今年こそお金を上手に貯める!
年収800万円から1000万円までに立ちはだかる「年収3つの壁」
提供元:Mocha(モカ)
- TAGS.
「年収の壁」と言えば、103万円、106万円、130万円など、パートの年収を思い浮かべる人が多いでしょう。
ところで、高年収の場合にも、いくつか壁が存在することをご存じでしょうか?今回は年収800万円~1000万円の人が注意しておきたい3つの「年収の壁」について説明します。
850万円の壁
「850万円の壁」を超えると、以下のような影響が出ます。
●所得税・住民税の負担が大きくなる
2020年(令和2年)から基礎控除、給与所得控除が変更になり、年収850万円を超える人の所得税や住民税の負担が大きくなっています。なお、子育てや介護をしている世帯では、「所得金額調整控除」が受けられ、負担を抑えられる場合があります。
●遺族年金が受け取れなくなる
遺族基礎年金や遺族厚生年金は、亡くなった人に生計を維持されていた遺族に支給されます。この場合の遺族の要件の1つが年収850万円未満。たとえば、夫が亡くなっても、年収850万円以上の妻は、遺族年金をもらえません。
●加給年金・振替加算が受け取れなくなる
老齢厚生年金の受給者に配偶者や子がいる場合に、扶養手当として支給されるのが加給年金。加給年金は、対象となる配偶者等に年収850万円未満の要件があります。たとえば、夫が年上の夫婦で、妻の年収が850万円を超えていると、夫は加給年金を受けられません。
なお、配偶者が65歳になれば加給年金は打ち切られますが、配偶者自身の老齢基礎年金に振替加算が上乗せされる仕組みがあります。この振替加算も、年収850万円未満が要件となっています。
910万円の壁
「910万円の壁」は、高等学校等就学支援金に関するものです。
●高等学校等就学支援金とは?
高等学校等就学支援金は、高校生のいる家庭の授業料負担を軽減するため、国が支援する制度です。支援金額は公立高校に通う場合で11万8800円、私立高校に通う場合で最大39万6000円。世帯年収によって変わりますが、年収によっては授業料が実質無償となります。授業料が無償となる年収の目安は、私立高校で590万円未満、公立高校で910万円未満です。
●高等学校等就学支援金の所得制限
高等学校等就学支援金が受けられる年収の上限額は910万円です。私立高校の場合、年収590万円を超えても年収910万円未満なら一部支給されますが、年収910万円を超えると支給はありません。
なお、所得制限にかかる年収は、世帯構成によって変わります。たとえば、専業主婦世帯で子供1人(高校生)の場合には年収910万円が目安ですが、共働き世帯で子供2人(大学生、高校生)の場合には年収1090万円が目安となります。
960万円の壁
「960万円の壁」は、児童手当に関するものです。
●児童手当とは?
児童手当は、中学生までの子どもがいる世帯に支給される手当。1か月あたりの支給額は3歳未満は1万5000円、3歳以上小学校卒業までは1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生は1万円となっています。
●児童手当の所得制限
児童手当は、受給者の年収が所得制限限度額を超えていなければ受給できます。夫婦共働きの場合には、児童手当の受給者は通常は所得が多い方です。所得制限限度額は前年度末時点での所得税法上の「扶養親族等の数」によって決まり、以下のようになっています。
〈扶養親族などの数と児童手当の所得制限限度額〉
上の表にあるように、受給者に年収103万円以下の配偶者と児童2人がいる世帯の場合、年収960万円以下なら児童手当を受給できます。会社員の夫に専業主婦(またはパート)の妻と子供2人という家庭を想定して「960万円の壁」と言われますが、壁になる年収は世帯構成によって異なります。
●特例給付とは?
2021年12月時点で、特例給付として所得制限限度額を超過している世帯にも、児童1人あたり月5000円が支給されています。しかし、2022年10月以降は、世帯年収が1200万円を超える世帯(年収103万円以下の配偶者と児童2人がいるものと仮定)の特例給付が廃止になる予定です。
●10万円給付の所得制限も
2021年に決定した子育て世帯への臨時特別給付。18歳以下の子どもに10万円を給付するという内容でした。この10万円給付は児童手当の対象者(※特例給付の対象者を除く)に対して行われるため、所得制限限度額は児童手当と同じです。つまり、年収960万円を超えると10万円給付も受けられないことになります。
まとめ
年収が高くなると税金などの負担が大きくなる一方で、手当などもらえるものももらえなくなってしまいます。どのような壁があるのかを知った上で、家計への影響が少なくなるよう対策を考えましょう。
[執筆:ファイナンシャルプランナー 森本由紀]
関連リンク
株式会社Money&You
お金の知性が、人生を変える。女性向けマネー&キャリアのコラムサイト