「株主優待」の裏側に迫る!

300株以上3年以上長期保有の株主には、年1回5,000円相当の「復興支援選べるギフト」を追加贈呈!

小林製薬の株主優待:「あったらいいな」の自社製品詰め合わせセットなど、5つのコースから選択できる!

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小林製薬株主優待のご担当者。左から木村さん、森さん。

今や個人投資家から大人気の「株主優待」。株主優待を目的に株式投資をしている人も多いのではないでしょうか。各企業の優待内容は、企業のホームページで確認できると思いますが、優待誕生の背景や開発秘話はなかなか知ることができません。

そこで、人気企業の株主優待担当者にインタビューを敢行!株主優待導入の背景や現在の優待に決まった経緯、裏話までセキララに語っていただきました。

今回は、「あったらいいなをカタチにする」をブランドスローガンに独創的な製品を開発することで知られ、医薬品、芳香消臭剤を主力に事業を展開する大手メーカー「小林製薬株式会社」の株主優待です。

聞き手・執筆:優待好きFP 高山 一恵

――では、本日はよろしくお願いします。早速ですが、なぜ、株主優待を導入しようと思ったのですか?

当社は医薬品、医薬部外品、芳香消臭剤、衛生雑貨など、さまざまな製品を製造、販売している会社です。少しでも多くの製品を株主様に使っていただいて、当社の事業をご理解いただきたいとの想いから株主優待を導入いたしました。

また、株主様に、日頃の温かいご支援への感謝の気持ちを表したいという想いもあります。

――御社の優待は、好みに合わせて選べるところがいいですね。

はい。当社の優待は、AコースからEコースまで5つのコースを用意しておりますので、株主様のお好みに合わせて選んでいただけるようになっています。

Aコースは、5,000円相当の当社のおすすめ製品詰め合わせ(10品)です。当社のたくさんの製品の中から厳選して選んだおすすめの10品を贈呈させていただいています。

Bコースは、当社が厳選した通販製品10品の中からご希望の製品を2つ選択していただけます。同じ製品を2つ選んでも大丈夫です。

Cコースは、アロエをコンセプトとした製品を展開しているグループ会社「アロエガーデン」の製品詰め合わせです。アロエガーデンは、東京の池袋と新宿の京王百貨店に店舗を展開しています。

Dコースは、公益財団法人アイメイト協会への寄付です。株主様へ優待品を贈呈する代わりに、当社がアイメイト協会へ5,000円を寄付いたします。

Eコースは、アイメイト協会への寄付と当社おすすめ製品詰め合わせ(7品)のセットです。こちらのコースは、寄付の金額は3,000円となっています。寄付もしたいけど、製品も欲しいという株主様のニーズにお応えしています。

――個人的には、Aコースが気になります。ただ、御社は本当に多くの製品を製造されていますので、製品を選ぶのが大変そうですね。

実はかなり苦労しています(笑)。なぜ、苦労しているのかをお話しする前に、当社の製品開発のコンセプトからお話しさせていただきますね。

当社のブランドスローガンは「あったらいいなをカタチにする」というものなのですが、これは何かというと、10人に1人か2人が欠かせないと思う製品を重点的に開発しているということなんですね。ニッチ戦略ともいいます。

例えば、ケガや切り傷、やけど、虫刺されなどでかきむしってしまった後に傷あとができてしまうことがあると思うのですが、当社には、傷あとを目立たなくする傷あと改善薬の「アットノン」という製品があります。でも、こういった製品を必要としているのは一部の方なのかなと思います。

他にも、コンタクトレンズの使用後に使用する「アイボン」やメガネレンズの汚れを落とす「メガネクリーナふきふき」という製品があるのですが、これらの製品もコンタクトレンズやメガネを使用している方でないと必要ないと思います。

私個人的には、ささくれができた時に塗る「サカムケア」という製品を愛用しています。ささくれのことを関西ではさかむけと言うのでこのようなネーミングになっています。これは、液体絆創膏なのですが、ハケが付いていて塗りやすく、水に濡れても剥がれにくくて、傷口が痛まないんです。ささくれでお悩みの方にはかなりオススメの製品なのですが、ニッチな製品ですよね(笑)。

――確かに御社の製品は、ニッチで独創的な製品が多いと思います!

今までお話した製品ってこれまで市場になかった製品ばかりなんです。

ささくれができた時にケアできるものがあるといいなとは思っていても、そもそもそういった製品が世の中に存在しないので、お客様は願望すらありません。そういった顕在化していないお客様のニーズを掘り起こして、そのニーズが本当にあるのかを検証し、検証した結果ニーズがあると判断したら製品にして世の中に出すというのが当社のビジネスモデルです。ですから、独創的というか、変わった製品ばかりが多くなるということです。

――御社の製品は、ネーミングも非常に分かりやすくて、面白いですよね。

お話しさせていただいたように、当社の製品はニッチな製品が多く、初めて世の中に登場する製品が多いんです。ですから、名前やパッケージをわかりやすくしないと、どんな製品かわかってもらえません。「わかりやすさ」はとても大切にしています。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、株主優待の製品選びの話に戻しますと、つまり、当社の製品はニッチな製品が多いので、非常に苦労しているというわけなんです。

現在、約150のブランドがあり、中には発売後多くの人に受け入れられるようになったロングセラー製品もたくさんあります。ただ、ロングセラー製品ばかりを詰め合わせたのでは、当社らしさが弱まってしまいますので、そのあたりのバランスをどう考えるか、毎回とても悩むところです。

――なるほど!ニッチ製品が多いと、そういったお悩みもあるんですね。

それと、当社は、医薬品も多く販売している会社なので、先ほどご紹介した製品の他にも、アンメルツヨコヨコ、命の母など、ドラッグストアで売られているお馴染みの製品がたくさんあるのですが、医薬品は薬機法上優待品としてお渡しすることができないんです。

医薬品も入れることができれば、製品の選択の幅も広がるのですが・・・。これも大きな悩みですね。

――医薬品は優待に入れられないんですか。確かに、お馴染みの製品がたくさんあるので残念ですね。他にもニッチ製品を取り扱っていることでのお悩みはありますか?

ニッチな製品は、1つ1つの製品の製造数が少なく、5千や1万単位で製品を追加するとなると、全体にすごく影響を与えてしまいます。ですので、優待用にどれくらい製品を準備しておけば良いのか数量の把握には、すごく気をつかいますね。

6月末に権利確定した株主様には、9月に優待を送らせていただくのですが、5月には優待の製品を決める必要があります。株主様の数が確定になる前にどれくらい準備しておけばいいのかを把握するのは本当に難しいです。万が一、足りないという事態になってしまったら株主様にご迷惑をおかけしてしまいますので、数量予測は緊張感を持ちながらやっています。

――御社は年に2回優待があるので、そうすると常に優待業務に追われている感じですね。

はい。10月からは、来年3月に発送する優待の選別にかかりますので、1年中何らかの優待に関する業務をしている感じですね。

当社では、通常の優待に加えて、3年以上、300 株以上保有の株主様に対して実施する長期優遇制度も導入しています。長期優遇制度は、長い間当社をご支援してくださっている株主様に何かしらの形で還元したいという想いがあり、2015年から実施しています。

優待の内容は、カタログギフトです。この制度を導入した2015年当時、まだ東日本大震災の復興が道半ばという時期でしたので、東北地方の復興の支援になるようなカタログギフトを作ろうということになりました。

ちょうど、高島屋様も復興支援をコンセプトにしたカタログギフトを展開していましたので、高島屋様と提携させていただき、当社の優待のためだけのオリジナルの「復興支援選べるギフト」を作りました。少しでも復興のお役に立てばと、カタログには、牛タン、笹かまぼこなど、東北地方の特産品を掲載しています。

東日本大震災の被災地だけではなく、その後熊本でも大きな地震がありましたし、広島や岡山では大規模な水害がありましたので、現在は熊本や広島等の特産品も入れたりしています。

――幅広く被災した地域の特産品を掲載して、復興を支援されているんですね。カタログの商品の入れ替えなどもするのでしょうか?

宮城県のお米や牛たん、熊本県の馬肉、広島県の海鮮土手鍋セットなどは、毎年安定した人気がありますので、定番で掲載しているのですが、あまり選ばれなかった商品については入れ替えをしています。

通常の優待も長期優遇制度も、製品選びについては、毎回社長と一緒に話合いながら、その時の経営戦略に合わせて新製品を入れたり、アピールしたい製品を入れたりしています。また、各コースの選択割合の変化を見て、極端に選択割合が減ったコースがあった場合には、製品の見直しを行うなどもしています。

――御社の優待に前向きに取り組んでいらっしゃるお話しを聞いて、株主の方をとても大切にしていることがわかりました。それでは最後に株主の方にメッセージをお願いします。

当社は、なくてはならないと皆様に思っていただける製品をたくさん提供することが、企業の使命と考えています。毎年お手元に届く優待の製品を見ていただき、当社の良さを確認していただけたら嬉しいです。皆様のおかげで、当期純利益ベースで23期連続で増益、22期連続の増配を達成しております。ますます役職員一同頑張りますので、引き続きのご支援をよろしくお願いします。

――本日は貴重なお話しをいただきましてありがとうございました。

【株主優待のプロフィール(データは2021年10月19日時点)

100株以上保有の株主様に自社製品の詰め合わせセットなど、AコースからEコースまでの5つのコースより選択。
優待内容は、 2021年度。

●優待商品例:5,000円相当の家庭用品コース(Aコース)

年間予想配当金:81円(予定)
最低投資金額:878,000円(100株単位)
優待に必要な投資金額:878,000円(100株より)
※データは2021年10月19日時点

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【絵でわかる】株主優待のもらい方

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