投資信託のトレンドが分かる!
2021年12月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2021年12月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「外国株式ファンドに過去最高額の資金流入」
12月の資金流出入動向は1年1ヵ月連続の流入超となった。流入額は約9,840億円と前月(約8,250億円)から更に増加し、2007年8月以来の高水準となった。
資金流入では、外国株式への流入額が2ヵ月連続で過去最高額(※)を更新した。当月の流入額は約9,310億円と1兆円に迫る勢いとなっており、前月の約7,270億円から2,000億円以上増加した。加えて、国内株式、国内債券、複合資産等のカテゴリーは流入超が継続し、いずれも流入額は前月対比で増加した。
資金流出では、エマージング株式、エマージング債券、ハイイールド債券および不動産投信の4カテゴリーから流出超が続いている。
個別ファンドでは、「アライアンスB・米国成長株投信 D」(アライアンス)(約1,500億円)が資金流入で1位となった。2位は「ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンド」(AM-One)(約1,400億円)、3位は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」(三菱UFJ国際)(約840億円)と続いた。
(※)計測開始は1997年4月
主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
2.投信市場のパフォーマンス動向
「不動産投信がリターン首位」
12月の金融市場は、月前半は各国の新型コロナオミクロン株の感染動向や金融政策の動向を睨み神経質な展開となったが、月後半にはオミクロン株が従来株に比べ重症化率が低いとの見方が強まり、前月末に広がったリスクオフムードが後退した。
株式市場は全世界的に上昇した。オミクロン株の感染が急速に広がる中、米国でインフレ率の上昇を抑制するため量的緩和縮小ペースの加速が決定したことに加え、早期の利上げ実施が示唆されたことで、一時ハイテク株式を中心に軟調な値動きとなった。しかし、月末にかけてオミクロン株の重症化リスクが従来株よりも低く、堅調な景気動向が継続するとの見方が強まったことで、月間で株価は上昇した。
債券市場は下落(金利は上昇)した。月前半は各国の金融政策の動向やオミクロン株の感染動向を受けて一進一退となったが、月末にかけてオミクロン株への悲観論が後退すると、世界的に金利上昇圧力が強まった。
為替市場は米ドル・円、ユーロ・円ともに円安となった。米ドル・円は高いインフレ圧力と堅調な経済指標、FRBの早期利上げに向けた姿勢を受け月間を通してドル高基調となった。欧州は米国に比べると景気回復ペースが鈍く、ECBは金融緩和の早期終了に慎重姿勢を示していたことから月前半は横ばいとなったが、月後半にはオミクロン株への過度な懸念の後退や英中銀の利上げを受けユーロ高が加速した。
これらを背景に、当月のリターンは、国内債券を除くすべてのカテゴリーがプラスとなった。不動産投信がカテゴリー別で首位となった。米国などでオミクロン株の感染拡大が続く中でも重症化率が低いとの見方が強まったことで経済活動制限への警戒感が一時よりも和らぎ、外国リートを中心に幅広い銘柄がプラスリターンとなった。また、クレジットスプレッドが縮小したことから、ハイイールド債券も堅調なリターンとなった。
パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「設定額、設定本数ともに増加」
当月の新規設定本数は34本、設定額は約1,420億円となった。設定額、設定本数ともに前月を上回った。
新規設定ファンドのうち、当月末時点の純資産残高が最大となったファンドは、「ファンド・スミス・グローバル・エクイティ・ファンド」(AM-One)であった。当ファンドは、世界の株式を主要投資対象とし、英国の独立系運用会社である「ファンドスミス社」が実質的に運用を行う。
新規設定金額、設定本数の推移
最後に、12月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)