「押印不要」で手続きがラクになる!

一般社員にも関係ある?「令和3年分の年末調整」の変更点

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1年分の収入から正確な所得税額を計算し、源泉徴収額との過不足を清算する「年末調整」。毎年10月から12月にかけて、勤めている会社から年末調整に関する書類が配布され、必要な項目を記載して提出しているだろう。

実は、令和3年分から変更される部分があるらしい。トランス税理士法人の代表税理士・中山慎吾さんに、一般社員も知っておくべき変更点を教えてもらった。

「令和3年分」からの変更点3つ

「令和3年分の年末調整は大きな変更はありませんが、小さな変化が3つあります。この変化によって、一般社員にとっては手続きがラクになるといえるでしょう」(中山さん・以下同)

(1)押印の廃止
従業員が会社に提出する年末調整書類において、押印が廃止される。

「昨年まで、年末調整に関する書類には従業員本人の押印が義務づけられていましたが、2021年からはデジタル化推進の流れに従って、押印欄が廃止になります。押印がないことでの返却や再提出といった事務負担が減ることになります」

(2)電子化の際の「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」の廃止
紙媒体を使用せずに年末調整を行う場合に、所定の申請書を提出する必要がなくなる。

「この変更点は主に会社が行う手続きに関わる部分ですが、年末調整を電子データで作成する会社は、『源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書』を事前に税務署長に提出し、承認を受けなければいけないという規則が廃止となります。これもデジタル化推進によるところが大きいでしょう」

(3)住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)特例の見直し
新型コロナウイルス感染症による影響が長期化したため、「控除期間を13年間とする」という特例が2年間延長される。

「もともと消費税増税を受けて、令和元年10月1日~令和2年12月31日に居住した人を対象に、住宅ローン控除の期間を10年から13年に延長する特例が出ていました。コロナ禍の長期化を受けて、令和3年1月1日~令和4年12月31日に居住した人も特例の対象になります。初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整の書類での申請を忘れずに」

令和4年以降は「退職金」に関する変更あり

令和4年1月1日以降に退職金を受け取る際、影響する可能性がある変更点もある。所得税を導き出すために必要な退職所得の算出方法が変わるのだ。

これまでは「(退職金収入金額-退職所得控除額)×1/2」という式で退職所得を算出していた。しかし、令和4年以降は、勤続年数5年以下で「(退職金収入金額-退職所得控除額)」の額が300万円を超える場合、式の「1/2」がなくなる。

「この変更によって、対象となる人は所得税額が跳ね上がる可能性があります。ただし、勤続5年以下で、退職金から退職所得控除を引いた額が300万円を超える人は少数派といっていいでしょう。念のため把握しておく程度で問題ないと思います」

令和5年からの「扶養」に関する変更点は要チェック

当面は、押印の廃止以外はそこまで一般社員への影響はなさそうだ。中山さんは、「令和5年以降の変更点の方が、注目するべきかもしれない」と話す。

「令和5年以降、非居住者かつ30歳以上70歳未満の親族は、扶養親族の範囲から除外されることになります。非居住者とは、生活の拠点が日本以外にある人のことを指すので、海外在住の30歳以上70歳未満の親族は扶養に入れなくなるということです」

ただし、一部例外はあるようだ。非居住者かつ30歳以上70歳未満であったとしても、以下に当てはまる場合は扶養親族の対象となる。

(1)留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者
(2)障がい者
(3)その適用を受ける居住者からその年において生活費または教育費に充てるための支払いを38万円以上受けている者

「(1)に当てはまる場合は留学ビザなど、(3)に当てはまる場合は送金関係書類といった証明書を扶養控除等申告書に添付しないと、承認されないようです。少し先の話ではありますが、扶養親族のなかに海外居住者がいる場合は、扶養のままでいられそうか確認しておいた方がいいでしょう」

少しずつではあるが、毎年変更されている年末調整。「いつの間に変わっていたの!?」と焦ることがないように、変更点を年に一度チェックしておくと安心だろう。
(有竹亮介/verb)

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