節税にならなかったらもったいない!
iDeCoを始めた人が忘れてはいけない5つの注意点
提供元:Mocha(モカ)
老後の資産形成にぜひ活用したいのがiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)です。お得な制度と言われるiDeCoですが、制度をよく理解していなければ、せっかくの特典を活用できないことがあります。今回は、iDeCoで見落としがちな点を5つご紹介しますので、参考にしてください。
iDeCoの注意点1:年末調整や確定申告の手続きが必要
iDeCoの最大のメリットは、払った掛金が全額所得控除の対象になり、所得税や住民税を軽減できる点です。ただし、iDeCoに入っただけで自動的に税金が安くなるわけではありませんので注意しましょう。
所得控除を受けるには、年末調整や確定申告の際に控除証明書(小規模企業共済等掛金払込証明書)を添付して手続きする必要があります。小規模企業共済等掛金払込証明書は、毎年10月下旬頃に国民年金基金連合会より郵送で届きますので、なくさないように保管しておきましょう。
なお、初回掛金払込が10月以降の場合、初年度の控除証明書は届くのが遅くなります。会社の年末調整に間に合わない場合には、確定申告して税金の還付を受けましょう。
iDeCoの注意点2:手数料が発生する
iDeCoは節税になる分お得なイメージがありますが、初期費用やランニングコストがかかる点にも注意が必要です。
iDeCoの加入時には国民年金基金連合会に2829円の手数料を払わなければなりません。また、毎月の掛金から国民年金基金連合会に払う加入者手数料105円、事務委託先金融機関(信託銀行)の手数料66円が控除されます。つまり、iDeCoでは、初期費用以外に少なくとも毎月171円(年間2052円)のコストがかかってしまうのです。
さらに、運営管理機関(金融機関)ごとに定められた運営管理手数料がかかる場合もあります。
元本確保型の商品だけを選ぶと手数料が運用利回りを上回りかねませんから、商品選びも工夫しましょう。
iDeCoの注意点3:転職したら継続できないことがある
iDeCo加入後に転職する場合には、転職先の会社に企業型確定拠出年金(企業型DC)の制度があるかどうかで状況が変わります。転職先に企業型DCがなければ、iDeCoを継続できます。一方、転職先に企業型DCがあれば、iDeCoを継続できないケースがあります。
企業型DCのある会社に転職した場合、iDeCoの資産は原則として転職先の企業型DCに移換します。移換の際には資産は一旦現金化されるため、同じ商品の運用を継続することはできません。転職先の企業型DCで用意されている商品から運用商品を選び直す必要があります。
なお、転職先が企業型DCとiDeCoの同時加入を認めている場合には、iDeCoをそのまま継続することも可能です。ただし、掛金の額は変更しなければならないことがあります。
転職先が同時加入を認めていない場合、iDeCoの掛金拠出をせず、運用のみを継続することはできます。ただし、掛金拠出をしなくても毎月の手数料はかかってしまうため、あまりメリットはないでしょう。
iDeCoの注意点4:国民年金保険料が免除になれば積み立てできない
自営業者やフリーランス(国民年金第1号被保険者)がiDeCoに加入するには、国民年金保険料を納めていることが前提になります。国民年金保険料を納付していない期間は、iDeCoを休止しなければならず、掛金を拠出しても還付されます。
国民年金保険料の全額または一部の免除を受けている場合も、iDeCoの掛金を拠出することはできません。国民年金保険料の免除を受けたら、加入者資格喪失届を国民年金基金連合会に提出し、iDeCoの休止手続きをする必要があります。
iDeCoの注意点5:50歳を超えてスタートすると60歳からは受け取れない
iDeCoで積み立てた年金資産が受け取れるようになるのは、60歳以降になります。ただし、すべての人が60歳から受け取りできるわけではありません。
現在iDeCoで積み立てができるのは60歳までですが、60歳で受け取り可能な人は10年以上の積み立てを行った人です。積立期間が10年に満たない人、つまり50歳を超えてからスタートした人は、受け取り開始年齢が61~65歳のいずれかになります。
なお、2022年の5月以降、60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している人もiDeCoに加入できるようになります。今後は50代の人もiDeCoを活用するメリットが大きくなるでしょう。
まとめ
iDeCoを上手に活用すれば、節税しながら老後資金の積み立てができます。ただし、iDeCoは始めただけでお得になる制度ではありません。デメリットや注意点を知った上で、できるだけ損のないよう資産形成をしましょう。
[執筆:ファイナンシャルプランナー 森本由紀]
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