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2022年4月、新市場区分スタート!

市場区分再編に伴うTOPIX銘柄への影響

提供元:光世証券

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東京証券取引所は、現在の4つの市場区分(東証1部、東証2部、マザーズ、JASDAQ)を見直し、2022年4月4日に新しい3つの市場区分(プライム、スタンダード、グロース)へ移行することを決定しました。今回の市場区分見直しに至ったのは、「東証1部上場企業の数が増えすぎて、日本の最上位市場としての魅力が低下している」ことが主な原因とされています。

この市場区分再編に伴い、現在東京証券取引所が公表している指数も見直されることになりますが、気になるのが東証1部上場の全企業を算出対象としているTOPIX(東証株価指数)です。東証は市場区分再編後もTOPIXを継続するとしていますが、2025年1月までに段階的に見直していくと発表しています。

TOPIX見直しのロードマップとその概要は以下の通りです。

<ロードマップ>

※JPX「TOPIXの見直しの基本方針」より作成

<概要>
第1回判定:
基準日(2021年6月30日)時点の流通時価総額(注1)が100億円以上か否か確認。

第2回判定:
第1回判定で流通株式時価総額100億未満の銘柄の翌期の改善状況を確認、100億円未満のままの場合、「ウェイト低減銘柄」に指定され、2023年10月の再評価まで、四半期ごとにウェイト低減。

再評価:
「ウェイト低減銘柄」について、(1)第2回判定翌期の流通時価総額が100億以上か、(2)年間売買代金回転率(注2)0.2以上か、の2点について確認。
・(1)、(2)を満たす場合はウェイトを低減前に戻す
・(1)のみ満たす場合はウェイト低減を停止
・(1)を満たさない場合はウェイト低減継続

見直し実施:
ウェイト低減は10段階で実施され、停止されなければ最終的にウェイトはゼロとなり、TOPIXから除外

今回のTOPIX見直しでキーとなるのは、「流通時価総額が100億以上か」ということです。この条件を満たさないと、最終的にTOPIXから除外され、TOPIX連動型の投資信託・ETFの投資対象から除外されるため、株価にとってマイナスインパクトとなります。

そこで、TOPIX構成銘柄の流通時価総額を調べてみました。ただし、流通株式数は公表されていないため、TOPIX算出時の浮動株式数(注3)で代用しました。また、JPXは2016年10月から浮動株比率の公表を終了したため、別に公表している「構成銘柄別ウェイト一覧(5月末)」を使って浮動株時価総額を算出しました(月末時点のウェイトを翌月末に公表)。

浮動株時価総額(5月末)=  TOPIX時価総額(5月末)×  ウェイト

その結果、TOPIX構成銘柄数2,191のうち、浮動株時価総額が100億円未満の銘柄数は660、そのウェイト合計、すなわちTOPIXに対するシェアは0.85%となりました。シェアは高くないものの、全体の約30%の銘柄の浮動株時価総額が100億円未満となりました。また、これらの銘柄の年初から6月末までのパフォーマンスを調べた結果、TOPIXをアンダーパフォームした銘柄数は398銘柄となりました。

表. TOPIX見直しによる構成銘柄への影響

※銘柄のパフォーマンスはトムソン・ロイターの株価データから算出

流通株式を浮動株式で代用したことや、他のファンダメンタルなどを考慮していないため断定はできませんが、約60%の銘柄がTOPIXをアンダーパフォームしていることから、今回のTOPIX見直しが株価に影響した可能性がありそうです。今後行われる第2回判定、再評価に向けて、株価がどう動くのか要注目です。

(注1)流通時価総額:企業が発行する上場株式のうち、市場で日々売買されている株式(流通株式)の時価総額。JPXが公表している「流通株式の定義見直し」では、以下のように定義。

流通時価総額 = 流通株式数 × 時価(基準日の最終価格)

(注2)売買代金回転率:取引対象である上場株式の時価総額の何割が実際に売買されたかを示す指標。JPXが公表している「売買代金回転率」では、以下のように定義。
売買代金回転率 =(期間)売買代金÷(期間)平均時価総額 × 100
ただし、平均時価総額 =(期初時価総額+期末時価総額)÷ 2

(注3)浮動株式数:市場で流通する可能性の高い株式。JPXが公表している「浮動株比率の算定方法」では以下のように定義。

浮動株式数 = 上場株式数 - 固定株(注4)

(注4)固定株:大株主上位10位の保有株、自己株式等(相互保有株式 (会社法308条1項により議決権の制限を受けている株式)を含む)、役員等の保有株、その他東証が適当とみなす事例 (長期的又は固定的所有とみられる株式等)。

(提供元:光世証券)

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