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FRBのテーパリングが市場に与える影響とは

提供元:岡三オンライン証券

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FRBが9月21・22日に開催したFOMC(連邦公開市場委員会)において、早ければ11月にもテーパリングに着手する可能性があるとの見通しを示し、その後に続く利上げ時期が予想よりも早まる可能性を示唆した。

FOMC参加者の政策見通しでは、事実上のゼロ金利を解除し、利上げ開始時期が2023年から2022年に1年前倒しされた格好となったが、市場では「前倒しなど一見ネガティブな印象を受けるが、想定以上のタカ派的な内容にはならなかった」と肯定する声は多い。

現在の株高は各国の中央銀行の量的緩和を含む大胆な金融緩和政策によって過剰流動性が生み出されたことが土台になっているとの見方が大勢となり、テーパリング開始によって株式相場は一旦下落となると危惧されていることとは異なる発言が市場から聞こえている。

テーパリングとは量的緩和の縮小を意味することから、教科書的にみると、資金供給量の減少から金利が上昇し、株式の理論的価値を示す割引現在価値の低下から、株価の割高感が醸成され、資金が株式から債券などに流れようとし株式が売られ株価が下落することが想定される。

この考え方を見ても市場の反応は、いびつな印象を受けるが、なぜこのような反応になっているのかについては、実際にテーパリングが開始される前に考えておきたい。

前回のテーパリング開始後の株価推移

前回のテーパリングは、2013年5月に当時のFRB議長であるバーナンキ氏がテーパリングをアナウンスし、同年12月のFOMCで開始を決定後、2014年1月から開始された。その後、2014年1月、3月、4月、6月、7月、9月のFOMCにおいて段階的に縮小を行い、同年10月にさらなる縮小及び終了を決定した。以降は満期を迎えた国債などを再投資して総資産残高を維持する期間が続き、2015年12月のFOMCからは段階的な利上げが開始され、正常化の最終段階となる総資産残高の段階的な縮小は2017年10月から開始となった。

上記の期間における株式市場の動きは下図となる。

バーナンキ氏がテーパリングをアナウンスした2013年5月22日から2017年9月末までの日経平均、NYダウ、S&P500の推移となるが、どの指数も一時的な調整局面はあったものの、指数は上昇していることがわかる。日経平均のみ2014年は下振れを見せているが、4月に消費税が5%から8%へ17年ぶりに引き上げられたことに起因した独自の調整局面となる。

どのぐらいの上昇となったかというと、日経平均株価は30.3%、NYダウは46.4%、S&P500は52.2%となった。

また、この時のテーパリングは2007年末から顕在化したサブプライム住宅ローン危機を発端とした2008年9月のリーマン・ショックと、それに連鎖した一連の国際的な金融危機が発端となっており、2007年からの指数の推移は下図となる。

リーマン・ショック後のFRBの金融緩和政策は2008年11月~2010年6月までがQE1、2010年11月から2011年6月までがQE2、2012年9月から2013年12月までがQE3と3段階で実施された。

この期間の各指数の上昇率は日経平均が74.5%、NYダウが70.6%、S&P500が81.6%となった。

前記2つのグラフから読み取れることは、テーパリングのアナウンス期間からテーパリング実施時期の上昇幅は量的緩和時期に比べ緩やかとはなるものの、相場が急変して落ち込むという動きとはなっていないことがわかる。

テーパリング開始後に注意すべきこと

これまで見てきたようにテーパリングが相場に与える影響は、事前予想よりも大きくなく、むしろ事前アナウンスが行われることにより、実施直後は動きが出るものの、次第に巡航速度に戻ることがわかった。

今回は特に現FRB議長であるパウエル氏が「資産買入れ縮小の際は前もってその計画を知らせる」と述べており、市場との対話を慎重に行う姿勢をこれまで以上に示していることから、今後も新型コロナウイルス感染症の落ち着きに伴う経済活動の再開を起因とした景気や業績の回復による恩恵を受ける可能性が高いと考えられるだろう。

しかしながら、注意しなければならないことは、量的緩和時期とは違いカネ余りを背景とした金融相場から、企業業績を背景とした業績相場に移行することになるので、これまで以上に銘柄の峻別が進むことになるということであろう。強い市場、強い銘柄へのマネーの集中が進むことになるので、指数の動き以上に慎重な判断が必要となることから、ファンダメンタルズを見極めた投資行動を心掛ける必要がある。

また、テーパリング終了後に実施されることになるであろう利上げ局面では、市場に出回る資金量自体が減少することになり、経済情勢のウェイトが高くなることが想定されるため、利上げ開始時期に関しては、各種要人発言や各国中央銀行の動きにも注意をしておくことが必要となるであろう。

(提供元:岡三オンライン証券)

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