特徴を捉えて信用取引を知ろう!
株式投資の 中・上級者へのステップアップ!「信用取引」とは?
株式投資をやっている方であれば、一度は「信用取引」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。一方で、信用取引と聞くと、なんとなく難しそう、とっつきにくいと感じる方も多いかと思います。ここではその信用取引について、基本的な事項を解説していきます。
信用取引とは?
たとえば証券口座に30万円ある場合、いくらまでの株式を購入することができるのでしょうか。現物取引の場合には30万円分しか購入できません。
一方で信用取引という制度を使うと、30万円以上の売買を行うことができます。
なぜならば、信用取引では、投資家が担保となるお金を証券会社に差し入れることで、証券会社からお金や株式を借りて行うことができるからです。
この担保となるお金のことを「委託保証金」といい、少なくとも30万円は差し入れることが必要です。
また、委託保証金を差し入れたらいくらでも信用取引による売買ができるわけではなく、信用取引により売買したい金額の30%を委託保証金として差し入れる必要があります。(※)
つまり、信用取引では手元資金の最大3.3倍までの取引を行うことができ、例えば30万円の委託保証金を差し入れている場合には100万円までの信用取引の売買ができることになります。
また、信用取引を行うには、現物取引を行う口座とは別に、信用取引専用の口座開設を行う必要があります。
(※)2023年1月10日より、レバレッジ型・ダブルインバース型ETF及びETNを信用取引により売買する場合、売買したい金額の60%以上を委託保証金として差し入れる必要があります。
信用取引の利点
では次に信用取引を行うことによる利点を見ていきましょう。
まずは、手元資金以上の取引を行うことができる点です。
先述したように、差し入れている委託保証金の3.3倍までの売買ができることになるので、資金効率が向上します。
次に、手持ちの株式等の有価証券が有効活用できる点です。
先ほど説明した委託保証金ですが、これは金銭に限らずたとえば株式でも代用可能です。
株式を差し入れた場合には、株価の80%までの金額で委託保証金として評価されます。
たとえば100万円分の株式を差し入れた場合には、80万円分の委託保証金として評価されることになります。
最後に、売りから入ることができる点です。
信用取引では証券会社からお金だけでなく、株式を借りて売買を行うことも可能です。
信用売りは証券会社から借りた株式を売付け、後に買い戻す等して株式を返済します。この際、株価が下落していたら利益が発生します。
また、売りから入ることができるということは、以下の図で表されるとおり、保有株式の株価下落リスクヘッジを行うことも可能です。
信用取引の留意点
信用取引には様々な利点がありますが、一方で現物取引にはない、留意点・リスクがあります。以下で具体的な点を見ていきましょう。
まずは手元資金以上の損失が発生しうる点です。
委託保証金の3.3倍までの売買ができるため、相場が思った方向と逆に動いた場合、手元資金以上の損失につながる可能性もあります。
特に、信用売りには注意が必要です。信用売りでは株価が上がると損失が発生しますが、理論上株価に上限はないため、最大損失も無限大となります。
次に、信用取引特有のコストがかかる点です。
証券会社からお金を借りる際の金利、株式を借りる際の貸株料等、現物取引にはない特有のコストがかかります。
続いて、委託保証金の追加差し入れ等が必要になるケースがある点です。
委託保証金を担保として、証券会社からお金や株式を借りて売買を行うのが信用取引であると解説しましたが、日々の相場変動等により、売買している金額に比べて、差し入れている委託保証金の評価額が少なくなってしまう場合があります。
このようなケースでは委託保証金の追加差し入れ等が要求されます。
最後に、取引の規制がかかる可能性があります。
信用取引では手元資金以上の売買ができるため、ともすれば過当投機の危険性をはらんでいます。
その過当投機を防止、抑制するために、東京証券取引所では委託保証金率の引上げ等の信用規制を実施する場合があります。
信用取引の主要な利点・留意点を紹介しました。取引を実施する際には以上の点を意識しつつ売買を行ってください。
(東証マネ部!編集部)