2015年以前に証券口座を開設した人必見!
2021年内にしておくべき証券口座の「マイナンバー提供」
2016年1月1日から、新たに証券口座を開設する際には、証券会社へのマイナンバーの提供が義務づけられることになった。2015年12月31日以前に証券口座を開設していた人は、2022年1月1日以降最初に株式・投資信託などの売却代金や配当金等の支払いを受けるタイミングまでにマイナンバーを提供することが求められている。つまり、そろそろマイナンバー提供の猶予期間が終わりを迎えるということだ。
そもそもなぜマイナンバーの提供が必要なのか、どのように提供すればいいのか、日本証券業協会の担当者に聞いた。
所得税の計算をスムーズにするための手続き
「マイナンバーは、国民の利便性の向上、行政の効率化や公平・公正な社会の実現を目的に、社会保障・税・災害対策の分野で活用しようと導入された制度です。証券口座にもマイナンバーを連携することで、税務署が投資での利益を把握しやすくなり、所得税の計算がスムーズになるといえます」
マイナンバーの提供をためらう人もいるかもしれないが、証券会社へのマイナンバー提供はあくまでも税金の計算のために必要な手続き。また、マイナンバーには個人情報保護法よりも厳格な保護措置が設けられているため、証券会社から流出するリスクはほとんどないといえる。
「会社員の方は、給与を受け取る際に所属先の会社にマイナンバーを提供していると思います。証券会社への提供はそれと同じことといえるので、そこまで警戒しなくても大丈夫だと思います」
証券会社に問い合わせてマイナンバー提供を
マイナンバー提供の猶予期間の対象となるのは、2015年12月31日以前に開設された証券口座。2022年1月1日以降最初に株式・投資信託などの売却代金や配当金等の支払いを受けるタイミングまでの提供が必要となる。そのため、2021年内に済ませておくと安心だろう。
「2015年12月31日以前に開設した口座を持っていて、まだマイナンバーを提供していない方は、口座を保有する証券会社に問い合わせてみてください。『マイナンバーを提供したい』と伝えると、所定の書類が届きます。その書類に記入し、マイナンバー確認書類や本人確認書類とあわせて提出することで、完了となる場合が多いでしょう。証券会社によっては提供方法が異なるところもあるので、必ず確認してください」
「現在取引していない口座」も提供の対象
万が一、マイナンバーを提供しないまま、2022年に株式・投資信託などの売却代金や配当金等を受け取ってしまった場合、資産運用や証券口座にどのような影響があるのだろうか。
「国税庁は、『マイナンバーを提供しなかったとしても、その時点で取引や配当金等の支払いが停止されることはない』としています。ただし、マイナンバー提供が確認されなかった場合の対応は証券会社によって異なる可能性があります。いずれにしろ、どこの証券会社でも皆さんのマイナンバー提供は義務づけられていますので、提供に向けて動いていただけるとありがたいです」
マイナンバー提供に関して、1つ注意点があるという。現状、取引をしていない証券口座も対象になるという点だ。
「『この口座は今使ってないから、提供しなくてもいいか』と思ってしまうかもしれませんが、存在するすべての証券口座がマイナンバー提供の対象です。かつて証券口座を開設した記憶がある方は、これを機に口座の有無を確認し、放置している口座があったらマイナンバーを提供していただけたらと思います」
まずは、現在保有している証券口座を確認することから始めよう。取引のない口座は解約するなど、身の回りの整理のきっかけにもなるかもしれない。2015年以前に開設した口座があれば、マイナンバー提供をお忘れなく。
(有竹亮介/verb)