却益へ大幅な増税が検討されていることが伝わり、上値は重くなったものの、月間で上昇基調を維持した。一方、国内株式はワクチン普及の遅れや緊急事態宣言の発令もあり、先行き不透明感から下落した。
債券市場は米国や国内で上昇(金利は低下)、欧州では下落(金利は上昇)した。米国では、バイデン大統領が法人や富裕層への増税に意欲を示したほか、FRB(米連邦準備理事会)が金融緩和的な姿勢を崩さなかったことが金利低下圧力に繋がった。一方で欧州では、製造業を中心に景況感が改善していることや、EUのワクチン調達見通しが前倒しとなったことから金利は上昇した。
為替相場は、米ドル・円は円高、ユーロ・円は円安となった。米ドル・円は、日米金利差の縮小(米金利の低下)を受け、一時107円台まで下落した。月末には米経済の回復期待を背景に109円台前半まで反発したが、月間では円高米ドル安となった。ユーロ・円は、経済活動の正常化期待から月後半にかけて上昇し、月末には一時2年半ぶりの円安ユーロ高水準となった。
これらを背景に、当月のリターンは、国内株式を除くすべてのカテゴリーがプラスとなった。カテゴリー別では、外国株式がリターン首位、国内株式がリターン最下位となり、同じ株式資産の間で明暗が分かれた。外国株式が米国を中心に新型コロナワクチンの普及が加速し経済正常化への期待が高まっていることが好感された一方、国内株式はワクチン普及の遅れや緊急事態宣言の発令などが警戒された。
(図表2)パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「新規設定本数は微減ながら設定額は3倍に増加」
当月の新規設定は25本と前月(27本)から微減したが、設定額は約3,200億円と前月(約1,000億円)からほぼ3倍に増加した。
当月の設定額首位は「グローバル・エクスポネンシャル・イノベーション・ファンド」(日興)で、設定額は直近6ヵ月の新規設定ファンドで最大(約2,860億円)である。当ファンドは、米アーク社からの助言をもとに、破壊的イノベーションをコンセプトとした投資戦略策定・リサーチ、社会課題解決への寄与という観点を加味した銘柄選択を行う追加型ファンドである。
(図表3)新規設定金額、設定本数の推移
最後に、4月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
(図表4)資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)