子育てにまつわるお金の話

ドリルを通じて知ってほしい“人生の正解は1つじゃない”ということ

金融庁担当者が「うんこお金ドリル」に込めた願い

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「うんこお金ドリル」というなんとも強烈な名前のウェブコンテンツ。2021年3月18日の公開以来、「金融教育の第一歩になる」と評判になっているのだが、実は金融庁と文響社のコラボで誕生したものなのだ。

うんこお金ドリル
https://play.unkogakuen.com/manabi/game/fsa/

文響社が手がける学習ドリル『うんこドリル』シリーズのデザインを踏襲したカラフルなページで、お金や人生にまつわる7つの問題が繰り出される。「小学生向け」と発表されているが、大人でも考えさせられるような内容に仕上がっている。

金融庁総合政策局総合政策課金融知識普及係の担当者に、「うんこお金ドリル」誕生の経緯やコンテンツに込めた思い、今後の金融教育について聞いた。

子どもたちに興味を持ってもらえるコンテンツ

「うんこお金ドリル」の企画は、文響社から金融庁への声かけがきっかけで始まったそう。
「文響社の担当の方から『金融教育について意見交換をさせてほしい』という連絡をいただいたのが最初です。文響社の社長さんや担当の方が金融機関出身でお子さんがいることもあり、もともと金融教育への関心が高く、話をする中で『うんこドリルを使って展開しましょう』と意見が一致しました」

金融庁では高校や大学でお金に関する出張授業を行うなど、若い世代に向けた金融教育を積極的に展開しているが、ある課題を感じていたという。

「高校生以上に向けた発信は行ってきた一方で、小学生や中学生にいかにお金について伝えていくかが、課題だと感じていました。そのタイミングで文響社さんからお話をいただき、『うんこドリル』なら比較的小さな子どもにも興味を持ってもらえるのではないかと感じられたことが、企画を進める大きな理由の1つになりました」

ページのデザインについては、小学生向けコンテンツについて豊富な知見を持つ文響社の力を借りつつ、問題や回答の内容は互いの意見を出し合い、4つのコンセプトをベースに決めていった。

・小学生の子どもたちが日常生活で経験しそうなお金にまつわる出来事を取り上げること
・選択肢は「うんこドリル」らしい遊び心を忘れず、不正解のものほど、笑ってしまうようなものにすること
・人生では正解は1つとは限らないので、複数の選択肢が正解の問題も作ること
・解説もうんこ先生のキャラを貫き、役人が説教している感じが絶対に出ないようにすること

お年玉の使い道に関する「もんだい3」は、正解が1つではない問題。どの選択肢が正解か、確認してみよう

「『うんこお金ドリル』は4択問題で構成していますが、正解が1つではない問題がほとんどです。お金に関することや人生は、必ずしも正解が1つであるとは限らないからです。問題と解答を行き来しながら、なぜこの選択肢が正解なのか、不正解なのか、子どもも大人も考えてほしいと思っています」

小学生から届いた喜びのメッセージ

3月18日の公開直後から、大きな反響があったそう。

「じわじわ広まってくれればいいかな、くらいに考えていたのですが、公開した当日の夜からSNSで話題になり、翌日の金曜から週末にかけてYahoo! トピックスにも取り上げられたのです。金融庁内でも、『見たよ』『Yahoo!に出てたね』と声をかけていただき、想像より早い広がり方に驚きました」

「うんこお金ドリル」を公開した翌日、金融庁に1本の電話がかかってきたそう。電話の相手は小学生で、「うんこドリル解きました。もっと問題を解きたいです」と伝えてくれたという。コンテンツの成功を感じさせる心温まるエピソードだ。

問題にも解説にもふりがながあるため、小学生でも読み進められる

「公開してから今でも、金融機関や教育関係者の方など、さまざまな方から『うんこお金ドリルを教材として使ってもいいですか?』という問い合わせを多くいただいています。金融経済教育の重要性を感じながらも、何から手をつけていいかわからない人は多いと思うのです。そのような場合には、『うんこお金ドリル』をぜひ活用してほしいと思います」

“お金との付き合い方”を知るための教育

日本における金融教育は、まだまだこれからという段階。金融庁でも教育を進めていく方法を、試行錯誤しているという。

「これまで金融教育に触れたことのない多くの方にとって、何から話したらいいかわからないという悩みも理解できます。私たちも出張授業で高校生や大学生の前で話すことがありますが、どのように伝えたらお金を貯めること、使うことの意義を理解してもらえるか、いろいろ試しながら考えています」

その中で感じたのは、「老後の不安に備えるためだけではなく、ハッピーな人生を送るために必要なものとして、お金にまつわる知識を取り入れてほしい」ということ。

「『金融リテラシー』の定義は“well-being”、つまり1人ひとりがより良い人生を送るために必要なものとされています。同じ貯金をするのであっても、特に若い方は『とにかく老後が不安だから貯金する』のではなく、『将来○○に使うためにいくら貯金する』という考え方のほうが、お金と上手に付き合っていけるのではないでしょうか。お金の貯め方、増やし方、使い方を知ることがハッピーな生き方につながると思うのです。投資に興味を持つ若い方が増えているのは、とてもいい傾向だと感じています。私たちも教材として動画コンテンツを発信していますので、それを見て興味を持った大人の方々が次の世代へと伝えていってほしいなと思います」

動画コンテンツ「金融庁ちょっと教えてシリーズ」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/download/index02.html
動画コンテンツ「未来のあなたのために~人生とお金と資産形成~」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/download/index01.html

お金について知るためのツールが充実し始めている。家族で見ることで、それぞれの考えや価値観を確認するいい機会になるだろう。まずは、子どもと一緒に「うんこお金ドリル」にチャレンジしてみよう!
(有竹亮介/verb)

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