2つのファンドは募集開始1分足らずで締切

メルカリの売上金を資産運用に。メルペイが行った「Funds」での取り組み

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メルカリのスマホ決済機能を担う「メルペイ」。このメルペイから資産運用にチャレンジできる取り組みが行われている。

それが、これまでに2度実施された「メルペイ×Funds」の企画だ。Fundsとは、個人が企業に資金を貸し出す形で、1円単位から投資ができる資産運用サービス。さまざまな企業がファンドを立ち上げ、ユーザーからの資金を募る。各ファンドでは、募集金額や予定運用期間、予定利回りなどを定めている。

メルカリでは、2020年12月と2021年2月にファンドを立ち上げた。そして、このファンドでは、顧客がメルペイ残高からファンドを申し込む形とした。つまり、不要品を売って得たメルカリの売上金を、そのままアプリを通してかんたんに「資産運用 」に使うことができる流れが作られたのである。

メルペイは、なぜ資産運用へとサービスの領域を広げたのか。また、他の決済アプリでは、資産運用の1歩目として、貯まったポイントで資産運用を疑似体験する「ポイント運用」のサービスを実装するケースが多い中、なぜ同社はFundsを選んだのか。これらの疑問について、メルペイ 経営企画の川島優子氏に聞いた。

メルカリの売上金は+αの収入だからこそ、資産運用に使いやすい

これまで2度にわたって行われたメルペイ×Fundsの取り組み。今回、資産運用という領域にまでサービスを拡張させた理由について、川島氏はこう答える。

「私たちには、いずれお金を“増やす”サービスを提供していきたいという想いがもともとありました。これまでに、メルカリで不要品を売り、そのお金を使ってメルペイで何かを買う、さらにまた買ったものをメルカリで売るという循環を作ることができました。その上で、お金を増やす体験もしていただこうと、Fundsを使った取り組みを実施しました」

このような経緯から、メルカリグループの事業資金を集める「メルカリ サステナビリティファンド」をFundsで立ち上げた。メルカリの事業は、不要品の売買によって、誰かにとっては価値がなくなったモノが、他の必要な誰かに届けられ、必要なものが適切に届きわたる循環型社会の構築につながる。その背景から「サステナビリティファンド」と名付けたという。

そして、このファンドはメルペイ残高からファンドを申込む形式とした。メルカリで不要品を売って貯めたお金を、そのままメルカリグループに投資できるのだ。

「メルカリのお客さまと資産運用の親和性は潜在的に高いと思っています。なぜなら、メルカリの売上金は不要品を売って得られる臨時収入です。給料は毎月の額面がほぼ決まっており、使い道も固定されやすいのですが、こちらは余剰資金であり、今までと違った使い方がしやすいでしょう。さらに、お客さまに調査を行うと『資産運用をやってみたい』という需要も確認できていました。これらの背景から、メルカリの売上金を資産運用に使える仕組みを築けば、きっと多くの方にチャレンジしていただけると考えました」

予定外の収入や幸運で得られたお金は、挑戦的な使い方をしやすい。「ハウスマネー効果」と呼ばれる行動経済学の理論だが、まさにメルカリの売上金は予定外の収入に近い。だからこそ、資産運用への活用がしやすいという見立てだった。

実際、ファンドを立ち上げて資金募集をスタートしたところ、その人気は凄まじかった。第1弾ファンド(募集総額1億円)は、開始からわずか41秒で募集金額に到達。第2弾(同2億円)も、1分以内で締め切ったという。申し込んだ人の中には、今回新たにメルペイに登録した人もいるだろうが、一方で、既存のメルカリの顧客がメルペイ経由で資産運用に初挑戦したケースも多いはずだ。

資産運用の1歩目のサービスは、減損リスクを極限まで抑えること


今回のように、資産運用の1歩目を支援するサービスとして最近多いのが、証券口座不要の「ポイント運用」だ。たとえば決済アプリで貯まったポイントを運用し、資産運用の疑似体験をする。メルペイでも同様のサービスを検討したが、今回は、社債に近いFundsのスキームを活用した。その理由について、川島氏はこう説明する。

「ポイント運用を選ばなかった理由として、資産運用の1歩目のサービスは、少しでも損する可能性を減らすことが重要だと考えたからです。たとえ偶然付与されたポイントでも、運用によって減るのは避けたい心理が日本人は強いと言えます。むしろ、減る可能性を感じた途端に足踏みする方も多い。であれば、たとえ期待できる利益は小さくても、損失リスクが低いサービスを1歩目として用意するべきだと思いました」

メルカリ サステナビリティファンドは、2つとも2021年中に10ヶ月間運用された後、投資家に資金と利益配当が分配される。もちろん、この間にメルカリグループの破綻などが起きれば元本割れのリスクがないとも言えないが、一般的にその可能性は低いと考えられる。また「株式投資のような日々の値動きや複雑さがなく、安心して資産運用できる」という初心者メリットもあるという。

メルカリアプリの中から、投資や資産運用の1歩目を提供する。今回はそのスタートと言えるだろう。さらに2021年4月、メルカリは暗号資産事業に取り組む新会社「メルコイン」の設立を発表した。今後、メルカリの売上金をビットコインで受け取ることなども可能になるかもしれないとのこと。川島氏は「メルカリにおける金融サービスの主軸として成長させていきたい」と話す。

メルカリを使い、不要用品の売買で得たお金が、今度は同じアプリ内で資産運用投資へと活用されていく。新しい金融、資産運用の仕組みを作るという、メルペイの掲げるプランは想像以上に大きい。
(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2021年6月現在の情報です

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