節税の手続きが楽に!
2021年度分からふるさと納税の確定申告手続きが簡素化 変更点は?
提供元:Mocha(モカ)
返礼品がもらえる上、税金も控除されるふるさと納税ですが、6つ以上の自治体に寄付すると確定申告が必要でした。確定申告の手続きが面倒で、5つ以下に抑えていた人もいるのではないでしょうか。しかし、2021年分の確定申告から手続きが簡素化されます。今回は、ふるさと納税の確定申告の変更点について解説します。
2000円の負担で返礼品がもらえるふるさと納税
ふるさと納税は、自分の住んでいる自治体ではなく、自分が応援したい都道府県や市町村などの自治体に「寄付」できる制度です。たとえば、現在は住んでいなくても子どもの頃育った市や町などに寄付することもできます。寄付先の自治体から特産品の果物・野菜・お肉・お米・地元の工芸品・旅行券などといった返礼品がもらえるのも魅力です。しかも、寄付した金額から2000円を引いた金額が所得税や住民税から控除されます。
しかし、控除される金額には年収や家族構成により上限があるため、いくらでも寄付すればいいと言うものでもありません。返礼品も受け取りつつ所得税や住民税を最大限控除するのであれば、上限金額まで寄付した方がおトクになります。
ふるさと納税の「ワンストップ特例」と「確定申告」
ふるさと納税分の税金を控除するには、手続きをしなければなりません。手続きの方法には「ワンストップ特例」と「確定申告」の2通りがあります。
●ワンストップ特例
基本的に確定申告の必要ない会社員などで、ふるさと納税の寄付先の自治体の数が5つ以内であれば、確定申告よりも簡単に税金の控除が申請できる制度です。
返礼品を受け取ったときに同封されている「ふるさと納税ワンストップ特例の申請書」を本人確認書を添えて自治体に送ると、翌年の6月からの住民税から控除されます。ワンストップ特例の申請書はふるさと納税の特定事業者のウェブサイトからダウンロードすることもできます。
申請書の提出期限は翌年の1月10日(自治体に必着)ですので、年末に寄付した場合は注意してください。もし、間に合わない場合は確定申告をしなければなりません。
●確定申告
フリーランスや自営業の方、ワンストップ特例を利用しない方、会社員でも6自治体以上に寄付した方は、確定申告が必要です。
これまでは、返礼品を受け取ったとき同封されている「寄付金の受領書」(寄付金受領証明書)を添えて必要事項を記載し、寄付をした翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をする必要がありました。後述しますが、この手続きが簡素化されます。
確定申告書は手書きで作成するほか、国税庁HPの「確定申告書等作成コーナー」で作成することもできます。また、電子申告(e-Tax)で申告することもできます。確定申告した場合は、所得税の控除分は還付され、住民税は翌年の住民税から控除されます。
確定申告が楽になる
2021度分の確定申告から、ふるさと納税の確定申告の手続きが簡素化されます。
上でも紹介したとおり、今まで確定申告で寄付金控除をする際には、寄付した数だけ「寄付金の受領書」が必要でした。しかし、2021年度分からは、寄付金の受領書に代えて、特定事業者が発行する「寄付金控除に関する証明書」を1枚添付すればいいことになりました。
これまでは、寄付金の受領書をすべて保管し、確定申告のときに内容を1枚ずつ入力したり、集計したりする必要がありました。意外と手間がかかるのです。しかし、これからは寄付金控除に関する証明書にかかれた合計額を記載して、1枚添付すればいいだけですので、手続きが簡単になります。
なお、特定事業者とは地方公共団体と寄付金の仲介に関する契約を締結しているふるさと納税のポータルサイトのこと。2021年9月15日時点で以下13サイトがあります。
・ふるなび(株式会社アイモバイル)
・さとふる(株式会社さとふる)
・楽天ふるさと納税(楽天グループ株式会社)
・ふるさとチョイス(株式会社トラストバンク)
・ふるさとパレット(東急株式会社)
・ふるさとプレミアム(株式会社ユニメディア)
・ふるさとぷらす(株式会社エスツー)
・セゾンのふるさと納税(株式会社クレディセゾン)
・ANAのふるさと納税(全日本空輸株式会社)
・ふるさと本舗(株式会社ふるさと本舗)
・三越伊勢丹ふるさと納税(株式会社三越伊勢丹)
・JALふるさと納税(株式会社JALUX)
・au PAYふるさと納税(KDDI株式会社)
寄付金控除に関する証明書は、特定事業者の運営するポータルサイトからダウンロードできます。サイトによっては、郵送で発行してもらうこともできます。
ただし、電子データを使って申告する場合は、国税庁の指定するエクセルのファイル形式(XML形式)でないと受けつけてくれません。PDF形式ではNGですので、注意が必要です。
なお、ワンストップ特例を利用している人はそもそも確定申告をしませんので、変更はありません。
まとめ
ふるさと納税の確定申告の手続きが簡単になることで、これまでワンストップ納税が利用できなかった方はもちろん、確定申告が面倒だった方も、ふるさと納税の手続きがしやすくようになります。また、ふるさと納税をしたことのない人も、ぜひ自分の上限額を調べた上で、ふるさと納税を活用してください。
[執筆:ファイナンシャルプランナー 黒須かおり]
関連リンク
株式会社Money&You
お金の知性が、人生を変える。女性向けマネー&キャリアのコラムサイト