投資信託のトレンドが分かる!
2021年7月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2021年7月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「外国株式へ継続的に流入」
7月の資金流出入動向は8ヵ月連続の流入超となった。流入額は約6,970億円と前月とほぼ同水準となった。
資金流入では、外国株式への流入額が約6,150億円と前月(約5,940億円)より増加し、引き続き大きな存在感を示した。昨年12月以降8ヵ月連続で5,000億円を超える流入となっている。また、国内株式はインデックスファンドへの流入が大幅に増加し、当月は約1,000億円の資金流入となった。
資金流出では、不動産投信、エマージング債券、ハイイールド債券、エマージング株式の4カテゴリーが継続して流出超となった。また、前月は大型設定ファンド「PIMCOグローバル・ターゲット戦略債券ファンド2021-06(限定追加型)」(三井住友DS)の影響により資金流入超となった外国債券が、当月は再び資金流出超となった。
個別ファンドでは、「アライアンスB・米国成長株投信D」(アライアンス)(約990億円)が資金流入で1位となった。2位は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」(三菱UFJ国際)(約445億円)、3位は当月の新規設定ファンドである「脱炭素テクノロジー株式ファンド」(大和)(412億円)と続いた。流入1位の「米国成長株投信D」は、純資産残高でも初の首位となり、「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(ヘッジなし)」(AM-One)を逆転した。
(図表1)主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
2.投信市場のパフォーマンス動向
「不動産投信(REIT)のリターンが堅調」
7月の金融市場は、FOMC(連邦公開市場委員会)を受けた米長期金利の低下により、上旬は株式、債券ともに上昇基調となったものの、中旬以降は世界的な新型コロナ感染再拡大が懸念されたことで、上値の重い展開となった。
株式市場はまちまちとなった。欧米では、世界的な感染再拡大への懸念が強まり中旬に大幅に下落したが、月末にかけて反発しそれぞれ主要株価指数が最高値を更新した。欧州では域内の経済活動が順調であることが意識され、米国では良好な企業決算が好感された。一方、国内株式は下落した。国内の感染拡大に歯止めがかからず、4回目となる緊急事態宣言が発令され、先行き不透明感が強まった。また、中国株式も下落した。中国当局の規制強化がIT企業のほか、教育などの分野にも広がっていることを嫌気した。
債券市場は世界的に上昇(金利は低下)した。デルタ変異株による世界的な感染再拡大で景気減速懸念が広がったことや、各国金融当局による量的緩和の縮小を急がない姿勢が再確認されたことで、先進国を中心に金利は低下した。
為替市場は、米ドル・円、ユーロ・円ともに円高となった。FRBおよびECBによる大規模な金融緩和策が継続していることや、ECBがフォワードガイダンスを変更し低金利環境の長期化を示唆したことなどから、対米ドル、ユーロともに円高となった。
これらを背景に、当月のリターンは不動産投信および国内債券が小幅なプラスとなり、それ以外のカテゴリーではマイナスとなった。不動産投信では米国、欧州を中心に先進国リートが堅調に推移した。
(図表2)パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「設定本数、設定額ともに低水準」
当月の新規設定本数は14本、設定額は約540億円と、いずれも前月(26本、約1,200億円)から大きく減少した。
当月の新規設定ファンドで最も資金を集めたのは、「脱炭素テクノロジー株式ファンド」(大和)の約410億円。温室効果ガスの排出を削減するテクノロジーやサービス等を提供する企業に投資し、「ファンドとしてカーボンゼロをめざす」ことを掲げている。
(図表3)新規設定金額、設定本数の推移
最後に、7月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
(図表4)資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)