保険料の負担、意外と少ない?

厚生年金に入ったのに保険料が減る人がいるって本当?

提供元:Mocha(モカ)

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会社員や加入条件を満たしたアルバイト・パートの方が加入できる厚生年金。日本の公的年金の「2階部分」に該当するもので、1階部分の国民年金に上乗せして支給されるものです。

厚生年金に加入すると厚生年金保険料を支払う必要がありますが、一部の人は厚生年金に加入することで支払う保険料が安くなるケースがあります。

今回は厚生年金に加入することで保険料が安くなる仕組みと、厚生年金に加入するメリットをご紹介。さらに2022年、2024年に厚生年金(社会保険)の加入対象者が拡大する件についても触れていきます。

厚生年金に加入することで保険料が安くなるケース

国民年金の第1号被保険者(自営業者等)が支払う国民年金保険料は定額で、2021年度(令和3年度)は月額1万6610円です。

一方、会社員や条件を満たしたアルバイト・パートなどが加入できる厚生年金保険料は毎月の給与(標準報酬月額)に保険料率をかけて計算し、算出された金額を事業主と被保険者が半分ずつ負担する仕組み(労使折半)になっています。

では厚生年金に加入することで保険料が安くなるケースはあるのでしょうか?

日本年金機構が発表している「令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表」を見ると、標準報酬月額18万円(報酬月額17万5000円以上18万5000円未満)の被保険者の負担額は1万6470円となっています。

●厚生年金保険料額表

日本年金機構「厚生年金保険料額表」より作成

つまり、事業主が保険料を半額負担してくれるおかげで、1ヵ月あたりの給与が18万5000円未満であれば、自分が負担する厚生年金保険料が国民年金保険料より安くなるのです。

上記のケースに該当するのは、たとえば自営業の夫に扶養されているパート勤務の妻などが考えられます。夫が自営業の場合、扶養されている妻は国民年金の第1号被保険者になるため、国民年金保険料を支払う必要があります。

しかしパートの勤務先で厚生年金に加入できる場合、前述のとおり月収18万5000円未満であれば国民年金保険料を納めるより厚生年金保険料は安くなります。

なお厚生年金加入者の国民年金保険料は勤務先の厚生年金から支払われる仕組みなので、別途支払う必要はありません。

厚生年金に加入するメリットとは?

厚生年金に加入すると国民年金の第2号被保険者となり、受給要件を満たせば国民年金(老齢基礎年金)に上乗せして老齢厚生年金がもらえます。そのため厚生年金に加入することで将来もらえる年金額が増えるといったメリットがあります。

●日本の公的年金

厚生労働省「いっしょに検証!公的年金」より

また厚生年金には老齢厚生年金のほかに、遺族厚生年金と障害厚生年金という制度もあります。遺族厚生年金は、厚生年金の被保険者が死亡した場合に遺族に支払われる年金、障害厚生年金は厚生年金の被保険者が一定の障害状態になった場合に支払われる年金です。

老齢厚生年金同様、遺族厚生年金と障害厚生年金もそれぞれの国民年金(基礎年金)に上乗せして支給されるものなので、厚生年金に加入することで保障が手厚くなります。

2022年・2024年には一部のパート・アルバイトも厚生年金の加入対象者に!

法改正により、2022年10月から段階的に一部のパート・アルバイトの方の社会保険(厚生年金・健康保険)の加入が義務化されます。社会保険の適用対象は従業員501人以上の企業となっていますが、2022年10月以降は従業員数101人以上、さらに2024年10月以降は従業員数51人以上に対象が拡大される予定です。

また勤務期間の要件として、現在は「継続して1年以上使用される見込み」とされていますが、2022年10月以降は「継続して2か月を超えて使用される見込み」に緩和されます。

厚生年金に加入できるようになることで、前述したとおり将来の年金額が増え、万が一の際の保障も手厚くなります。また同様に健康保険への加入対象が拡大するため、国民健康保険にはない傷病手当や出産手当金が受けられることになります。

すべてのパート・アルバイトが社会保険に加入できるようになったわけではありませんが、新たに対象となる方にとってはうれしい法改正といえるでしょう。

まとめ

厚生年金保険料は給与から天引きされるため、同じ給与であれば厚生年金に加入することで手取り金額は減ってしまいます。この点だけを見るとデメリットに感じる方もいるかもしれません。

しかし今回ご紹介したとおり、将来の年金額の増加や万が一の保障が手厚くなることを考えると、加入するメリットのほうが大きいと言えるでしょう。

パートやアルバイトなどの短時間労働をしている方は、厚生年金に加入することも視野に入れて働き方を考えてみてはいかがでしょうか。

[執筆:ファイナンシャルプランナー 鈴木靖子]

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